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2019年1月1日
日本人の強みを考える
シニアエコノミスト
福田 佳之

よく言えば柔軟、悪く言えばミーハー  小職も出席した國學院大学水無田教授との座談会(本誌2018 年11 月号掲載)で日本人の性質についての話題が出ました。日本人は明治時代の食文化の変化に見られるように非常に変わり身の早い民族であるとのことです。  日本では飛鳥時代から明治時代に入るまで仏教の普及と複数にわたる肉食禁止令もあって牛肉や豚肉などを食べることは禁忌でした。それが明治時代に入ると、西洋化を進める目的で肉食が解禁されます。当初は拒否反応が強かったのですが、福沢諭吉などの文化人が新聞などで肉食を礼賛したこともあって急速に普及していきます。実際、明治維新から10年後の1878 年には東京で558 軒の牛肉屋があったそうです。  食文化は宗教と結びつくなどで、極めてローカル色が強く、外的環境の変化に対してもなかなか変わりません。しかし、日本ではあっという間に肉食が普及しました。日本社会は明治維新など社会的な事件をきっかけとしてごく短い間にそれまであったことがなかったかのように激変するのです。水無田教授は、日本人は、よく言えば柔軟、悪く言えばミーハーな国民性を持つと指摘しています。 「大丈夫やで、にいちゃん」  2018 年12 月に「出入国管理・難民認定法」が改正されています。昨今の人手不足を受けて外国からの単純労働者の受け入れを容認するなど外国人労働者政策を転換したものとして受け止められています。この改正では、治安維持や日本語教育といった外国人労働者受け入れにおいて不可避な論点を含めておらず、政策対応の不十分さは拭えません。ですが、最終的にはうまくいくと思っています。  同法改正直前の11 月には2025 年の万博開催国として日本(大阪)が選ばれました。博覧会国際事務局総会での日本側最終発表者の一人として大阪でビデオゲーム会社を経営するスペイン人のイバイ・アメストイ氏がプレゼンしています。彼は大阪で起業する際に、さまざまな困難、例えば事務所や什器の確保や東日本大震災後の受注消滅に直面しました。そのとき、多くの日本人が声をかけて助けてくれたそうです「大丈夫やで、にいちゃん(It'sgonna be OK, dude)」。  おそらく周囲の日本人は彼を外国人労働者としてではなく、同じ人として助けなければと割り切っていたのではないでしょうか。当然、その人となりを判断した上でのことではありますが、受け入れると決めた際は何も考えずに受け入れてしまうような柔軟性や節操のなさが日本人にはあるように思います。 節操のなさが日本を救う!  そんな日本人の柔軟性や節操のなさに、筆者を含めて同じ日本人でもついていけないどころか、嫌悪感すら抱くことがあります。しかし、先が読めない不透明・不確定な時代にこのような節操のなさは長所かもしれません。ダーウィンも「生き残る種は、最も強いものでも知的なものでもなく、最も変化に適応した種である」と明言しています。外国人労働者も、結局、受け入れてしまうような気がします。それは数多くのアメストイ氏を生み出すことで移民共生社会の実現につながることを期待したいところです。