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2004年3月1日
繊維トレンド3・4月号 2004 No.45

■特別レポート1

日本繊維産業連盟役員総会における前田勝之助会長の挨拶 工商一体の相互信頼のもと「繊維ビジョン」に盛り込まれた「改革と創造」の確かな実行を  -平成16年の活動方針-

 日本繊維産業連盟は、日本紡績協会、日本化学繊維協会など27団体で構成され、繊維産業全体に関する重要問題について、対策を講じる団体である。  去る1月22日(木)に開催された同連盟の役員総会において、(1)繊維産業の構造改革の推進、(2)産地活性化・中小企業対策、(3)輸出拡大と通商政策、(4)国内事業基盤の維持強化、(5)日本を支える基幹産業としての繊維産業の重要性の再認識、(6)税制問題、(7)国際交流 の平成16年活動方針が決定された。  前田勝之助会長は、「工商一体の相互信頼のもと、『繊維ビジョン』に盛り込まれた『行うべき改革』『改革を伴った創造』を確実かつ迅速に実行することが重要である」と挨拶した。

■特別レポート2

日本繊維産業連盟役員総会における加盟各団体からの意見表明

各業界の現状と当面の課題  1.日本アパレル産業協会 理事長  中瀬 雅通  2.社団法人日本衣料縫製品協会 会長  小池 俊二  3.日本ニット工業組合連合会 理事長  山下 雅生  4.社団法人日本染色協会 会長  八代 芳明  5.日本絹人繊織物工業組合連合会 副理事長  増永 矩明  6.日本綿スフ織物工業連合会 副会長  藤井 良己  7.日本羊毛紡績会 会長  田中 昌弘  8.日本化学繊維協会 会長  皇 芳之  9.日本紡績協会 会長  指田 禎一

 日本繊維産業連盟役員総会(1月22日開催)において、加盟各団体から表明された意見を各団体のご協力を得てここに掲載する。  この意見表明は、各団体が直面する課題にいかに対応していくかの基本的な考えを述べられたものであり、各業界の指針とも言うべきものである。

■海外動向

シリーズ「実践 中国ビジネスの果実と毒 ・・・中国ビジネス成功の秘訣」 第2回 裏の裏まで見抜くのは至難の技、相手に裏の裏は見せるな 

中国ビジネス研究所 所長 中国弁護士  馬 英華

【要点(Point)】
(1)意志決定の前に、二次情報に頼らず客観的裏付けをとること、併せて現地に足を運び生の情報をつかむこと、そして、両者に矛盾がないかを比較チェックすることが基本。
(2)中国への投資に当たっては、投資目的を明確にし、市場調査を十分行い、進出候補地の実態を正確に把握した上で決定すべき。
(3)契約を交わす際には、最悪の事態まで想定して、その際の被害が最小になるような条件・条項を織り込むこと、その際必ず違約金の条項を設けておくこと。
(4)繊維業界において、生産委託先には、技術ノウハウの裏の裏は見せないことが基本、技術移転・供与が必要な場合は、委託先と秘密保持契約、ロイヤリティー契約を結ぶこと。

CEPA 活用による中国市場攻略の可能性  有限会社シナジープランニング 

代表取締役  坂口 昌章 

【要点(Point)】
(1)繊維ファッション業界の輸出振興は中小企業主体であり、大企業は三国間ビジネスを志向している。
(2)日本企業を対象にする中国生産ビジネスと、中国企業、中国の消費者を対象とする中国市場参入ビジネスはまったく別次元のビジネスと理解すべきである。
(3)輸出ビジネスは、FTA(三国間自由貿易協定)を軸に動く。本社、営業拠点等の立地も検討する必要がある。
(4)中国と香港の間で締結された経済貿易緊密化協定CEPA(CloserEconomicPartnershipArrangement)は、香港製品のゼロ関税、香港企業に対するサービス貿易開放、貿易投資の簡素化等が主な内容。日本企業がCEPAのメリットを享受する可能性もある。
(5)中国の流通解放後も直セ素参入のハードルは高い。香港・台湾・シンガポール等の華僑企業とのパートナーシップ、ネットワークが大切になる。

アジア主要国の合繊需給シリーズ 第1回 中国-独り勝ち、一段と鮮明に  中国の勢いをどう取り込むかが我が国繊維産業の課題

向川 利和  特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)世界最大の繊維生産・輸出国となった中国の勢いはとどまるところを知らない。昨年、合繊の生産は、1,000万トンを突破し、繊維品輸出は700億$を突破した。この中国の勢いをどう取り込むかが、日本の繊維産業の課題であり、日本企業成長戦略の要の一つになる。
(2)この中国の繊維強国になった背景にあるのは、経済全体の規模拡大/経済成長である。更にこの驚くべき経済成長の背景には、外資の受け入れがある。
(3)しかし、米国の対中赤字が2002~2003年と2年連続して1,000億ドルを超えたことで、米中貿易摩擦が激化する恐れがあり、人民元切り上げの圧力はますます強まるだろう。
(4)中国の合繊及び合繊原料の大増設が続く。過剰な設備投資計画に警戒感が台頭してきた。

