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2014年9月1日
経営センサー9月号 2014 No.165

■今月のピックアップちゃーと

競争力ランキングの上昇が顕著な国はドイツとUAE アベノミクスで注目の日本は依然として20番台

■経済・産業

注目されるASEAN経済の行方(下) ―「中進国の罠」を回避して先進国の仲間入りするにはいくつかハードルが存在―

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点(Point)】
(1)「中進国の罠」とは、途上国が発展初期において経済成長を遂げるものの、その後、低迷して先進国の経済水準まで到達できない状況を指す。中進国の罠に陥る背景として、中進国が先進国の経済水準まで上昇させるための成長戦略を採用していないことがある。
(2)中進国の罠を回避するには、生産における多様性から特化への転換、経済成長における要素主導型から生産性主導型への転換、そして国家制度における中央集権から地方分権への転換がある。
(3)これまでASEAN諸国の経済発展は資本などの要素を集中投入することで高成長を遂げてきた。2000年代半ばまで全要素生産性を計測しても、その成長パターンは変わらないため、「中進国の罠」に陥る可能性がある。
(4)ASEAN諸国が中進国の罠に陥らないためには、国有企業改革による市場メカニズムの貫徹、政府の統治能力の改善、教育・研究開発への投資増など構造改革が不可欠である。

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■アジア・新興国

インド新政権の経済政策 ―予算案から見えるもの―

専修大学 経済学部 教授 内川 秀二

【要点(Point)】
(1)2011年度以降インド経済は経済成長率の落ち込みとインフレ問題に直面してきた。
(2)新政権の2014年度予算案が7月10日に発表されたが、旧政権の予算案を踏襲しており、税収の見込みが甘く、財政赤字削減は難しい。
(3)製造業だけでは巨大な労働力人口を吸収することは難しいため、農村部での非農業雇用の創出が不可欠である。
(4)インフレを抑制しながら、農村開発を含むインフラ整備の資金を捻出するためには、補助金の削減が不可欠である。

■業界展望

テレビ市場の現状と展望 ―4Kは救世主となるか? 伸び悩むテレビ市場は中国メーカーが台頭―

産業経済調査部門 シニアアナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)世界の薄型テレビ市場は急激な価格下落、画質向上、2010~2011年にかけての先進国のデジタル放送移行等で2000年代半ばから2010年にかけて爆発的に拡大したが、普及率上昇で足元、伸び悩んでいる。
(2)先進国の薄型テレビ市場が縮小に転じたのに対して、世界最大の市場となったのが補助金政策、地方中小都市の市場拡大などで販売台数が急伸した中国である。日欧メーカーのプレゼンスが低下したのに対して、中国メーカーの躍進が著しい。
(3)だが、その中国も補助金政策の終了、普及率上昇で今後急成長は望めない。
(4)メーカー各社が期待を寄せているのが4Kテレビである。だが、4Kテレビはハード先行で、商用放送は世界中見渡してもほとんど始まっていない。価格も既に下落している。
(5)今年のテレビ業界のキーワードは「4K」だが、収益環境の厳しさに変わりはない。日本メーカーはいたずらにテレビ事業に傾注せず、新興国メーカーと差別化を図れる分野に注力すべきと考える。

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■産業技術

オンラインバンキングの脅威 ―急増するオンラインバンキングの被害者にならないために―

調査研究・コンサルティング部門(産業技術担当) 黒澤 幸子

【要点(Point)】
(1)今年のオンラインバンキングの被害額が2014年5月9日の時点で約14億1,700万円と、史上最悪だった昨年の被害額をたった4カ月で上回っている。
(2)2013年以降、オンラインバンキングの組織的被害が日本に集中している。
(3)法人の被害も2014年に入り急増している。
(4)オンラインバンキング等ネット社会の被害者にならないためには、技術的な対策も重要であるが、個々の知識向上も不可欠になってきている。

