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2013年2月1日
繊維トレンド1・2月号 2013 No.98

■縫製/アパレル

チャイナリスク ―日系アパレル企業にとっての中国の政治的リスク―

株式会社フランドル 上海事務所 所長 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)昨年9月の中国における大規模な反日運動は日本人に大きな衝撃を与え、日系企業の中国ビジネスに大きな影響を及ぼしている。
(2)しかし取材を通して見ると日系アパレル企業の中国国内販売における反日運動の影響は決して大きなものではないようだ。
(3)今後の中国ビジネスの方向性には、①様子見、②チャイナ・プラス・ワンへの注目、③積極的に攻める、という3つの方針が見られた。

■ファイバー/テキスタイル

上期の東南アジア合繊原料・製品市況を読む ―欧州・中国の景気減速を映し神経質な動き続く―

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)欧州債務危機の続く中、世界景気の減速を映し、神経質な動き続く
原油・ナフサ需給は緩いが、シリア情勢緊迫長期化で高値圏での神経質な動き
合繊原料原油・ナフサ次第だが高値は重い
合繊ファイバー底入れするも上昇力は鈍い。事業環境厳しく気迷い商状
綿花BRICS から東南アジアへ、成長のけん引役バトンタッチ
(2)アジア主要国の合繊産業近況
韓国 輸出落ち込み、減速鮮明
台湾底打ちの兆しも
中国 高成長曲がり角、がまんの時
マレーシアBN57 年体制は正念場
インドネシア内需堅調で底固い成長続く
インド内需失速、減速鮮明

PDF : 詳細(PDF:2,866KB)

China Fashion Week レポート ―コレクション参加2 年目を迎えた東レファッションショーの成果―

繊維調査部

 2012年10月24日~11月3日、北京にてChinaFashionWeek(中国国際時装週以下CFW)2013/SSが開催された。昨年からメルセデスベンツを冠スポンサーに迎え、今回で16回目となる同コレクションは、中国最大のファッションイベントである。また、ファッションショーを中心に、さまざまなファッションコンテストやプレス発表会も開かれ、若手クリエーターの育成の場、業界関係者の交流の場ともなっている。本稿では、昨年に続き、同コレクションに2回目の参加を果たした東レのファッションショーについて紹介する。

バイオベースポリマー、ファイバーの新展開

京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 教授 木村 良晴 京都工芸繊維大学 繊維科学センター 産学官連携研究員 増谷 一成

【要点(Point)】
(1)再生可能なバイオマスからバイオリファイナリー技術により、多くのバイオベースモノマーが作り出されている。
(2)これらのモノマーを用いてバイオベースのポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン等の開発が進められている。
(3)透明性の高いポリカーボネートなど、有望な機能性バイオベースポリマーも新たに作り出されている。
(4)糖、セルロース、ひまし油からジアミンとジカルボン酸が作り出され、それらの組み合わせにより、多くの種類のナイロンが上市されている。

ミラノ・パリ2013/2014 秋冬生地トレンドと そこに見える欧州繊維産業の中国市場戦略とその対応

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』(World Textile Publication Ltd. 発行) 在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)ミラノウニカ2013/14秋冬生地展示会でのキーワードは、クラシックをコンテンポラリー デザインで表現するというものだ。リッチな風合い、プリント、多色のツイード、洗練されたアーバン感覚が主流だ。この厳しい国際市場では、ブレンドと仕上げと色の構成で特徴を出して、品質の高さを訴えることが必要だ。
(2)続いてパリのプルミェールヴィジョンでも特異なデザイン、複雑なプリント、それに豊かな色相、さらに生地に機能性を持たせるなど工夫をこらしている。カラー トレンドはミックス調の多色混紡糸が主流で、赤、からし色、青、グリーンが灰色や自然色と組み合わされたものだ。
(3)高級天然素材が使われているラグジュアリー製品においても保温性などの機能性が販売のためのプレゼンテーションの要素としては欠かせないものとなりつつあることが、両展示会に共通して見てとれる。
(4)ミラノウニカは2012年3月北京で開催されたインターテキスタイルに招待者向けオンリーのパビリオンを設定してイタリア業者の中国進出を支援している。以後2015年まで交互に開かれるインターテキスタイル北京と上海にもこの方式でイタリアのラグジュアリー製品の拡販を目指している。彼らは中国が高級品の市場として急拡大しており、中国人消費者の目は日ごとに肥えてきていて高級ラグジュアリー製品の見分けがついてきていると見ている。今後欧州の対中国進出戦略は日本にとっても目が離せないものとなるだろう。