■国内動向

ヨーロッパのラグジュアリーブランドが日本で売れている理由  - 価格は高くとも限られた人が持っているものが欲しい - 

小林 元  特別研究員

【要点(Point)】
(1)2003年7月策定の「繊維ビジョン」は、「日本の技術力、デザイン力は世界有数であり、世界に通用するブランドを確立し、輸出にも注力すべき」と提唱している。
(2)日本アパレル業界は、従来から主にアメリカ型の少品種大量生産の汎用品ブランドビジネスを展開してきたが、ここ数年消費者の嗜好が変わりつつあり、ヨーロッパ型の多品種少量生産のラグジュアリーブランドへ選好が深まっている。にもかかわらず、ビジネスモデルが依然としてアメリカ型となっており、市場の変化についていっていないところに問題がある。
(3)ラグジュアリーブランドはもともとヨーロッパの王侯貴族のために作られたもので、ヨーロッパにおいては、「販売量が限定され、高い地位や教養といったイメージにつながっており、価格もそれに見合う高いものになって当然」との認識がある。
(4)日本の若い世代の人々が、寮を限定し、高いイメージを売り物にするイタリア、フランスのラグジュアリーブランドに飛びつくのは、彼らがいまや「マズローの欲求」の第4段階(自尊欲求)から第5段階(自己実現欲求)に入ってきていると考えられる。このことは、日本が「世界に通用するブランドの確立」を考える上で大きなヒントとなろう。

甦れ! 和服  - 日本人のアイデンティティと着物の機能性・快適性の再発見 - 

足立 敏樹  繊維調査グループ シニア・リサーチャー

【要点(Point)】
(1)長い歴史の中で培ってきたみずからの生活文化における美意識やスタイルの世代間伝承をしていかないと、和服だけでなく、洋服の選択基準も育たない。
(2)今、’和’関連ニーズが、世代や性差を超えて高まっているが、着物産業は十分取り込めていない。
(3)着物の機能性に着目し、ユニバーサルファッションとしての着物の開発、日本の風土に適したおしゃれ着としての着物の開発が今、求めされている。
(4)ブランド単位の商品開発や流通開発が必要である。
(5)エンドユーザーは、低価格品だけを求めているわけではない。枚数は少なくとも満足感の高い一枚を欲している。その一つに着物を位置づける。

なぜニーズに合った靴下に出会えないのか?

今津 裕樹 繊維調査グループ リサーチャー

【要点(Point)】
(1)問屋や小売店には靴下に関する専門知識を持つ人材がおらず、店頭で商品説明や相談を行う機能を持っていない。そのため、消費者のニーズが供給者側に伝わることがなく、また、ニーズが分からないが故に、店頭には多品種を揃えざるを得なくなっている。
(2)仮に品質・性能面での差別化が図られても、店頭で違いを見分けることは不可能に近いのが現状である。これを改善するためには、上記(1)の解決のほか、商品になる過程の透明性の向上(顔の見えるモノづくり)、商品規格の制定が必要である。
(3)取材先の靴下メーカー((株)上林繊維)は、自ら語ったこれらの課題に着実に取り組んでいる。同社のような地道な事業展開が靴下のステイタスを高め、確たるファッション分野に発展させることを期待したい。

■新製品・新技術動向

高機能繊維市場の現状と展望

深津 孝男  取締役 繊維調査グループリーダー

【要点(Point)】
(1)高機能繊維とは、ポリエステルやナイロン等の汎用繊維と比較して強度、弾性率、耐熱性、耐薬品性など優れた機能を有する素材で、軽量でもあり省エネルギーにも貢献する高付加価値繊維である。
(2)高機能繊維の開発においては、米国のデュポン社は別格として、我が国の合繊メーカーが自社開発もしくはM&Aで技術、市場を確保しており、当分の間世界的に我が国の優位なポジションを維持できよう。
(3)高機能繊維は限界的なところに使用されることが多く、量的にも限られた市場であることから、研究開発リスクが大きくなりがちで、M&Aや技術提携など汎用繊維とは違った戦略が採られる。
(4)未知の用途、未知の高分子技術という開拓者精神をかき立てる分野であり、用途拡大を狙ったコストダウンのためには、世界の工場となった中国をどう取り込むかもポイントとなろう。

■知りたかった繊維ビジネスのキーワード

トレンド 

有限会社シナジープランニング 代表取締役  坂口 昌章

■統計・資料

合繊主要4品種の需給動向 

日本/韓国/台湾/アメリカ/中国/インドネシア/タイ