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2017年8月25日
経営センサー7・8月号 2017 No.194

■今月のピックアップちゃーと

女性CEOが活躍する米国だが労働参加率は低調 ~女性参加を妨げる見えない壁~

■経済・産業

なぜ「製造業のサービス化」が進んでいるのか ―IoT・デジタル化の進展が後押し―

理事 産業経済調査部長 チーフエコノミスト 増田 貴司

【要点】
(1)
「製造業のサービス化」の動きは以前から進行していたが、ここにきて一段と加速している。
(2)
2000年以降、製造業のサービス化が進んだ背景には、新興国の台頭とITの発達によるものづくりへの参入ハードルの低下を受けて、ハイテク製品でさえも短期間でコモディティ化するようになったことがある。この結果、製品自体の価値よりも、製品の使用段階における使用価値・経験価値を重視する風潮が高まってきた。
(3)
最近のIoTの普及により、製造業の競争軸が「モノの製造・販売」から「モノを介した顧客価値の提供全般」へと広がり、製造業がデジタルデータを使って顧客のニーズを知り、ハードとソフト・サービスを融合させて顧客の課題解決に貢献するビジネスモデルを創出することが可能になった。この結果、製造業のサービス化の動きがさらに強まっている。
(4)
独インダストリー4.0は、デジタル化による製造プロセスの最適化(効率性の改善)だけでなく、「スマートサービス」による新たなビジネスモデル創出を狙った政策であるが、真の狙いは後者にある。インダストリー4.0はIoT時代における製造業の競争力維持策としてサービス化を志向する政策と言える。
(5)
日本の製造業企業のIoTを活用したサービス化への取り組みは、他国に比べて総じて遅い。しかし、第4次産業革命時代の環境変化に対応して製造業が生き残っていくために、サービス化に取り組む必要性、必然性は一段と高まっている。製造業企業は、モノを通じたサービス提供による価値創造に真剣に取り組むべきだ。

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■業界展望

コンビニ業界の現状と課題 ―業界再編で寡占化進展、国内5万店時代をどう乗り切るか―

チーフアナリスト(産業調査担当) 永井 知美

【要点】
(1)
コンビニは百貨店の衰退、スーパーの伸び悩みを尻目に成長を続けてきた。ただ、店舗数が飽和点とされた5万店をはるかに上回る約5.5万店に達するに及び、既存店売上高伸び率は勢いを失っている。
(2)
コンビニはセブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの上位3社で国内シェア9割という極めて寡占度が高い業界でもある。巨大なインフラ産業であり、規模・資金力がないと存続が厳しいこと、セブン快走に危機感を募らせた上位他社が、中小コンビニの取り込みに動いて再編が進展したことが背景にある。
(3)
大手コンビニは、少子高齢化、働く女性の増加、世帯人員の減少、小売店舗数の減少といった社会変化にうまく対応することで客層を広げ、「若い男性がふらりと立ち寄る店」から「誰もが足を運ぶ店」に進化してきた。国内5万店時代をどう乗り切るか、セブンとファミリーマートを事例に見ていきたい。

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■環境・エネルギー

協調減産で原油相場は支えられるか?

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 調査部 主任研究員 芥田 知至

【要点】
(1)
原油の供給過剰が続くとの見方が蔓延する中、危機感を強めた産油国は、2016年終盤に協調減産での合意にこぎ着けた。
(2)
協調減産は大方の見方を裏切って高い順守率が維持されているものの、過剰な石油在庫の削減は進んでいない。
(3)
シェールオイルの増減産が柔軟に行われるとの見方などを背景に、今後の原油相場は40~60ドル程度のボックス圏の推移が続こう。

■視点・論点

米国式労務管理から考える「海外会社マネジメントの注意点」

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 顧問 早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員 日本労務学会員 東北大学経済学研究科・東海大学経営学科非常勤講師 異文化経営学会監事 中村 好伸

はじめに 安倍政権は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジとして「働き方改革」を掲げている。その取り組みの基本的考え方は、『日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革である。「働き方」は「暮らし方」そのものであり、働き方改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに手を付けていく改革である。…働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土を変えようとするものである。』働く人の視点に立った「働き方改革」の意義として、働く方一人ひとりが、よりよい将来の展望を持ち得るようにすることである。日本の労働制度と働き方には、労働参加、子育てや介護等との両立、転職・再就職、加えて最近では、副業・兼業などさまざまな課題があることに加え、労働生産性の向上を阻むいろいろな問題があり 1.「正規」「非正規」という二つの働き方の不合理な処遇の差の解消 2.労働生産性向上につながる「長時間労働」の是正 3.転職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行の確立 などを改善する働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段である、としている。

