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2010年10月1日
なぞかけ芸人と有名起業家の思考法

 即興なぞかけで今年ブレイクした「ねづっち」というお笑い芸人がいます。その場で突然出されたお題に対し、「整いました!」の決め台詞と共になぞかけを披露するのですが、この「整う」までの時間はわずか数秒。これをいくつもお題を変えてやってのけます。もはや芸の域を超え、一体どんな思考回路をしているのか?と感心してしまうほど。ある雑誌のインタビューによれば、浅草の寄席で落語家がなぞかけを披露しているのを見て、「これを極めてみよう」と思ったのが即興なぞかけを始めたきっかけで、なぞかけ以外の会話を禁止した飲み会を芸人仲間とやったりして、今もその芸に磨きをかけているそうです。ということは、訓練次第である程度できるようになるみたいです。  話は一転して、ソフトバンク社長の孫正義さん。早くから起業を志し、高校生の時には起業に向けて何を勉強しておけばいいかを聞くため、全く面識がないにも関わらず、日本マクドナルド創業者の藤田田さんをアポなしで何度も訪れたというエピソードは有名です。そんな孫さんですが、様々なキーワードを書き込んだ単語カードをいつも2 個持ち歩き、ランダムに開いて出てきた2 つのキーワードの組み合わせからどんなビジネスができるか、暇さえあれば考えていたそうです。繰り返しやっていると次第に案が浮かぶようになり、やがてどのキーワードの組み合わせでもアイデアが出てくるようになったといいます。  この2 人の思考は、一見異質なA とB から共通するC を導くという点で本質的に同じです。「A とかけてB と解く。その心はC」というなぞかけの論理は、「A=C、C=B ゆえにA=B」です。つまり、Aに関連するCをまず考え、次にCとつながるBを導き出す流れです。ねづっちがなぞかけを考えているときの脳を計測したあるテレビ番組の実験では、特に活性化している部位から、お題に関する映像を頭に浮かべなが、同時にいくつもの言葉を探り出していることが分かっています。孫さんの思考も、キーワードAから連想した多くのCから、キーワードBとつながるものを選んでいるとすれば説明がつきま。共に重要になるのはCを連想する能力です。多くのCを連想するためには、AもしくはBについて、様々な情報や視点が必要になります。この積み重ねが情報のストックとなり、やがて一瞬の思考で2つが結びつくようになると思われます。論理的に深く掘り下げていく垂直思考(いわゆるロジカル・シンキング)に対し、連想して広げていくこのような思考法は水平思考(ラテラル・シンキング)と呼ばれます。  異質な組み合わせから新たな発想をするというと天才的な閃きと思われがちですが、2人とも思考訓練によって思いつくのが早くなったということからも、決して限られた人だけが持つ特殊な能力ではないはずです。2人の域に達するのは一朝一夕には無理としても、発想力を鍛えるのになぞかけの思考法は有効と言えそうです。ということで、「本稿」とかけまして「2人目の子供も女の子」と解きます。その心は「これでしまい(姉妹/終い)です」。