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2013年8月1日
経営センサー7・8月号 2013 No.154

■今月のピックアップちゃーと

お財布にも環境にも優しい ~カーシェアリングは車両台数、会員数ともに右肩上がり~

■業界展望

コンビニ業界の現状と課題 ―コンビニ国内5万店時代をどう乗り切るか―

産業経済調査部 シニアエコノミスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)コンビニは、消費不振・デフレ・少子高齢化という厳しい状況においても成長を遂げてきた注目すべき産業である。しかし、足元、消費者の根強い節約ムードやコンビニ間の競争激化、たばこ値上げによる増収の反動等により、業界全体の販売額は伸び悩んでおり、消費者ニーズにうまく対応できているコンビニと、対応が後手に回っているコンビニの企業間格差が広がっている。
(2)コンビニの国内店舗数は、かつて飽和点とされてきた4万店を超え、5万店に近づきつつある。コンビニ間だけでなく、都市部小型スーパー、ディスカウントストアなど他業態との競合、少子高齢化による市場の変化、消費者の節約志向等の課題も抱えている。
(3)大手各社は「国内5万店時代」をどう乗り切ろうとしているのだろうか。ここでは、セブンン-イレブン・ジャパン、ローソンの2社を事例に、国内市場への対応、海外進出の二つの観点から、コンビニの成長戦略について考えてみた。
(4)セブン-イレブン・ジャパン、ローソンは、国内市場は消費者ニーズに合わせて変化していけば、まだ成長の余地があると見ている。海外市場については、セブン-イレブン・ジャパンは子会社が経営する米セブン-イレブンのてこ入れとアジア、欧州のエリアライセンシー運営店舗の底上げに注力している。ローソンは、中国の既存店舗のレベルアップを図るとともに、経済成長著しいインドネシアやタイに進出している。

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【シリーズ「シェール革命」と日本企業の戦略(3)】 シェール革命の経済効果は4,000億ドル超

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点(Point)】
(1)シェール革命は米国のエネルギー産業のみならず、製造業にもインパクトを与える。その影響は、インフラ需要の増大によるものと原燃料価格の低下によるものとに分かれる。
(2)インフラ需要は採掘や精製などの生産段階と輸送や液化など流通段階に分かれるが、いずれも内外企業が案件受注を目指して活発な事業活動を行っている。
(3)シェールガスには、天然ガスであるメタンだけでなく、エタン、プロパンなど石油化学製品の原料が含まれる。シェールガスの増産は石化原料の増大につながり、石油化学産業にとって原料の安価調達が可能になる。
(4)この結果、米国の石油化学産業はコスト競争力を高めており、生産を増加させている。また、彼らは生産拠点の国内増設に動いており、内外の化学産業を中心に製造業の国内回帰が見られる。
(5)インフラ需要は2035年までで年間600億ドル程度、原燃料価格の低下は化学など8産業合計で3,200億ドル超の生産と110万人超の雇用の増加をもたらす。さらに輸出等の効果を考慮すると、シェール革命の経済効果は4,000億ドルを超えると見られ、米国製造業へのインパクトはかなりの規模に達するだろう。

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■産業技術

企業への公的支援に見る“フェア・コンペティション哲学”の国際間断層 ―日米欧同時FTA交渉で加速するグローバル・ルールメイキングの行方―

産業技術調査部 シニアリサーチャー 岩谷 俊之

【要点(Point)】
(1)経営危機に陥った企業を公的支援によって再建させる仕組みは日・米・EUともに存在し、過去に事例も多い。だがその手法には違いがあり、そこにはフェア・コンペティション=公正な競争の原則に対する考え方や地域事情の差が反映されている。
(2)わが国はEUとEPA交渉を、米国等とTPP交渉を進めているが、こういった経済連携協定では関税引き下げだけではなく、各種基準や法規制等のルール調和が重要になる。日米欧三極間のFTA交渉で決められたルールは、事実上のグローバル・ルールという側面を持つことになる。
(3)FTAによってマーケット共有化とルール共通化を進める上では「公的支援ルールの差」も一つの争点になり得る。FTA交渉でこういった個々の争点をどう解決し、グローバル・ルールづくりをどう進めるかが、今後のわが国経済の成長にも影響を与える。

