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2015年12月1日
爆買いはどこから来たのか
チーフアナリスト
永井 知美

訪日観光が絶好調です。中でも話題に上るのが中国人の爆買い。筆者のオフィスのある秋葉原でも炊飯器を3、4台両手にぶら下げたおじさんをよく見かけましたが、最近、ターゲットが化粧品、医薬品等にも広がったようで、「免税」の看板がかかったドラッグストアのレジは長蛇の列。日本人がおいそれと近づける雰囲気ではありません。  爆買いの理由には、①円安による割安感、②消費税免税の対象拡大、③日本で日本メーカーのものを買うことに意義がある、④面子を重んじる国民性なのでお土産が大量に必要、等いろいろあるようですが、ここ数年の中国の物価上昇も大きいと思います。  2015年5月、上海に行って物価高に驚愕しました。  まず、外食費が高い。ファミレス風の路面店で昼食2,000円、夕食4,000円が相場です(お酒は飲んでいません)。客層も中国人が主流でお世辞にも高級店とは言えず、日本でいえば昼食1,000円、夕食2,000円程度の内容でした。  ホテルの朝食に至っては、コーヒーは黒いだけのどろどろの液体、ベーコンは見ただけで危険な感じがして手が出せず、チャーハンはべとべと、焼きそばは伸びきって、同行者が「養豚場のエサ」と暴言を吐いた惨状にもかかわらず、なんと1,600円(!)でした。日本であの朝食を出したら、責任者はつるし上げ必至でしょう。  高いのは外食費だけではありません。  「世界で一番高い」がうたい文句の上海環球金融中心展望台に立ち寄ったところ、入場料が3,600円でした。その時点で戦意を喪失していたので払いましたが、同じ森ビルの経営でも六本木ヒルズの展望台は1,800円。ビルの高さが違うと言われればそれまでですが、上海の価格設定はなかなかにアグレッシブであります。  お土産物ももちろん強気の値段設定。上海博物館は入場無料がうれしいところですが、お土産はどう考えても日本の方が安く、メモ帳が500円、マグカップ1,600円など、およそ購買意欲はわきません。疲れたので立ち寄った館内カフェはコーヒー1杯800円で、貧乏人の私はいよいよ疲れが増しました。スターバックスも、東京より上海の方が高かったのが印象的です。  とどめは帰りの空港のエビアンです。なんと1本700円!買わずに我慢して搭乗したのは言うまでもありません。  昔の(とは言っても7、8年前の)中国は物価が安かった。北京に家族旅行し、5人で鯨飲馬食して2,500円だったのも今は昔。空港免税店でブランド化粧品の値段をチェックしても、日本より中国の方が高いのが現状です。  格安航空会社(LCC)のサイトをのぞくと、羽田←→上海往復8,000円よりとあります。LCCに乗って日本に行って、さあ買い物だ!と考える人が大勢乗り込んでくるのも不思議ではありません。  それにしても、中国の人はあの物価高をどうしのいでいるのでしょうか。私が見たのは観光客向けの世界で、どこかに地元民向けのリーズナブルな市場が存在していたのでしょうか。  世界はすごい勢いで変わっている、5年前の常識は今の非常識(特に中国)と感じさせられた上海の旅でした。 注: 文中の円換算値は、1人民元=20円で計算しています。