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2014年6月1日
経営センサー6月号 2014 No.163

■今月のピックアップちゃーと

中国よりひどい大気汚染? ~ WHO調査ではアフワズ(イラン)が大気汚染度ワースト都市に~

■経済・産業

経済観測:消費増税後の日本経済をどう見るか —デフレマインド払拭が鮮明に、回復持続のカギは輸出—

産業経済調査部門長 チーフエコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)日本経済は緩やかな景気回復を続けており、消費増税後も回復基調は維持される見通しである。
(2)海外生産シフトにより輸出が伸びない構造になったこと、経常収支赤字化への懸念が台頭したこと、株価が頭打ちとなりアベノミクスへの失望感が出てきたことなどから、一部に景気失速論もみられる。だが、これらは景気回復シナリオを崩すものではない。
(3)最近、企業がデフレマインドの払拭を示唆する行動をとり始めていることが観察される。価格転嫁がしやすい環境が生まれ、企業が多様な価格戦略に挑戦するようになり、価値あるものを高く売るための取り組みが活発になってきた。
(4)日銀の異次元緩和は、デフレマインド払拭に間違いなく効果を発揮した。だが、それと引き換えに大きなリスクを抱え込んだ点も認識する必要がある。
(5)消費増税後の内需の落ち込みを乗り越え、景気拡大が持続するかどうかは、輸出を起点とする好循環メカニズムが始動するか否かにかかっている。
(6)アベノミクスが導入され、貿易赤字が定着した現在でも、日本の景気を読む上での最重要ポイントは、輸出の伸びと世界経済の拡大ペースである。

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■業界展望

Internet of Things(IoT)で機器をつなげて新市場の創出へ

株式会社 日本政策投資銀行 産業調査部 次長 清水 誠

【要点(Point)】
(1)世の中に存在するあらゆるモノにセンシングデバイスが装着され、インターネットにつながることを‘Internet of Things’(IoT)と呼ぶ。
(2)ウェアラブルや自動車をスマートフォンやタブレットにつなげ、IoTで新市場を創出しようとする取り組みが進展している。
(3)日本企業は、ITを活用した業種横断的な連携を強化するとともに、「攻めのIT投資」に転換していく必要がある。

■産業技術

自治体によるCSR企業認証の現状と今後の方向性

産業技術調査部長 松井 滋樹

【要点(Point)】
(1)中小企業のCSR推進支援のためCSR企業認証制度を創設する自治体が出てきている。
(2)先行自治体の認証制度は、認証企業自体は多いものの認証企業の業種に偏りがある。
(3)さいたま市の認証制度はチェックリストによる自社診断、CSRコミュニティーの形成等優れた制度であるが認証参加企業が少ないという問題を抱えている。
(4)自治体によるCSR企業認証制度は、CSRに終わりはないことから進行形の認証制度とし、守りのCSRに加え攻めのCSRに取り組ませ、多くの企業が参加したくなるようなインセンティブを開発し、CSRをキーにした企業間交流による地域活性化・産業振興につなげていくべきである。

PDF : 詳細(PDF:1,935KB)

■マネジメント

ビジネスゲームによるアジア各国の企業内意思決定の分析

青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授 岩井 千明

はじめに 国連推計によれば、世界の人口は2050年には95億人を超える 。一方、わが国の人口は2010年には1.28億人であったが2050年には0.97億人と漸減傾向にあり 、市場の縮小・生産人口減は避けられない。その中で、2010年アジアは、世界人口69億人のうちの約60%を占める41.6億人を擁しており欧米の経済圏をはるかに凌ぐ市場規模と成長の可能性を秘めている。

■アジア・新興国

アジアの回復期待は本物か? —輸出と投資の好循環再現にはなお時間。回復感が強まるのは2015年となる模様—

丸紅株式会社 経済研究所 経済調査チーム シニア・エコノミスト 鈴木 貴元

【要点(Point)】
(1)2014年、アジア経済は4年ぶりに加速に転じる見込みである。ただし、期待先行である。
(2)主力の輸出は、中国向けが厳しい模様。先進国向けは期待がかかるが、輸出全体に占めるシェアが低下しており、強い下支えは期待できない。
(3)直接投資受け入れは、ASEAN に期待する。とはいえ、タイ、インドネシアの選挙により回復感が鮮明になるのは今秋以降の見込みである。

■人材

人材育成の視点 2014年度新入社員研修を振り返る —「ワーキングシミュレーション」を中心に—

人材開発部長 小西 明子

【要点(Point)】
(1)弊社グループの親会社である東レ株式会社の総合職新入社員導入研修では、昨年度より企業活動の一端を疑似的に体験する演習プログラム「ワーキングシミュレーション」を導入した。
(2)8~9名の班を研修企画会社の一部署と見立て、顧客の要望に基づき新入社員研修の企画~提案を行うもので、疑似的な仕事体験を通して、仕事の進め方の基本やビジネスコミュニケーションのポイントを実践的に学ぶことができる。
(3)企画を立てるには新入社員導入研修で自らが学んだことやその意味をあらためて考え、整理することが必要となるため、研修効果の定着も期待できる。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「ベースアップ(ベア)」 「インフラファンド」

■お薦め名著

『複雑系の世界』 −全体は部分の総和以上のものである−

メラニー・ミッチェル 著 高橋 洋 訳

■ズーム・アイ

次代を切り拓くキートピック それは太陽の黒点?

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

新しい時代や世界を切り拓くのは、新しい発見や発明ではなく、これまでなじみのあったモノやコトであることはよくあることです。昨今の世界経済でインパクトを与えたものの一つは、読者にとってもなじみのあるヒトの動きです。これまでヒト(人口)は増え続け、国内にとどまると考えるのが常識で、注目されませんでした。しかし、現在、人口の減少やヒトの国境を超えた移動が一国経済の成長や社会制度の仕組みに多大な影響を及ぼしており、ヒトの動きを論じた多くの研究が社会科学分野で見られます。