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2019年1月7日
モノ売りからサービス提供にかじを切る自動車産業
― EVシフトと石油需要について(3) ―
シニアエコノミスト
福田 佳之

・「クルマ」を売るのではなく「移動サービス」を提供するMaaS(モビリティサービス:Mobility as a Service)が脚光を浴びている。モビリティサービスには、カーシェアリングやライドシェアリングなどがある。 ・カーシェアリングに対して、P2Pやサブスクリプションサービスのようなバリエーションを含めて欧州の自動車メーカーが積極的に進出している。ライドシェアリングについては当初IT企業主導で進んでいたが、近年、自動車メーカーも参入している。自動車メーカーがモビリティサービスの事業化に向けて取り組んでいる背景に、自動車産業の成長領域がモノからサービスにシフトすることが挙げられる。 ・今後のモビリティサービスの展開として多様なモビリティを統合した交通などのプラットフォームを形成する動きがある。モビリティが統合されたプラットフォームが提供されれば都市や地域の魅力が向上するだろう。 ・モビリティサービスの普及は二段階で進行する。まずモビリティサービスのプラットフォームが形成されてユーザーのビッグデータを集める仕組みが作られる。次にこれらのビッグデータ解析の結果をうまく活用しながら、プラットフォーム上で多様なモビリティサービス事業が展開していくような生態系が構築されていく。 ・自動車メーカーはモビリティサービスの生態系の中で収益を確保できる事業領域を探す必要がある。重要なのはデータ収集にしても、生態系構築にしても、ビジネスモデル探索にしても1社単独ではなく、企業間連携が必要なことである。 ・ユーザーとの直接の接点がない自動車メーカーのプラットフォームはユーザーの消費スタンスの構造変化に弱い。しかし、自動運転技術を持つ自動車メーカーは交通等のプラットフォームの弱点であるラストワンマイルの交通手段を提供することで一転してこれらのプラットフォームまで支配する可能性もある。

【キーワード】

MaaS(モビリティサービス:Mobility as a Service)、カーシェアリング、個人間カーシェアリング(P2P)、サブスクリプションサービス、ライドシェアリング、配車サービス、カープール、白タク、ウーバー・テクノロジーズ、滴滴出行、プラットフォーム、「Whim」、「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」、「MSPF」、プラットフォーマー、サービサー、ビッグデータ、自動運転、異業種連携、販売系列、ラストワンマイル

PDF : TBR産業経済の論点 No.19-01(0.98MB)