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2016年6月1日
繊維トレンド5・6月号 2016 No.118

■特別レポート

東レ株式会社・株式会社東レ経営研究所 共催 繊維産業シンポジウム講演抄録 東レの繊維生産技術力強化戦略

東レ株式会社 取締役 生産本部(繊維生産)担当 田中 良幸

 去る3月4日に、金沢市のANAクラウンプラザホテルにおいて、東レ株式会社と株式会社東レ経営研究所の共催で、繊維産業シンポジウム『北陸産地の新たな成長と産業競争力強化』を開催しました。当日は、神戸大学大学院経営学研究科原田勉教授、株式会社スノーピーク山井太代表取締役社長、東レ株式会社田中良幸取締役の3人の講師にご講演いただきました。本号では、そのうち、田中取締役の講演内容をご紹介します。なお、山井社長のご講演内容については、本誌『繊維トレンド』7・8月号で、原田教授のご講演内容については、弊社の経営情報誌『経営センサー』にてご紹介します。

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■ファイバー/テキスタイル

化合繊原料の動向

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点(Point)】
(1)化合繊原料の需給バランスは、全体に引き続き供給過剰のポジションにあるが、化合繊の需要増に支えられ、世界的に見て今後も市場の展望は明るい。
(2)シェールオイル技術開発の進展で、米国の原油競争力が増し、当面の原油価格の弱含みな推移は化合繊のコスト競争力を支える。
(3)化合繊の原料の将来は、バイオベース原料の開発に懸かっており、この点の開発動向に注目すべきである。

2017年春夏 Wool Lab からのファッショントレンド情報と 台湾から地球環境サステナビリティに寄与する取り組み 

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)2017年春夏のトレンドについてWool Labが6項目に分けて発信している。親と子供たち2世代をその装いでコーディネートする試み、昔の理髪店に漂っていた男っぽい雰囲気への郷愁の演出。
(2)カジュアルな打ち解けた普段着に伝統的で洗練されたフォーマルなおしゃれ感覚をあしらって、それをオリエンタルの控え目なセンスで味付けする想い。
(3)伝統的な技巧に革新的技術を加えてコンテンポラリーな三次元の風合いと見栄えを追い求める温故知新の動き。
(4)以上とは別に、Wool Lab Sport はスポーツに特化してSport Activeと Sport Stylishの2項目に分けて素材調達情報の発信を開始した。
(5)昨年末パリの地球温暖化問題に取り組むCOP21開催もあって、バイオマス等の未利用の資源を活用する動きが進んでいる。台湾企業が魚鱗からコラーゲンペプチドを抽出して、これと木材を原料とするレーヨンとを分子ベースで結合させて、100%自然由来の繊維AMORFIL を開発し商業生産に乗り出したことを紹介する。洋の東西を問わず繊維産業では他の業界に先駆けて環境問題への取り組みが加速している。

テキスタイル輸出拡大に向けて -日系素材メーカーが欧州展示会でさらに活躍するために- 

服飾デザイナー兼パタンナー 寺西 俊輔

 後継者不足や、コストの問題を抱えながらも、プルミエールビジョンやミラノウニカなど海外展示会において、海外バイヤーから高評価を得る日系素材メーカーだが、立地に優位性のある欧州メーカーなどの競合に差をつけるべく、「見せる」技術については課題がある。本稿では、パリの老舗高級メゾンで活躍する寺西氏に、現地での日系素材メーカーの印象や評価、「見せ方」の課題や改善への提案について述べていただいた。

■縫製/アパレル

アパレル小売は、どのように 「小売事業の海外展開」を進めていくべきか -グローバルに拡大を続けるHennes & Mauritz、Inditex の事例- 

牛田(上海)投資咨詢 有限公司 総経理 牛田 賢

【要点(Point)】
(1)Hennes & Mauritz が海外展開をスピードアップしたのは創業後、約50年経った時期であった。原則として、自前主義を貫き、他社との協業フランチャイズ、J/Vなど)は限定的である。Inditex が海外展開をスピードアップしたのは創業後、約20年経った時期であった。新たなマーケット(=進出国)に参入すべきタイミング、事業拡大スピードを重視したため、他社との協業を多用した。
(2)上記2社共に、本格的な海外展開を開始する前に、本国で上場を果たし、本国内の有力企業・ブランドを段階的に買収し、"海外展開フォーマット" を開発している。当初は自国に地理的に近く、かつ文化的・制度的・経済的(≒消費水準)に似た市場に参入し、その後、遠方かつ異質の市場に参入している。
(3)Hennes & Mauritz は同族経営を基本としているのに対し、inditex はプロ経営者にバトンタッチしている点が大きく異なる。Inditex の高度なマネジメントシステムと、それを実行する組織、仕組みは、他社の追随を許さない。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

アンチ・ダンピング措置

日本化学繊維協会 常務理事 杉原 克

 アンチ・ダンピング(AD)税は、ある国・企業が国内価格よりも低い価格で輸出を行い、輸入国の国内産業に被害を与えている場合に、ダンピング価格を正常な価格に是正する目的で、価格差相当額以下で賦課される特別な関税措置のことである。国内価格を不当に下回る輸出価格をダンピング価格と言い、その価格差相当額の関税をかけることを言う。不当廉売輸出とも言われ、要は海外から不当な安売りを受けて損害が出ている場合に、関税をかけて国内産業を保護する制度である。

■統計・資料

主要合繊糸・綿・織物の相手国別輸出入統計