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2018年6月14日
経営センサー6月号 2018 No.203

■今月のピックアップちゃーと

加速するデジタルテクノロジーの普及ペース ~モノからサービスへのビジネスモデル転換が背景~

■産業経済

EVシフトが世界の石油需要にもたらす影響について(上) ―石油需要のピークは2030年代後半には到達か―

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点(Point)
(1)BPの最新長期エネルギー見通し「BP Energy Outlook 2018」では、これまでの国際機関などの見通しと違って、2030年代後半に石油需要の拡大が止まり、ピークアウトするとのことで話題を呼んだ。同見通しによると、世界の一次エネルギー需要見通しは鈍化する見通しであり、これには石油など液体燃料の需要増の鈍化・横ばいが効いている。
(2)液体燃料の需要増の鈍化には、内燃機関車の燃費改善や電気自動車(EV)の普及がある。今後の燃費改善のペースは年率2~3%と過去にないペースで進んでいる。EVの保有台数も2040年時点で3.2億台に達し、自動車全体の16%を占める。こうした燃費改善やEVの普及には各国の燃費規制の強化が背景にある。
(3)自動車メーカーや異業種企業の自動運転車の開発・上市の動きは依然として活発である。AIの活用や業種を超えた連携の動きは強化される方向にある。各社の見通しでは2025年までにレベル4ないし5の自動運転車が上市される予定であり、その後急速に普及するだろう。
(4)一方、自動運転車が起こした人身事故も起きている。その背景には関連各社の技術力格差が関係している。急速な自動運転車市場の立ち上がりが予想される中で、技術力に劣る関連企業は弱点を補強するべく異業種間提携など思い切った手を打つだろう。
(5)自動運転技術を新車セールスのアピール材料とするだけでなく、モビリティサービスの中核技術として位置付ける企業も出てきている。今後、個人所有の新車販売が見込めない状況において、自動車メーカーは同技術の用途展開による収益確保を考えなければいけない状況になっている。

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■技術・業界展望

パリ協定時代の企業活動

京都大学 名誉教授 地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー 松下 和夫

【要点(Point)
(1)世界は「パリ協定時代」に突入し、トップ企業は脱炭素社会への移行競争にしのぎを削っている。
(2)主要国は、省エネルギーの徹底や再生可能エネルギーの大幅な拡大を進め、気候変動対策を活かした経済発展に取り組んでいる。先進企業は気候変動をビジネスチャンスと捉え、先導的取り組みを進めている。
(3)日本企業にも気候変動のリスクと世界的トレンドを認識し、今後のビジネスの中にしっかりと位置付けていくことが求められている。

■視点・論点

明治150年、先人に学ぶ ―児玉源太郎―

エコノミスト、大阪商工会議所 経済政策・法規委員会 副委員長 元・三和総合研究所 取締役理事 松下 滋

児玉源太郎(1852~1906)は、日露戦争で乃木希典と共に旅順203高地の攻略に成功、救国の勇将として知られている。しかし、立憲主義的軍人として陸軍のガバナンスに関わる一方で、台湾総督、内務大臣、文部大臣を歴任。政治家としても伊藤博文らの信頼が厚く、明治日本の国づくりに大きく貢献した。昭和の悲劇を見るにつけ、次代の日本経済・社会の持続的発展を願うにつけ、54年のその生涯は、示唆に富んでいる。

■マネジメント

経営理念の重要性とその実践方法 ―正しく、強い企業経営、ビジネスはどのように実践していくのか?―

EQパートナーズ株式会社 代表取締役社長 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 教授 安部 哲也

【要点(Point)
(1)経営理念とは何か?
(2)経営理念はなぜ重要か?
(3)どのように経営理念を実践するのか?

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■ヒューマン・ディベロップメント

今、見直される「文章力」教育 ―急がれる「読解力低下」と「メール中心のビジネスコミュニケーション」への対応―

人材開発部 コンサルタント 坂上 弥生

【要点(Point)
(1)若年層の日本語読解力低下が話題となる中、2017年度は通信添削の「ビジネス文章力講座」へのニーズが弊社でも急増した。
(2)「シンプルで分かりやすい文章を書く」能力が求められる一方、今やビジネスコミュニケーションのメインツールであるメールのルール化とその教育は、立ち遅れているのが実態。
(3)現状は紙文書のルールに準じてメールを作成する人が多数と見られるが、メールにはメールのルールがあり、別途その整備と教育に取り組むことが求められる
(4)特に、新入社員向けの初期教育では、メールを入り口とすることがその後の実践を通じた文書作成能力の強化につながると考えられる。

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新入社員に見られる「飛ばし読み」現象

人材開発部長 小西 明子

【要点(Point)
(1)例年、この時期に研修で接した新入社員の行動特性について本欄で報告している。
(2)今年の新入社員研修では思わぬところで研修生活ルールの不徹底が判明した。
(3)その原因の一つと筆者が考える「飛ばし読み」現象について紹介する。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「スマート(AI)スピーカー」 「NEV規制」

■お薦め名著

『ハーバードでいちばん人気の国・日本』

佐藤 智恵 著

■ズーム・アイ

「爆買い」から「爆輸入」に―ビジネスチャンスを活かせ

主幹 寒川 雅彦

前回、2016年12月号で「富める者から富めばいい」と題して、中国人観光客や中国の国内事情・今後の動向について触れました。当社近隣の秋葉原をうろついていると、以前からの台湾、香港、沿海部あたりの観光客に加え、最近は巻き舌でアール音の利いた中国語をよく耳にします。これは北京を中心とした普通語(標準語)の特徴ですが、主に東北部の人々に多い発音です。また、それに加えて、タイ語、インドネシア語といった東南アジアの言葉も聞こえてきますので、確実に客層が拡大・変化していることがうかがえます。