インド繊維産業事情 

日本繊維輸入組合 上席研究員 神山 義明

【要点(Point)】
(1)インドビジネス36年―筆者は1976年からインドビジネスに取り組み素材から衣料製品まで幅広いインドの繊維製品の輸入に携わってきた。
(2)インド繊維工業の位置づけ―インドの繊維工業はおよそ5千万人の雇用を擁し国にとっても農業に次ぐ最重要産業。中国と違ってなお政府の支援は厚い。
(3)インド繊維工業の現状とその特徴―インドの繊維工業は何かと中国とは正反対。その中身とともにインドにしかない各種素材について具体的に説明する。
(4)伸びる国内市場12億余の人口を擁し経済発展を続ける中、インドの国内市場は急拡大している。インド小売市場への進出には世界から熱い視線が注がれる。しかし問題も多い。

■小売/消費市場

大阪駅周辺マーケット分析

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)2011年、12年、13年と大阪では、梅田、阿倍野、難波、心斎橋で、大型商業施設、百貨店、ファストファッション、セレクトショップの開業、改装オープンが相次いでいる。
(2)中でも、「大阪ステーションシティ」のルクアが好調に推移している。有力セレクトショップを多数導入し、アンカーショップに配置することで回遊性が高まっている。
(3)ルクアの強さは、①ターゲットの集約、②雑貨関連の充実、③カジュアル化への対応という3点がポイントとなる。
(4)大阪は明らかにオーバーストア状態となった。梅田、阿倍野、難波、心斎橋という主要なエリア間競合が強まる。さらに百貨店間の競争も激しさを増しそうだ。

■新市場/新製品/新技術動向

シリーズ 高齢化社会と繊維 第6 回 福祉の分野で、繊維が果たすべき役割とは何か ―京王百貨店のシニア向けコーナーを歩く―

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点(Point)】
(1)京王百貨店新宿店の「ハートフルプラザ」はシニア向けコーナーの草分け的存在で、介護用品、ウエアのラインナップが充実している。また、シニア層に合わせて接客も工夫。
(2)インナーについては、60代は機能性のあるものを好み、70~80代は綿など天然繊維を好む。
(3)施設では人手も少なく、乾燥機がフル稼働。繊維製品の傷みは激しい。
(4)今後シニアゾーンは拡大し、一般のグッズ、ウエアと結びついた新しい業態が生まれる可能性がある。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership、アールセップ)と繊維産業

日本化学繊維協会 鍵山 博哉

 2012年11月、カンボジアで開催された東アジア首脳会議の関連会合で、2013年東アジアの地域包括的経済連携(RCEP)の交渉開始が合意された。同交渉は、2013年の早期に交渉を開始、2015年末までに交渉完了させることを目指すことになっている。 このRCEPが実現すれば、域内の人口は約34億人と世界の人口の約半分、GDPは約20兆ドルと世界全体の約3割、貿易額10兆ドルと世界全体の約3割を占める巨大な広域経済圏が完成することになる。

■統計・資料

主要商品市況

Ⅰ.日本の合繊各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2013 年1 月) 東レ/帝人/旭化成/三菱レイヨン/東洋紡/ユニチカ/セーレン/東邦テナックス Ⅱ.日本の紡績各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2013 年1 月) ダイワボウホールディングス/シキボウ/クラボウ/ニッケ/日清紡/トーア紡コーポレーション/オーミケンシ