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2008年2月1日
世界的な「和」のブームを活かしませんか

 ここ数年、様々な分野で「和」のブームが静かに広まっている。書店扱いが無く定期購読のみの“「和」の心を楽しむ月刊女性誌『和楽』”が発刊されたのが2001年8月、何も日本の女性だけが「和」に関心を持つわけではない。男性の読者も、この種の女性誌としては異例な5%も存在する。更には外国の人たちも「和」に大きな関心を示す。関心の対象には、歌舞伎、小唄、尺八、三味線など歌舞音曲から家具・調度・照明、絵画、建物などの製作物、海、山、川、湖、森などの自然景観等が含まれる。  また、ファッションやデザインの世界でも、日本のテキスタイルがヨーロッパコレクションに幅広く採用され、村上隆氏がLouisVuittonとコラボレートした商品が評判になり、彼の作品はアメリカでも大人気を博している。  観光面では、古都京都や奈良を中心に国内外の観光客が年々増加している。  一昨年の本誌の新春対談に登場していただいたセーラ・マリ・カミングスさん。長野県小布施町の造り酒屋を舞台に、町おこし旋風を巻き起こしたことで有名。彼女も「和」に魅せられたひとりだ。「日本の地方には本当に古き良きところがたくさんあって、それを引き出し、地方の活性化につなげなくてはならない」と語って、都会ではなく地方の町に「和」を見つけ育んでいる。  さて、「和」には「やまと」「日本」という意味がある。「大和」とも書かれるが、中国の三国時代には「魏志倭人伝」に記されたように、日本は「倭」と呼ばれていた。「倭」の意味は、漢和辞典によると、「したがうさま。従順なさま。また、つつしむさま。」となっている。一方、「和」も同様に、「やわらぐ。なごむ。こたえる。」という意味が並ぶ。  「和」の熟語を見ると、平和、柔和、温和、緩和、和解、和議、和気藹々(わきあいあい)など癒しの文字が並んでいる。元号が昭和から平成に変わり20年経つが、元号・昭和の語源は儒教の最も重要な経典と言われている『書経堯(尭;ぎょう)典』の一節「百姓(ひゃくせい)昭・明、協和・万邦(百姓昭明なり、万邦を協和せしむ)」、国民の平和及び世界各国の共存繁栄を願う意味であるという。残念ながら「名は体を表す」とはいかず、「昭和時代」の始めの三分の一は大不況や戦争に明け暮れたりした。  ところで、「以和為貴(わをもってたっとしとなす)」という言葉は聖徳太子が30歳のとき(604年)に制定したと言われる日本初の成文法「十七条の憲法」の第一条の最初にある言葉だが、後に続く文章を含めて「和を何よりも大切にしなさい。(中略)上の者も下の者も協調、親睦の気持ちをもって論議するならば、自(おの)ずから物事の道理に叶い、如何なることも成就するものだ」と解説されている。ストンと腹に落ちる言葉である。  80年頃日米貿易戦争の最中「競争か協調か:Competition and/or Cooperation」と言われて久しいが、21世紀の日本はこの7年間、小泉、安倍、福田政権のもと、アメリカ流競争原理を徹底せんとする「構造改革」の呪文に縛られて、「和」の持ち味を活かそうとしなかったのではないだろうか。還暦(戊子)を迎えた新年に当たって、改めて「和」を深く吟味し、追究していきたいと思っている。