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2011年6月1日
アメーバが震災復興のカギ?
主席研究員(産業技術)
黒澤 幸子

 3月11日金曜日、東日本大震災が発生しました。震災によって亡くなった方の御冥福をお祈りするとともに、今なお続いている被災地の悲惨な状況や、福島の原子力発電所の事故が収束し、1 日も早く復旧する事を願っています。  さて、この震災によって日本経済は重大な危機を迎えています。予測の段階でもマイナス成長は確実とされ、製紙や機械部品生産の停止によって国外にも影響を与える事態に陥っています。また被災地以外の場所でも相次ぐ自粛ムードによって、経済は低下の一途をたどっています。しかし、震災だから経済成長の停滞はしかたのないことなのでしょうか?確かに当面は投資できる資産は確実に減少し、復興資金第一の体制を維持していくしかありません。しかし「ピンチはチャンス」という言葉があるようにこの状況は日本経済発展の最大のチャンスでもあります。  私達会社員を含めた今日の日本の社会人は、「経営」という概念に多くの人が無関心です。近年は改善傾向にあるとも言われていますが、それでも日本経済の中心は依然として一部の経営者が中心であり、大多数の他は従属していく傾向が根強いように感じられます(私自身もその大多数ですが…)。しかし、本来、経済は全員が成長させる姿勢を持って初めて前に進むものではないでしょうか。京セラの創業者である稲盛和夫氏の経営理念に「アメーバ経営」というものがあります。アメーバと聞くと微生物ですし、何となく小さくまとまる感じがしますが、この考えはアメーバの分裂能力と分裂後の個々が独自に動くことにより、大きくなって集合する特性に由来しています。各アメーバ(部署・部門)のリーダーが中心となって計画を立て、全員の知恵と努力により目標を達成していく。そうすることで、現場の社員ひとりひとりが主役となり、自主的に経営に参加する「全員参加経営」を実現するというこの考えは、今の状況でこそ活用できるのではないでしょうか。個々の人が自分の仕事を「経営」するという考えで仕事をすれば、自ずと無駄を省き、より発展的・理想的な成果を上げる事ができるのでは?と思います。資金縮小しながらの経済発展。一見矛盾した考え方ですが、私達全員が「どうすれば、より効率的な利益追求が出来るか」という考えを企業経営者の視点で考えれば決して不可能な話ではないのではと思います。  震災発生日から日本人は沢山の義援金の募金や支援物資の提供をしています。素晴らしい行為ですし、日本の結束の一つの形だと思います。しかしより長期的な目で日本全体の利益を考えていくためには、今回の震災を契機に1人1人が経営に携わる「企業人」である事を再認識し、自分が日本経済を発展させるぐらいの意気込みで仕事に臨んで行く事が重要なのではないでしょうか。1人1人がアメーバとなり積極的な「分裂」をしていく事を検討してみてはいかがですか?