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■視点・論点

復権する米国経済

コラムニスト 久保寺 寛次

高まる米国経済の存在感 この先の世界経済の最大の注目点は何か。筆者は、米国経済の成長率が四囲の停滞を尻目に加速する公算が大きいことだとみている。実際、米国経済にはここにきて、二つのスケールの大きな国内プラス要因が姿を現している。以下に、この動きの実態と、その背後にあるものを追ってみたい。

■マネジメント

【シリーズ企業と広報(2)】 100年先も健全な企業であり続けるために ―東レ広報30年の経験で学んだこと― あってはならない“誤報”を防ぐには

東レ株式会社 顧問 斉藤 典彦

【要点(Point)】
(1)広報の実務で最も大切なことは正しい報道を実現することであり、“情報漏洩”や“誤報”は決してあってはならない。
(2)正しい報道を実現するためには、さまざまな事柄について社内で方針や考え方を明確にし、情報共有化を図るべきである。
(3)SNSが多様化し、発信元も不確かな情報が氾濫する現在、読者・視聴者はメディア・リテラシーを高める必要がある。

■環境・エネルギー

苦戦するEV市場 テスラの快走に光明

立命館大学大学院 客員教授 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)日米のEV市場が伸び悩んでいる。大手メーカーが苦戦し、EVベンチャーが相次いで破綻している。
(2)そういう中で、「本命」テスラの健闘が際立つ。
(3)EVの本格普及のカギを握るのは、天才経営者率いる「第4の自動車メーカー」だ。

■アジア・新興国

中国所得税収入 ─制度開始以来初めてのマイナス成長 岐路に立ちつつある中国税収の現状と展望 ─税制の観点から見た中国歳入─

望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国税収は2012年度10兆600億元(約150兆円)であり、間接税である増値税、営業税、消費税で全体の64.4%を占め、国際的にみて直間比率が極めて低い。
(2)中国GDPは近年年10%前後の水準で継続的に増加してきていたが、2012年度GDPは52兆元として実質7.8%の成長率となり、GDPに占める税収割合は19.23%であり、日本、米国とほぼ同水準である。
(3)中国税収は近年年20%前後の水準で継続的に増加してきたが、2012年度においては経済成長の鈍化と合わせて税収増加率にも鈍化傾向が見られ、今後も鈍化傾向は継続するとみられ、一方で直接税管理強化による税収確保が図られると予想される。

■ワーク・ライフ・バランス

大介護時代の到来に向け、企業・職場・個人は何をすべきか(1)

ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス推進部 コンサルタント 松原 光代

【要点(Point)】
(1)40代以降の従業員が現在、家族や親族の介護支援者となっている割合は1割程度と多くはないが、今後5年以内に介護支援者となる割合は8割程度ある。
(2)現在、介護をしている人は、仕事管理や人事管理に対して不安をもっているが、今後、介護する可能性のある人は、介護保険や会社の支援に対する不安をもつ傾向がある。
(3)現在介護をしていないが、将来介護支援者となる可能性がある従業員の約6割は、現在の勤務先で「働き続けることができない」または「わからない」と考えている。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「3Dプリンター」 「石油メジャー」

■お薦め名著

『世界を変えるデザイン』  ―「水を転がす」という発想―

シンシア・スミス 編 槌屋 詩野 監訳 北村 陽子 訳

■ズーム・アイ

心に残る国際交流

特別研究員 川野辺 幸夫

これまでの会社生活でいろいろな体験をしましたが、その中で今でも心に残る国際交流を紹介させていただきます。私は1997年から3年間、社団法人「日・タイ経済協力協会」(略称JTECS)に勤務しました。この団体は、タイ側の姉妹団体「泰日技術振興協会」(略称TPA)の支援を通じてタイの産業・技術の発展と人材の育成に貢献し、日本・タイ両国の友好関係を深めるために1972年に設立されました。70年代当時日本と進出企業は利益追求一辺倒とみられ、タイにおける対日感情は極度に悪化しました。民間ベースの経済協力により地道に改善を図ることがJTECSの任務でした。TPAは、タイの日本留学・研修経験者が組織した団体で、日本からタイに最新技術と知識の移転・普及、人材育成のための具体的な事業を自主的に運営しました。TPAの設立者たちは、昼間は官庁、大学、民間企業等で働き、夜TPAに集まり運営を推進するという具合でした。