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2008年3月1日
繊維トレンド3・4月号 2008 No.69

■特別レポート

ボーダーレスの時代に、新しい繊維ビジョンに示された指針にベクトルを合わせ、「工商一体」となって攻めの改革を行う -平成20年の日本繊維産業連盟活動方針-

日本繊維産業連盟役員総会における前田勝之助会長の挨拶

日本繊維産業連盟は、日本紡績協会、日本化学繊維協会など26 団体で構成されており、繊維産業全体にかかわる重要課題について、諸々の対策を講じる団体である。 去る1月22日(火)に開催された同連盟の役員総会において、(1)繊維産業の構造改革の推進、(2)新素材・新商品・新技術の開発、(3)情報発信力・ブランド力の強化、(4)工商一体の貿易拡大、(5)国内事業基盤の維持強化、(6)人材の確保と育成、(7)税制問題、(8)国際化への積極的対応などの平成20年方針が決定された。 第2回繊維産業・世界四極代表者会議(日本・米国・EU・中国)、第3回日中繊維産業発展・協力会議、第7回アジア化繊産業会議(マレーシア)、第22回日韓繊産連合同会議など、国際会議が目白押しであり、FTA/EPA交渉が更に進展していくなど、グローバル競争に向けた対応も含めて、2007年5月に策定した『繊維ビジョン』を念頭に置きながら、繊維産業の発展に向け、参加団体お互いがベクトルを合わせて、積極的に攻めの改革を楽しく行うような1年にしたいと、会長が挨拶された。 同連盟の協力を得て、役員総会における会長挨拶をここに掲載し、皆様の参考に供したい。

■海外動向

2007年の世界の化繊生産動向

日本化学繊維協会 業務調査グループ グループ長 杉原 克

【要点(Point)】
(1)2007年の世界の繊維生産は約6,774万トンで史上最高記録を更新。
(2)世界の化繊生産は前年比9.5%増の4,071万トンと大幅に増加した。合繊が増加したほか、世界的なレーヨンブームでセルロース繊維が16.5%増の308万トンと大きく増加。
(3)化繊生産では中国、インドだけが増加となり、中国・インドの「2人勝ち」が続いている。

「特殊な中国」から「グローバルな中国」へ -中国に対する夢と現実-

坂口昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)閉塞感が漂う日本から、成長する中国に出かけると、言いようのない高揚感、恍惚感に捉われる。いわゆる「中国熱病」にかかる日本人が多い。しかし、実際には中国のことは何も理解していない。
(2)日本の常識で中国を眺めると、「特殊な中国」が見えてくる。しかし、中国に進出している欧米企業、韓国企業と日本企業を比較すると、逆に「特殊な日本」が見えてくる。中国が要求しているのはグローバル化への対応である。
(3)中国生産よりも中国市場進出の方が難易度が高い。それでも、中国を目指す日本企業が多いのは、地理的、時間的、心理的距離が近いせいである。可能性があり、現実が見えていない時こそ、夢は膨らむ。
(4)中国進出と並行して、日本市場も見直すべきである。欧米ブランド企業はアジア市場戦略の一環として、東京に旗艦店を設置している。日本企業も東京の役割を再発見し、東京に蓄積されているソフトやメディアを活用すべきであろう。

PDF : 詳細(PDF:1,035KB)

中国子会社に対して有効に機能する不正抑制プログラム構築のための10のステップ

公認内部監査人 プライスウォーターハウスクーパース中国:普華永道上海事務所 シニアマネージャー 須原 誠

 2009年11月1日から9日までの9日間にわたり北京にてチャイナファッションウィーク中国国際時装週(以下、CFW)2010 SS コレクションが開催されました。筆者は5 日から最終日まで滞在し、今回も多くのショーの様子を見学したので写真メインでのレポートをお届けします。  なお、11月8日に雑誌『ViVi 薇』とインターネットメディア「SINA Lady 新浪女性」の合同主催で行われたショー“北京女孩Beijing Girl”については、CFW の中では非常に特出した内容でしたので別途、弊社中国ビジネス研究会HP 上のビジネスレポート上で取り上げています。こちらも合わせてご覧ください。

【要点(Point)】
(1)現在、在中国日系企業(以下、中国子会社)経営陣の最大の関心事は中国で起きているかもしれない不正や事故、そしてそれが日本で報道された場合の風評リスクである。
(2)中国子会社の経営に関わる経営陣のほとんどが、たたけば埃が出そうな中国子会社は今はそっとしておいて、なんとかJ-SOX元年を乗り切ることに集中したいという気持ちがある反面、中国子会社の掴み切れていないリスクが表面化することも非常に怖いというジレンマに悩んでいる。
(3)ゆっくりではあるが着実に前に進んでいる中国ビジネス界の不正撲滅の努力と歩調を合わせながら、本社もしくは中国統括会社主導で3年くらいの中期計画に基づき、中国子会社に対して不正抑制内部監査実施を主軸とした不正抑制プログラムを構築していく必要がある。