■マネジメント

課長に求められる5つの力 ―守りのマネジメントと攻めのリーダーシップ―

EQパートナーズ株式会社 代表取締役社長 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科(ビジネススクール) 教授 安部 哲也

【要点】
(1)
これからの課長には、“守り”のマネジメントと“攻め”のリーダーシップが必要である
(2)
具体的には、5つの力が求められる
(3)
自分自身の強み、特徴をいかした“自分らしい課長像”を目指す

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■ダイバーシティ&ワークライフバランス

女性活躍支援 ~魅力あふれる女性リーダー特集~ 女性自衛官トップが語る、“チャンスをつかんで、自分自身に挑戦する姿勢を”

防衛省 統合幕僚監部首席後方補給官 海将補 近藤 奈津枝 氏 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長 宮原 淳二 フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点】
(1)
かつては護衛艦に寝室やトイレなど女性を受け入れる環境がなく、海上自衛隊の男性同期が遠洋練習航海に出て行くのを見て、悔しい思いをバネに。
※現在は女性の配置制限は全自衛隊において実質的に撤廃されている。
(2)
女性が仕事と家庭を両立させるための仕組みづくりは、この10年ほどで急速に整えられてきた。キャリアパスのモデルも示され、ワークライフバランスの教育も行われている。このスピード感を緩めることなく、女性活躍支援を進めていくべき。
(3)
女性のキャリア支援で一番大切なことは、女性が「自己への挑戦」ができる機会を摘み取ってはならないことだ。
(4)
トップに立つ人間は組織目標の達成という使命を果たすことと同様の情熱で、部下に寄り添い、部下を愛し、育成し、部下のすべての行動に責任を持つ覚悟でいるべき。
(5)
女性ならではのコミュニケーションで、部下が「毎日出勤することが楽しい」と思えるような組織づくりを実践。

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■人材

今こそ企業の競争力に貢献する人事の仕事に誇りと自信を持とう ―会社の将来を人事が左右する=経営の期待の高さとビジネスに与えるインパクトの大きさ―

株式会社Indigo Blue 代表取締役社長 寺川 尚人

【要点】
(1)
ビジネスの世界がドラスチックに変わる中、会社の競争力を高め成功に導くには人事がより経営に関与し戦略的になる必要がある。
(2)
経営に寄与できる人事とは、経営企画的な仕事の発想と観点を持ちヒトの価値を正しく認識し活用できる“ヒトと組織”のプロである。
(3)
優秀な人材の獲得にこだわり、良い人材をそろえ活かす環境を整えることこそ、組織能力を引き上げグローバルに戦える企業をつくる。

 

人的資源管理の中核を担う管理職の登用ノウハウを他社事例から把握する

HRコンサルティング株式会社 代表取締役 佐藤 昌義

【要点】
(1)
管理職のパフォーマンスいかんによって、企業の人的資源活用の成否が決まるということができる。
(2)
ところが、管理職の登用に客観性や合理性に欠けるケースが散見される。管理職の役割は、さまざまな要件が求められるが、必ずしもこの要件が備わっているとは言えない。
(3)
本稿では、管理職の登用を客観的に行うために、特定の企業事例を照らし合わせながら、アセスメントプログラムのリサーチ、運用、効果測定の方法論を紹介していく。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「VR(仮想現実)・AR(拡張現実)」「クラウドコンピューティング」

■お薦め名著

『ビッグ・ピボット』なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか 

アンドリュー・S・ウィンストン 著 名和 高司(日本語版序文) 著 藤 美保代 訳

■ズーム・アイ

政(まつりごと)とは 

人材開発部兼ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 手計 仁志

東レ経営研究所は、千代田区は神田という歴史ある街にオフィスを構えています。千代田区とはどんなところでしょう? 区名の由来は江戸城の別名「千代田城」から来ています。皇居・東京駅・国会議事堂・200社超の一部上場企業などを有し日本の中心地であると同時に、多くの大学・古本屋街・世界のAKIHABARAなどの文化教育発信地でもあります。