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2004年7月1日
繊維トレンド7・8月号 2004 No.47

■海外動向

シリーズ「実践 中国ビジネスの果実と毒 ・・・中国ビジネス成功の秘訣」 第4回 事例で学ぶ中国ビジネス成否のノウハウ 

中国ビジネス研究所 所長 中国弁護士  馬 英華

【要点(Point)】
(1)中国ビジネスを成功に導くには、成功例に学ぶのではなく、失敗例を数多く学び、同じ轍を踏まないようにすることがその第一歩である。
(2)日本の経営者が陥りやすいのは、中国の法制度を十分吟味チェックせず、日本と大体同じだろうという前提で事業計画や投資計画を立て、突っ走ってしまうことにある。
(3)中国で施主として工場建設する際には、自分や日本人スタッフの経験や勘だけに頼らず、業者の選定、契約方式、契約内容にいたるまでのチェックを現地の専門家や弁護士に一つ一つ相談しながら、最新の注意を払って進める必要がある。
(4)経営の現地化という課題に関しては、拙速ではなく、また先延ばしにするのでもなく、長期的な戦略を持ち、現地で多くの経験を重ねた上で、各社の業種・業態の特性なども踏まえて独自の工夫をしながら、しっかり定着させていくことが肝要である。

日本アパレルの中国市場参入に向けた可能性と課題 -中国の見本市出展の次に打つべき戦略とは- 

有限会社シナジープランニング  代表取締役  坂口 昌章

【要点(Point)】
(1)中国の百貨店に日本ブランドを集積するというニュースが数多く流れたが、いまだに実現していない。その理由は、中国の百貨店の取引形態、日本企業の出店窓口のエージェントの問題、日本資本の企業による卸売、小売りのライセンス取得が困難であることなどが挙げられる。
(2)中国の百貨店は日本ブランドを欲している。消費者は衛星テレビ、ケーブルテレビ、ファッション雑誌などにより、日本のファッション情報に接しているが、商品には接していない。百貨店の多店舗化により、各店の差別化戦略が求められ、その目玉として日本ブランドが位置づけられている。
(3)中国のWTO加盟により、外国資本にも流通開放がなされるが、そのハードルは高い。香港と中国との間で締結された経済貿易緊密化協定(CEPA)で定められた香港企業への優遇措置を超えることはないだろう。当面、完全な開放はないという前提で中国市場戦略を考えなければならない。
(4)中国市場参入には、中国企業、中国人との連携が欠かせない。中国ビジネスの成功は、パートナーの選択が第一の条件になる。単なるライセンスの保有だけでなく、実際のビジネスに関するノウハウも重要なポイントだ。中国で上げた利益を日本に持ちかえることは不可能ではないが、さまざまな条件を整備することが必要となる。利益を持ちかえるという発想よりも、アジアの中でどのようにキャッシュフローを作るか、という発想が重要になる。

「後配額時代」へ動く中国繊維産業 

株式会社大阪繊維研究所  第2事業部 副部長  高橋 要

【要点(Point)】
(1)クオータ制度が撤廃される2005年以降、世界の繊維貿易の中で、中国の地位が更に高まることは間違いない。
(2)それは中国の繊維企業すべてが成長することではない。内外市場で競争は激化し企業の淘汰は加速する。各中国企業はそれに備えてさまざまな角度から対策を講じている。
(3)諸外国も中国を「向上」と同時に「市場」と見て、中国との共生で生き残りを図ろうとしている。日本も官民挙げて一層の努力が求められる。

アジア主要国の合繊需給シリーズ 第3回 韓国-合繊業界に構造改善の動き-

向川 利和  特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)韓国の2003年の実質成長率は3.1%で、2002年の6.3%から大きく鈍化し、通貨危機以降では最も低い伸び率となった。内需は全般的に低迷しているが、半導体・自動車などの輸出が好調で景気を牽引している。
(2)急拡大してきたテグ産地は、1997年のアジア通貨危機・中国の密輸入取り締まり強化と自給化進展以降、調整局面から不況局面に突入し、不況長期化の様相を呈している。今後は中国市場依存一辺倒から多様な市場へのアクセス、更には技術蓄積の促進が過大となる。
(3)過剰といわれてきたポリエステルファイバーの生産設備に、ようやく本格的な廃棄の動きが出てきた。大韓化繊は短繊維生産から撤退するほか、不採算の定番長繊維の生産を大幅操短。金剛化繊も長繊維の生産を全面的に中止すると発表。
(4)中国の大攻勢の影響もあって、輸出が減少傾向をたどっている韓国の繊維業界であるが、2005年以降のQUOTAFREE時代にどう対処しようとしているのか?状況を探る。

