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2018年3月19日
米国の石油精製・石油化学は原燃料価格低下で好調持続
―シェール革命下の米国石油・石化産業の動向と日本への影響―
シニアエコノミスト
福田 佳之

・シェール開発の進展は原油生産だけにとどまらず、石油精製や石油化学の分野でも関連製品の生産が増加して輸出が増大している。両産業において原燃料価格の低下が競争力の向上につながっている。 ・米国の石油精製産業について石油精製能力は2012年から2017年にかけて日量124万バレル増強され、稼働率も90%台まで上昇した。ガソリンや軽油などの石油製品の生産も増加しており、国内出荷だけでなくメキシコなど国外にも輸出されている。 ・シェール革命で原燃料コストを低く抑えることができるために、米国の石油製品の国際競争力は高い。米国の精製マージンも他の地域に比べて高い水準を確保している。今後について短期的には米国からの原油輸出増加による価格裁定の動向、中長期的には米国内の環境規制と国外の需要動向次第である。 ・石油化学産業について安価な随伴エタンを原料とした新規の石化プラント建設計画が策定・実行されている。2020年までに900万トン超のエチレン生産能力、600万トン超のポリエチレンの生産能力が増強される。また2020年以降の石化プラントの新増設計画も発表されている。 ・生産されたエチレン誘導品は国内出荷だけでなく、中国など国外に向けて輸出される。中国国内では2020年代前半までエチレン誘導品は需要超過であるため、輸出された米国産エチレン誘導品を吸収していくものと見られるが、米国利上げによる金融市場の混乱や不良債権問題の深刻化などマクロ経済動向に注意する必要がある。 ・日本の石油精製企業にとって、米国産石油製品の国内及びアジア地域への流入の可能性はその生産能力を判断すると考えにくい。むしろ日本企業にとって競争相手はプラント増設を続けるアジア地域の石油精製企業である。日本の石油化学産業にとって米国産石油製品の国内及びアジア地域への流入の影響は限定的である。日本企業はより下流をにらんで迅速にニーズをとらえて製品の差別化、高付加価値化を図るべきである。

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PDF : TBR産業経済の論点 No.18-03(644KB)