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2011年12月1日
経営センサー12月号 2011 No.138

■特集

【特集 座談会 震災後の日本の製造業を考える】 東日本大震災後の躍進に向けて

座談会出席者: 増田 貴司 産業経済調査部長兼チーフエコノミスト 永井 知美 産業経済調査部シニアアナリスト 福田 佳之 産業経済調査部シニアエコノミスト(司会)

本年3月の東日本大震災で打撃を受けた日本の製造業は、その後、生産は早期回復を果たし、現在に至っています。一方、震災後に電力供給不足の長期化や事業継続対策の必要性の高まりなどの試練が加わり、これらが今後のものづくりに影響を与えることが予想されています。 この忘れえぬ年の瀬に当たり、日本の製造業がこれまでに抱えた課題を克服して世界で躍進するためにはどうすればいいのかについて、当社のエコノミスト・アナリスト3人が議論しました。

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■特別講演会抄録

『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件―』

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 楠木 建

東レ経営研究所では、2011年10月17日、経団連会館にて「日本の社会・企業の進むべき道」と題した、2011 年度特別講演会を開催しました。本号では、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授 楠木建氏と神戸製鋼ラグビー部 ゼネラルマネージャー 兼総監督 平尾誠二氏の講演をご紹介します。なお、産業技術調査部 シニアリサーチャー 岩谷俊之の講演内容は、本誌2011 年10 月号「東日本大震災後の中小企業BCP を考える」に掲載しています。

 

『変化の時代に求められるリーダー像』

神戸製鋼ラグビー部 ゼネラルマネージャー 兼 総監督 平尾 誠二

本日は、「リーダー像」ということでラグビーを通じて体験したお話をさせていただきます。今の時代は、皆さんもお感じになっているように昔ながらの「俺の背中を見てついてこい」式のリーダーシップは通用しなくなっています。若い人たちは、リーダーが背中を見せると逃げてしまって、恐らく気づいたら後ろには誰もいなくなっているでしょう。今の若い人たちはみんな寂しがり屋ですから、ちょっとした変化に気づいて彼らとの対話の時間を設けてやることが必要です。

■産業技術

電動モビリティをめぐる「新興」勢力の動向

財団法人 九州経済調査協会 調査研究部 主任研究員 平田 エマ

【要点(Point)】
(1)電動モビリティはガソリン車と比べてシンプルな構成部品であることから、“新興”メーカーの参入が相次いでいる。
(2)モータリゼーションが進展しておらず移動ニーズの高い“新興”国は、電動モビリティのマーケットとしても可能性を秘めている。
(3)新興メーカー躍進の鍵は、生産規模拡大とコスト削減の両立であり、新興国市場における販売台数拡大の鍵は、政府による支援施策とインセンティブの有無と考えられる。
(4)技術面で他をリードする日本において、電動モビリティ普及を進めるためには、社会システム再構築、メーカーのさらなる研究開発、そしてユーザー自身の意識改革が不可欠である。

 

2011年EV5大ニュース

東京大学 総長室アドバイザー 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)2009年、三菱自動車による「i-MiEV」の発売と共に始まった自動車産業のEV化革命は続いている。
(2)2011年にも、技術面、運用面でも大きな進歩があった。
(3)それらの中から、今年のEV5大ニュースを選んでみた。

■視点・論点

一筋縄ではいかないニーチェ

東京経済大学教授 三島 憲一

ニーチェは19世紀の半ばから後半の人だ。日本でいえば、明治の開国から日清戦争ぐらいの時代と思えばいい。つまり、ヨーロッパ列強が世界に最も進出していた時代である。そうしたヨーロッパの覇権主義を歓迎するほどニーチェは単純ではなかった。しかし、世界が経済力を中心に回る時代に来ていることも認めていた。そうした現実の正確な認識と、しかもそうした事態に不服を唱え、なんとかあがき、脱出したい希望とが彼の矛盾した文章のあいだに鼓動している。植民地主義が二枚舌であることはよく知っていた。「この瞬間にドイツ皇帝は、アフリカの奴隷を解放することこそ、彼の「キリスト教徒としての義務」であるなどとほざいている」。

■アジア・新興国

中国 研究者シリーズ(第4回) 食品安全対策における光ファイバーセンシング技術による日中合作 ―国境を越えた産学官による技術産業化アプローチの事例研究―

株式会社日中経済総合研究所 主任研究員 王 光明

【要点(Point)】
(1)近年中国で食品安全性事故が多発し、政府が管理強化に取り組む一方、食品安全性評価が民間事業としての産業化も注目される。
(2)国境を越えた産学官によるファイバーセンシング技術の事業化プロジェクトが日中間において発足し、技術信託という新しい展開パターンで中国マーケットにアプローチする。
(3)利害衝突及び法制・基準等による参入障壁がある中、日本の進んだ技術で
(4)注目に値する事例であるため、技術信託方式1により、日本の成熟した技術で中国の新規市場における応用開発及び事業化の例として、光ファイバーセンシング型簡易食品安全性評価装置の開発事例を報告する。

 

アジア新興国シリーズ(第2回) 内需拡大策を進めるタイ新政権

日本貿易振興機構アジア経済研究所 新領域研究センター 主任調査研究員 今泉 慎也

【要点(Point)】
(1)2011年7月選挙でタックシン元首相を支持するタイ貢献党が勝利し、最初の女性首相が登場。深刻化した政治対立の解消が課題。
(2)議会の安定多数を確保するが、司法判断による政党解散といった不安定要因が残る。
(3)経済面では最低賃金引上げなど農村・低所得者層等の購買力上昇を通じた内需拡大に力点。

■ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた日本の課題 ―ワーク・ライフ・バランス施策の国際比較調査から見えるもの―

独立行政法人 経済産業研究所 上席研究員 西垣 淳子

【要点(Point)】
(1)ワーク・ライフ・バランス(WLB)推進に向けては、関連施策の導入の有無が注目されているが、実際の活用を進めるには、その土台となる働き方の柔軟性が重要である。
(2)わが国は、欧米諸国と比べて、もともとの働き方が硬直的であり、また、そうした働き方を前提とした人事管理がなされている。
(3)WLB先進国である欧州諸国においても、各国それぞれにアプローチは異なり、どのような社会を目指すのかによって、取り組み方も異なっている。
(4)個人がWLBに満足しながら、同時に企業にとっても職場のパフォーマンスを向上させるためには、そもそもの日本の働き方や職場のマネジメントの在り方の変革が必要である。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「バランスシート調整」「無線LAN」

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■お薦め名著

『リーダー・パワー』 ―人を引き寄せ、説得する力―

ジョセフ・S・ナイ 著 北沢 格 訳

■ズーム・アイ

「おとなの体型」になって考えていること

人材開発部 シニアコンサルタント 福田 貴一

健康診断で行うメタボ健診。例年難なくクリアしていた私は、今回も儀式的に終わるものと思っていたのでしたが…。

■今月のピックアップちゃーと

民主化の「火種」を抱える中東地域 ~ 高成長を記録しても遅々として進まない民主化 ~