■国内動向

ヤング・マーケットにおけるアパレル企業の市場指向  - (株)パルの事例から - 

流通科学大学付属流通科学研究所 専任研究員(専任講師)  ヘリオット・ワット大学ロジスティクス研究所 ファッションスタディーズ研究員  東 伸一

【要点(Point)】
(1)大阪に本拠地をおく株式会社パルは、ファッションの周期性に着目した「パルマップ」を活用したブランド・ポートフォリオによって変化の激しいヤング・マーケットにおける市場指向を実践している。
(2)ヤング消費者と同じ目線で商品企画を行うことのできる若手企画スタッフを市場指向オペレーションの中で登用することが、消費者ニーズ把握と先を読んだ市場対応のキーとなっている。
(3)フロントエンドで若手のアイディア・感性を活用している一方、経営管理面では、シーズンごとの各段階に応じたソーシング・ミックスを適用したり、一定の商品処分基準を設けたりするなど科学的なアプローチが採られている。
(4)東京進出を果たし、10年後の売上高1,000億円を目標とする同社が、今後も独自の社内風土を維持しながら急成長を果たしていけるのか、その動向が注目される。
(5)ヤング・マーケットにおけるアパレル各社の短期的な市場対応は、先進国型のファッション産業の今将来を考えると、ひとつの不安材料を提示しているのではないだろうか。

最後の繊維産業政策 - 自立事業 その2-

繊維ジャーナリスト  瓦林 由紀夫

【要点(Point)】
(1)繊維産業の危機は、はるか昔からいわれてきたことである。その時、適切な対応がとられていたとしても、今の状況が回避できたかどうかは分からない。わからないが、少なくともこれほど苦しまねばならないという状況は、軽減されたかもしれない。
(2)繊維産業の将来に期待を持つ人は多い。それでも、明るい道を広げるには、従来以上の行動力が必要になってくる。せっかく築き上げた「技術」を生かさない手はない。環境が苦しい北陸産地でも、人と違ったやり方で、道を切り拓いている。
(3)本気で繊維の復権を目指すならば、国内とともに「輸出」の在り方を再考する必要もありそうだ。その中で、中国との共存、海外品とのすみ分けを考えてみる。もちろん、ベースとなるのは「技術」である。

これからのユニバーサルファッション 

神戸芸術工科大学 ファッションデザイン学科  教授  見寺 貞子

【要点(Point)】
(1)ユニバーサルファッションとは、一人でも多くの人が快適に生活できるファッション環境の実現を目指そうという概念である。
(2)現在の「標準サイズや体型」に当てはまらない人々に目をむけ、彼らの特性やニーズ、ライフスタイルからユニバーサルファッションの視点を探る。
(3)ユニバーサルファッションを視点とした商品企画および普及を行うことにより、新たな市場開拓と人的効果を得ることが出来る。

世界を攻める日本の中小テキスタイル企業 -先進国型生地ビジネスの一つの在り方(日商シェーブルドーレ部の事例)-

足立 敏樹  繊維調査部 シニア・リサーチャー

【要点(Point)】
(1)中小のテキスタイル企業の中にも、縮小する国内市場に埋もれず、広い世界を目指そうという企業が出てきている。
(2)世界で尤も権威のある素材見本市「プルミエール・ヴィジョン展」(パリ)で、中堅テキスタイルコンバーターである日商シェーブルドーレ部は、高い評価を得て本場欧州の有力ブランドとの取り引きを拡大している。
(3)日商シェーブルドーレ部は、国内産地の技術にこだわった高付加価値テキスタイルの開発を進めている。
(4)海外の機屋に比べて、マーチャンダイジング構成力が弱い日本の機屋をサポートするテキスタイルコンバーターの役割が、国際競争力の高いテキスタイル企画を生み出している。

■新製品・新技術動向

高度化する水着用素材開発 

東レ株式会社  ニット衣料・資材部 スイムウェア課  渡辺 彰             テキスタイル開発センター素材・商品設計室長  丹羽 氏輝 

【要点(Point)】
(1)遊泳水着市場は縮小傾向が続いているが、ファッション性だけでなく「女性の心をくすぐる」素材開発及びアイテム提案により消費市場の拡大を目指していく。
(2)競泳水着用素材については素材の水抵抗とスイマーが受ける形状抵抗の両面を軽減する新素材にて、アテネオリンピックで多くのメダル獲得をきたいする。
(3)一大市場に成長したフィットネス水着用途については、「女性」「プール対応」「快適」をキーワードとした素材開発を進め、リピーターを獲得していく。

産業用繊維市場の拡大  -自動車安全資材の市場動向- 

東レ株式会社 産業資材事業部長  森本 和雄

■知りたかった繊維ビジネスのキーワード

インパナトーレ 見本市

有限会社シナジープランニング 代表取締役  坂口 昌章

【要点(Point)】
(1)合繊の自動車資材用途は衣料用途と異なり、物理的特性と機能性が生命線となっているので、日本メーカーにとっては成長分野であるといえる。
(2)タイヤコード、シートベルト用途は、アジア特に中国の自動車需要増に比例して増加、エアバッグ用途は安全性の要求度が高まり、更に高い伸びが期待される。
(3)自動車メーカーの製品要求特性と低コストの要請にいかに素早く対応できるかが、原糸供給メーカーの課題である。

■統計・資料

主要商品市況  I.主要短繊維糸・織物の相手国別輸出入統計

1.綿織物輸出 2.純綿糸輸入統計 3.綿織物輸入 4.ポリエステル綿混織物(T/C)輸入 

II.主要長繊維糸・織物の相手国別輸出入統計 

 1.ナイロンフィラメント(N-FY)の輸出   2.ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸出   3.ポリエステルステープル(P-SF)の輸出   4.アクリルステープル(A-SF)の輸出   5.ポリエステル長繊維織物の輸出   6.ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸入   7.ポリエステルステープル(P-SF)の輸入