close

2004年4月7日
「『1円企業』はどこにゆくのか?」
シニアエコノミスト
福田 佳之

・近年、日本の創業状況は低迷している。開業率は3%台と70年代後半に比べてほぼ半減している。 ・創業を活発化させるために、2003年2月に最低資本金規制の特例が施行された。この特例によると、株式会社設立に当たり資本金1000万円(有限会社の場合資本金300万円)の準備が設立後5年間猶予されることになった。 ・特例施行後1年以上経った今年3月26日現在、この特例による起業件数は1万件を超えた。起業件数増加の背景として、国民の創業への関心の高まりやITなどを利用することにより人件費、設備の軽減を図ることが可能となったことがあげられる。 ・特例の問題点として、(1)準備不十分での創業の増加と有望な起業家の創業への躊躇、(2)有望な起業家が特例を利用せず、創業を遅らせる可能性、などがあげられる。 ・「1円企業」がこうした問題点を抱えていることは、経済学で「逆選択」、「シグナリング」と呼ばれる考え方から説明することができる。 ・小稿では、身近に存在する「逆選択」、「シグナリング」の事例として、「ミドルリスク・ミドルリターン金融市場の不在と日本振興銀行の設立」と「「マネーの虎」に見る出場者のシグナリング」の2例についてコラムで取り上げた。

PDF : TBR産業経済の論点 No.04-07(155KB)