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■視点・論点

企業経営と文化の効用(第9回) ─先住民の叡智に学ぶ─

谷川ヒューマン・テクノ研究所 代表 谷川 孝博

現代の資本主義社会における先住民は、都市開発が進むにつれて年々生活の場を追われつつある。しかしながら、先住民は不毛な遠隔地に点在し困難と思われるような過酷な環境のなかで生活を営み、しかも生き続けてきた人々である。北極イヌイット、北アメリカ先住民、中央アメリカのインディオ、古代ユーラシア平原を代表するスキタイ族、オーストラリアのアボリジニー、ニュージーランドのマオリ族、アフリカのピグミー、北海道アイヌ等々。

■マネジメント

イノベーティブリーダーシップ

株式会社インテカー代表取締役社長 内閣府本府参与 科学技術・IT戦略担当 齋藤 ウィリアム 浩幸

【要点(Point)】
(1)失敗に対する警戒心が強すぎる環境ではイノベーションは生まれない。
(2)ビジョンとパッションを武器に、メンバー1人ひとりが能動的に参加し、チャレンジできる集団をつくり上げることがリーダーの役割。
(3)リーダーは、万能であることも、組織内で一番優秀であることも必要ない。

■ワーク・ライフ・バランス

中小企業におけるグローバル人材への赴任前研修の重要性(後編) ―厚生労働省受託事業 日本の「雇用をつくる」人材の確保・育成手法の開発に向けての調査・研究事業を通して―

ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 研究員 永池 明日香

【要点(Point)】
(1)インタビュー調査から抽出された、グローバル人材に必要な能力要件は、「高い専門性(高い知識、スキル)」「コミュニケーション力、異文化理解力」「マネジメント力、経営能力」「タフネスさ、忍耐力」「積極性、チャレンジ性」の五つである。
(2)本事業から企業はグローバル人材育成に際し、その実態に即して、海外出張を通したOJT研修、英語力習得の支援、海外研修制度の実施などを行っていることがわかった。
(3)海外において、企業が期待する役割を果たす人材の育成には、何らかの研修をさせることは重要である。特に、アンケート調査の結果から「英語」「対外交渉力・プレゼンテーション力」「異文化理解力」に係る研修が、効果を持つ可能性があるといえる。
(4)グローバル人材の確保・育成においては、人材確保・育成のメカニズムをうまく回していくことが肝要である。
(5)中小企業の海外事業展開は、国内の雇用を大きく創出するとは言い切れないが、業績にプラスの効果をもたらすことにより企業規模に応じた新卒採用や中途採用を介して、間接的に雇用を創出していく可能性があると考えられる。

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■人材

組織開発に取り組む人々 ―組織イノベーション研究会の活動から―

人材開発部長 小西 明子

【要点(Point)】
(1)組織開発は1950年代に生まれ、米国で発展してきた「変革の実践」を中心テーマとした領域であるが、近年は日本でも「人事の新しい武器」として注目されている。
(2)グローバルに事業展開する優良企業の中には、組織開発を専門に取り組む専任部署や担当役員を置く企業が出てきている。
(3)本稿では組織開発に正面から取り組む企業担当者が集まって情報交換を行う「組織イノベーション研究会」の活動の様子を紹介する。

PDF : 詳細(PDF:1,107KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「需給ギャップ」 「統合報告書」

■お薦め名著

『交渉の達人』 ―今、なぜ交渉術が注目されるのか―

ディーパック・マルホトラ/マックス・H・ベイザーマン 著 森下 哲朗 監訳 高遠 裕子 訳

■ズーム・アイ

「想像」する力

人材開発部 逆井 克子

毎年、強い日差しと夏の空気感が漂うようになると、急に山が恋しくなります。山で感じる陽の光と風のにおい、登山靴の心地よい重み、歩みの先にある雄大な景色、手が届きそうな満天の星、下りてきたときの充実感…等々。子どもがまだ小さいため、最近はもっぱら近場をハイキングするくらいですが、山に行くことは私にとって、とっておきの時間であり、貴重なリフレッシュの方法です。