China News インターナショナルアパレルブランド在中国経営啓示録 -『CHINA APPAREL 中国制衣』カバーレポートより-

横川 美都 研究員

今回は『CHINA APPAREL中国制衣』の2007年10月号のカバーレポートをご紹介したいと思います。 巻頭で「現代ファッションは“西風東漸”(西からの風が、東にしみ渡る)という状況が長く続いている」としています。その中で「中国は受身でそれらを受け入れる者、そして謙虚な学習者として存在している。それは、非常に決まり悪いものに思えるかもしれないが、実は幸運な現実なのである」と捉えて、そして“狼がやってきた!!!”と恐れるのではなく、そこから海外の優れたものを学び取ろうと唱えています。また、杉杉集団総裁「サメと一緒に泳げば成長も早い」という言葉を受け、「“国内市場が国際化したのではなく、国際市場が国内化した”新しい状況の中で、我々は顔を上げライバルに拍手を送り、その後、頭を下げ黙々と拡大に励まなければならない」としています。 今回は、彼らの捉えた中国における海外ブランドの概況と、成功例として挙げた7つのブランド(Bestseller、H & M、Hush Puppies、MUNSINGWEAR、E. LAND、Pierre Cardin、KAPPA)の中からその筆頭に紹介され、現在中国のレディースカジュアルウエア市場で知名度、実力ともにトップクラスにあるVERO MODA、ONLYを擁するBestsellerについての考察を紹介します。

PDF : 詳細(PDF:1,385KB)

先行き不透明感が増すアジア繊維産業の景気動向

小山 英之 特別研究員

【要点(Point)】
(1)年初から米国のサブプライムローン問題によって世界の株価が混乱、米国政府の対策が積極的に行われているが、根幹が金融収縮に絡んでいることから、世界経済の減速化が懸念されている。
(2)世界織物需要は、昨年約5%増加したと推定され、世界の織物生産量の5割を占める中国は、昨年の設備投資で織物生産能力が約1割強増加しており、世界の織物需給は薄氷を踏むような脆弱なバランスを保っている。今年下半期の先進国経済の動向次第では、需給に亀裂が入ることも想定され、マクロ情勢の動きに注意が必要である。
(3)原燃料コストは一部に値下がりも見られるが、依然として高水準を続けており、米ドルの下落に伴ってアジア主要繊維国の通貨が上昇するなど、アジア繊維産業の採算が「原料高の製品安」で徐々に悪化して、先行きは予断を許さない状況を迎えている。

PDF : 詳細(PDF:1,107KB)

■国内動向

ファッションビジネスに適する企業規模 -ファッションビジネスことはじめ-

信州大学繊維学部感性工学科 教授 大谷毅

【要点(Point)】
(1)イタリアの伝統的職人が時間をかけて丁寧に作った商品でも、ブランド事業自体の固定費比率が高いので、上代と職人の労務費との相関は弱くなる。
(2)ラグジュアリーブランドの売上増加は店舗増や事業幅拡大による。イタリア伝統職人だけでは生産対応しきれず、工程に外国要因(中国や東欧など)が混入するが、その製品はイタリア産と扱う。これはイタリア職人にとって必ずしもマイナスとは限らない。
(3)ファッションビジネスではプロジェクトのライフサイクルに対し商品のライフサイクルは短い。間隔を置いて進行する相互に異質な複数プロジェクトのマネジメントが必須だが、これは企業官僚制になじまない側面がある。
(4)変化が早いということは仕事の中身もよく変わるから、ヒューリステックな処理が不可避で、実は、流行やブランドは、その認知的限界を緩和する重要な機能を持っていた。

大きく変わるミセスマーケット 第3回

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)新世代ミセスに対応する新大人服ブランドの問題点は、「高感度、リーズナブル、サイズバラエティ豊富なブランドがない」こと。
(2)新世代ミセスは百貨店ミセスフロアを敬遠している。新世代ミセスに対応するブランドが集積されていないのが問題だが、最大の問題点はニーズMDを満たしていないこと。
(3)新世代ミセスのニーズMDに対応する服は、オンシーンからオフシーンまでの生活シーンに対応できる商品がラインナップされたブランドだ。

■新市場・新製品・新技術動向

シリーズ 無店舗販売の可能性を探る 「商品のその先にあるものを売る」というコンセプト 「ジャパネットたかた」 -ジャパネットたかた・高田明社長インタビュ-

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点(Point)】
(1)「ジャパネットたかた」は、高田明社長がカメラ店から身を起こし、年商1,161億円を計上する通販会社に育て上げた。
(2)ラジオとテレビで行った通販番組がこの成長の原動力となり、同社のネットワークは全国へと拡大。
(3)更に、折り込みチラシとインターネットによる販売を加え、独自の「メディアミックス」戦略を展開している。
(4)商品は家電が中心で種類は多くない。これを集中的に販売していく(30品目で売上の8割)。その方法は、機能を説明するのではなく、商品がもたらす新しい生活やその先にある豊かさ、イメージを売っていくというもの。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

染料不足問題

ダイスタージャパン株式会社 東郷潤一郎

 

■『中国ビジネス研究会』インフォメーション

中国ビジネス研究会 第12回オープンセミナー開催報告

■図表解説

衣料品貿易のランキングから、日本の進む道を探る

■統計・資料

主要商品市況

1.原油 2.ナフサ 3.PTA 4.EG 5.カプロラクタム 6.アクリロニトリル 7.ナイロンフィラメント、同織物 8.ポリエステルフィラメント、同織物 9.ポリエステルステープル 10.アクリルステープル、同紡績糸 11.綿花 12.ポリエステル綿混(T/C)紡績糸及び織物