close

2004年9月1日
経営センサー9月号 2004 No.65

■特別企画

技術戦略研究会 特別シンポジウム抄録(前編) “ハイテク文化立国”日本の胎動 世界に挑む新産業の創出と技術の役割

東京大学 大学院 工学研究科教授 松島 克守  株式会社東レ経営研究所 チーフ・コーディネーター 放送大学客員教授 飯田 汎  ザインエレクトロニクス株式会社 代表取締役 飯塚 哲哉  株式会社コーポレート・イノベーション 代表取締役 織畑 基一 

“文化・知識・環境”融合ビジネスの創造と技術者のリーダーシップ ●新製造業創生に向けた、新産業・新事業創出と起業家の条件 ●IT・材料・ライフサイエンスに立脚した“文・知・環”融合ビジネスの探求 東レ経営研究所では去る6月10日・11日の両日、技術戦略研究会特別シンポジウムを東京・新宿の(株)ビジネスコンサルタント新宿セミナールームにて開催し、大勢の方のご参加をいただきました。今回はそのうち10日の基調講演、TBR課題提起、起業家の条件、新事業創造の条件、の4つをご紹介します。

■経済・産業

活況が伝えられる昨今の海運事情 

株式会社商船三井 営業調査室 前室長代理 祁答院 包則

【要点(Point)】
(1)世界市場の広域・単一化と生産構造の変化によって、国際物流が活発になっている。
(2)海運はハードウエアの大型化で安定輸送の下支えをしている。
(3)活況な海運市況が継続すれば、主力の長期契約でも市況を反映した契約が浸透していくことが期待される。
(4)荷動きの先行きには不透明感もあるが、活発な海運市況のなか合理化効果を活かし過去の低収益体質からの脱却を目指す。

久方ぶりの「普通の」景気回復の持続性を探る 

増田 貴司  産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト

1.日本経済は、年初時点の大方の予想を上回る形で順調な景気回復を続けている。 2.今回の景気回復は、水準的には、既にバブル崩壊後の過去2回の回復期の水準を上回っている。長らく引きずっていたバブル崩壊後の後遺症が和らぎ、久方ぶりの「普通の」景気回復に移行しつつある。 3.ただ、デフレ克服はまだ道半ばである。 4.「普通の」景気回復に戻ったとなると、注意すべきは景気のアップサイド・リスクである。「失われた10年」異例な経済状態がいつまでも続いているという「慣性の法則」に支配されていては、景気を読み違える。 5.今回の景気回復の持続性を占う最重要ポイントは、(1)外需の動向、(2)デジタル関連の調整圧力、の2点である。 6.2004年度の実質GDP成長率は3.3%と前年並みの高い成長となるが、2005年度は1.1%へと減速する見通しである。

ユビキタス社会と電子ペーパーの発展

飯田 汎 チーフ・コーディネーター 特別研究員

【要点(Point)】
(1)いつでも、どこでも、誰とでもデジタル情報にアクセスが可能なユビキタスネットワーク社会にあって、増大する情報表示のツールが求められている。
(2)紙の利便性を保持しながら、電子情報を双方向に何回も保持消去できる表示体システムである電子ペーパーには、紙側からのアプローチとしてのリライタブルペーパーとディスプレイ側からのアプローチとしてのペーパーライクディスプレイがある。
(3)物理的、化学的なさまざまな方法がある電子ディスプレイには、またパーソナル、オフィス、公共、商用分野において多岐の応用が提案され、なかでも電子新聞、電子本としての潜在的な市場が大きい。
(4)電子ペーパーは新しい知識の媒体であり、環境調和型技術に支えられ、また新たな生活文化に支えられた“文・知・環”融合型社会の申し子と言えよう。

■視点・論点

為政三部書に学ぶ  -出処進退の人間学- 

財団法人 郷学研修所 安岡正篤記念館 理事長 安岡 正泰

■マネジメント

コンプライアンスと危機管理 

経営コンサルタント 萩原 誠

【要点(Point)】
(1)最近話題の企業の社会的責任(CSR)にはコンプライアンス経営が必要条件として包含されている。法令に違反したり(コンプライアンス違反)、倫理的でない会社が社会的責任(CSR)を果たせるとは到底言えないからだ。
(2)コンプライアンス経営と危機管理力の前提には、コーポレートガバナンスの仕組みがきっちりできていることと、それが実効性をもって機能していることが必要条件である。
(3)コンプライアンス経営を実現させるためには、倫理網領やコンプライアンス管理の組織を作るだけでなく、トップから末端までの「社員の意識改革」が最も重要である。

電子公告制度の導入のための商法等の一部改正法の解説

弁護士 松崎 昇

■人材

企業で真に役立つMOT教育とは何か 

釘崎 康弘 石川裕子 人材開発部

【要点(Point)】
(1)「MOT(=ManagementofTechnology、技術経営とも訳される)」とは、技術が持つ価値を最大限に引き出し、新製品や新事業を創出することである。このためのマネジメントを行う人材は「MOT人材」といわれる。近年国の施策としてMOT人材の育成が図られており、その教育(「MOT教育」)プログラムは大学を中心に急速に整備されている。
(2)産業界ではMOT人材の育成ニーズが高まっている。しかし現状では、MOT教育の効果が明確でないために、積極的な導入には至っていない。
(3)東レ経営研究所は、産業界のMOTを支援するためのMOT教育プログラムを開発している。当プログラムは、「技術と事業の全体を俯瞰できる人材」の育成を目的としており、実践的で学習効果が高い内容である。
(4)MOT教育を企業で真に役立つものにするためには、人材マネジメント全体の視点でMOT人材の育成を行うことが必要である。MOT人材を計画的に育成して人材群を形成し、組織の成果に結びつけていくことが重要である。

人事歳時記 

北原 正敏 特別研究員

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード  「交易条件」「セル生産方式」

■ズーム・アイ

「事実」って何?

川畑 由美

■今月のピックアップちゃーと

数は力なり!!  ~存在感増すBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)経済~

■TBRの広場

「ご案内」心がかようカウンセリング法講座