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2018年9月21日
繊維トレンド9・10月号 2018 No.132

■ファイバー/テキスタイル

2017年および直近のアジア主要国の合繊産業

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主席部員 鍵山 博哉

【要点(Point)】
2017年のアジアの化繊産業は、アジア域内の堅調な経済成長、川下の繊維品の主要市場である欧米需要の回復などから、おおむね好調に推移。
(1)合繊市況 原油価格、合繊原料価格とも2017年年央に下落後、上昇基調に転じる。2018年は上昇基調続き高値帯へ。
(2)日本 化繊生産は減少続くも内需は安定
(3)韓国 合繊生産は回復の兆し
(4)台湾 化繊産業規模は縮小へ
(5)中国 化繊生産の伸びは鈍化するも引続き拡大基調、投資が活性化
(6)タイ 好調な内需から化繊産業は堅調に推移
(7)インドネシア 化繊生産、内需とも増加
(8)マレーシア 化繊生産は減少へ
(9)インド 化繊生産、輸出とも堅調
(10)パキスタン ポリエステルS 産業は比較的安定

ANEX2018(アジア不織布産業総合展)のトピックス

技術ジャーナリスト 塩谷 隆

【要点(Point)】
(1)2018年6月6日~8日の3日間、東京ビッグサイトにおいて、ANEX2018(アジア不織布産業総合展)が開催された。ANFA(アジア不織布協会)とANNA(日本不織布協会)が主催し、3万人以上の来場者を得た。
(2)ANEXは、IDEA(米国不織布産業総合展)、INDEX (欧州不織布産業総合展)と並ぶ世界3大不織布展の1つで、世界中から注目されるアジア最大の不織布産業の展示会である。3年に1回の周期で開催されており、今回は12年ぶりとなる日本での開催であった。
(3)日本のみならず海外からの来場者も目立ち、特に、中国や韓国などのアジア近隣国については、展示内容も含め、不織布産業が急速に発展、拡大していることが見て取れた。
(4)日本および欧米の不織布メーカーにとって、高付加価値化による差別化は、特に中国・韓国やこれから台頭してくるであろうインド、中東、南米などの商品の一歩先を行く上で最も重要なポイントである。本レポートではここに重点をおいて、展示概要を紹介する。

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ミラノとパリから2019年春夏向け生地のトレンドと オーストリアの繊維素材メーカーLenzing の新たな川下戦略の紹介

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』 在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)2019年春夏の生地について、ミラノウニカではサステナビリティのコンセプトがメインテーマとして挙げられ、各出展社はエコに焦点を当てて新たな提案を競っている。トレンドエリアは「空気」と「水」と「地球」を中心テーマとして、エコロジーと資源の再利用と開発に特化した展示となっている。強調されたテーマは生地の機能と着心地のよさで、色彩は総じて春らしい明るさでピンク、ライラック、薄黄色、トルコブルーなどパステル調が主流だ。
(2)プルミエールビジョン(PV)も出展社の新たな革新と実験の成果を披露すると同時に、それらがエコで倫理にかなったものであることを強調する場となっている。展示もバイヤー向けよりも、最終消費者と接する小売業界を意識した見せ方に変わって来ている。新しい世代を惹きつけるために、これまでにない色調や柄行きに工夫を加えている。テーマカラーはダークグリーンが中心で、暗い森のイメージから薄緑の葉や水色の明るい青緑色にまで広がっていて、それを白と黒をアクセントとして「クール」を演出している。
(3)オーストリアのLenzing は、Tencelを従来の繊維素材ブランドからサプライチェーンの最先端にある消費者向けブランドに変換する戦略を進めることとした。その標語は"Feels so right"「これぞ本物」だ。同社はこれまで繊維素材の生産者の立場からB2B 戦略を推進してきたが、川下のアパレルブランドや小売業者ともチームを組んで、製品の品質が良いだけでなく生産加工工程の透明化やサステナビリティの推進などサプライチェーン全体として消費者に評価されるようにB2C で連携することが求められる時代になっているとの認識だ。同社のTencel ModalとTencel Lyocellの製品は、生産加工工場や家庭等において土中・水中でも微生物によって無害な物質に分解・還元されることで、その製品を身に着けることが着心地や機能性にプラスオンの価値をもたらすと消費者に認知してもらうという非常に挑戦的な取り組みだ。

The Japan Observatory at MILANO UNICA 2019AW -5年目を迎えた出展の成果と新たな課題「サステナブル」-

繊維・市場調査部 安楽 貴代美

2018年7月10日~12日、イタリア・ミラノにて、欧州最大規模の服地見本市MILANO UNICAが開催され、日本からも、27社・団体が参加するThe Japan Observatoryが出展した。本稿では、The Japan Observatory のコーディネーター業務を担当する兼巻氏に、MILANO UNICA やThe Japan Observatoryの現状と今後についてお聞きする。

■新市場/新商品/新技術動向

本格的な取り組みが求められ始めた「サステナビリティ」(前編) -ファッション業界におけるサステナビリティとは-

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)「サステナビリティ」はいまやトレンド用語のように扱われている。ファッション業界向けの情報紙では、海外素材展、国際会議、ラグジュアリーブランド、ファストファッションなど、サステナビリティについて、多岐にわたる記事が紙面を賑わせている。
(2)ファッション業界でも群を抜くエコロジストとして知られているのは、ステラ・マッカートニーだ。2013年以来「環境損益計算書」を活用し、2015年からは公表している。
(3)ファッション業界で「サステナビリティ」が急速に拡大している背景には、SDGs(「エスディージーズ」Sustainable Development Goals =持続可能な開発目標)がある。「だれひとり取り残さない」をスローガンに、2016年から2030年までに達成すべき17の目標にまとめられている。そして、いまやSDGsは、企業価値を評価する大きな指標となっている。
(4)「サステナビリティ」「エコロジー」「エシカル」…この3つの言葉は、時に独立して、時に同時に関連性を持ちながら使われる。

■キーポイント

日EU経済連携協定(EPA)

日本化学繊維協会 常務理事 杉原 克

 日本と欧州連合(EU)が 7月17日、日EU経済連携協定(EPA)に署名した。総人口約6.4 億人、世界のGDP の約3 割、世界貿易の4 割弱を占める、世界最大級の自由経済圏が誕生する。  繊維分野では、関税は双方即時撤廃、原産地規則は原則2工程ルールとなった。

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状および増設計画) 合繊原料編 ・カプロラクタム ・テレフタル酸 ・DMT ・エチレングリコール ・アクリロニトリル 主要合繊編 ・ナイロンフィラメント ・ポリエステルフィラメント ・ポリエステルステープル ・アクリルステープル ・レーヨンステープル ・スパンデックス ・スーパー繊維