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2004年6月1日
経営センサー6月号 2004 No.63

■経済・産業

活発化する中・東欧諸国への日系企業の進出 -EU拡大をビジネスチャンスに-

日本貿易振興機構 海外調査部 欧州課 上席課長代理  前田 篤穂 

【要点(Point)】
(1)中・東欧主要国のEU加盟に伴い、豊かな西欧市場へアクセスするための拠点として、中・東欧の戦略的重要性が高まっている。
(2)日系企業についても、自動車(部品服務)関連を中心として既に中・東欧への事業進出が進められている。欧米や韓国の企業も、西欧に比べて低廉な人件費、政府の投資優遇措置、有利な税制などのメリットを意識した投資を加速している。
(3)また、中・東欧は所得水準の上昇も進んでおり、新興市場としても期待される。
(4)ただし、中・東欧固有のビジネス・リスクや更なる周辺地域へのEU拡大にも留意しつつ、事業展開を進めなければならない。

中国発・素材インフレは日本のデフレ解消につながるか 

増田 貴司  産業経済調査部長・チーフ エコノミスト

1. 2001年以降の国際商品価格高騰の背景には、世界景気の回復のほか、高成長が続く中国の旺盛な原材料需要という要因がある。国際商品価格高騰の影響で、既に日本でも素材価格が上昇している。 2. 素材価格の上昇は、現状では最終製品価格の上昇にはつながっておらず、川上インフレと川下デフレが共存した状態にある。 3. 最終製品については、(1)中国の供給力が過大で製品価格の下落圧力が持続すること、(2)需給ギャップが根強く残っていること、(3)雇用者所得の低迷を背景に消費者の低価格指向が依然として強いことなどから、加工業種は原材料価格上昇分を最終製品価格に転嫁することが難しい。 4. 中国発・素材インフレだけでは日本のデフレは解消しない。世間で浮上し始めた日本のデフレ脱却期待は性急すぎる見方だ。日本のデフレ脱却には、国内の需給ギャップが解消し、素材価格上昇が最終製品価格に転嫁されやすい環境が整う必要がある。 5. ただし、国内の需給ギャップは縮小傾向にあり、原材料高の価格転嫁も川中製品まで急速に広がっており、デフレ圧力が和らいできていることは確かである。

生活の中のナノテクノロジー最前線 

飯田 汎  チーフ・コーディネーター  特別研究員

【要点(Point)】
(1)ナノテクノロジー(NT)は、IT(インフォメーションテクノロジー)、BT(バイオテクノロジー)とともに21世紀産業の主役を担い、微細なものを扱うが故に日本のお家芸として、2010年に日本で27兆円の市場が期待されている。
(2)ナノテクノロジーは、物理、化学、機械、電気、電子、材料、生物、医学など広範囲の伝統的な化学技術分野と横断的にかかわり、それを統合するものとして存在する。
(3)ナノテク化粧品でなじみ深いナノテクノロジーの一分野で花形の一つであるナノ粒子技術は、単電子デバイス、量子ドット、発光素子など様々な応用が期待されている。
(4)1テラビット級超高密度メモリや大容量記録メディア技術は、省資源・省エネ技術社会に必須のナノテク技術であり、これらの開発が、ユビキタスネットワーク社会の実現を促進している。
(5)DDS(ドラッグデリバリーシステム)、バイオチップやバイオセンサーの開発が進展し、健康長寿社会に向けた寄与が期待されている。

「ちょっと教えて! 現代のキーワード」

「イノベーション」 「FTA(自由貿易協定」

■視点・論点

”日本”企業の無意味化ということ 

日本郵船株式会社 顧問  目黒 征爾

■マネジメント

ユニ・チャーム株式会社のCSR推進 -今、CSRを実践することの意味-

ユニ・チャーム株式会社 執行役員常務  コーポレート・ソシアル・レスポンシビリティ部長  石川 英二 

【要点(Point)】
(1)社会動向とお客様の要求事項が変化し始め、企業としての誠実さが必要とされてきていることを実感し、今するべき事を見直した。
(2)企業の社会的責任(CSR)は今の時点から始まったことではなく、創業以来から明確に謳われていた社是の具現化である。
(3)製品特性から見た製造業としての企業価値、存在価値を見つめ、本業に根差したCSRとなる様に推進体制を整備して専門組織を設置し、更に論理法令遵守の徹底へと拡充した。

ビジネス支援型NPOの現場から -高齢者雇用対策や産業振興対策の起爆剤になるか(前編)-

特定非営利活動法人「ビジネスサポート・ネットワーク」副理事長  宮本 鐡也

【要点(Point)】
(1)最近、新聞・雑誌などでビジネス支援型NPOの記事が多く散見される。実際活動している現場からその実態を調査・報告する。
(2)2003年3月末で16,000以上のNPOが認証されているが、ビジネス支援型NPOの占める割合は低いものの、期待される面から注目度が高い。
(3)主に受益者としての中小企業経営者からの認知度はまだ低いが、確実にその実績を上げつつある。
(4)ビジネス支援型NPOは産声を上げたばかりのステージであり、NPO自身にも問題が潜在しており、日本全体に産業振興・雇用機会拡大に寄与できている段階ではない。しかしながら団塊の世代の定年時期が近づいているという社会情勢から、その機能の拡大と評価の高まりが予見できる。

■人材

好きこそものの上手なれ 

-富士男の面白リーダーシップ論(5)- 渕野 富士男  取締役 人材開発部門長

【要点(Point)】
(1)「面白マネジメント」は、仕事の面白さをとことん追求する日本型の新しいマネジメントである。面白さの度合いが高度知恵社会の新しい勤勉さや生産性の指標となるからである。今回は面白さに多いに影響する「好き」という感情に焦点を当て、掘り下げてみる。
(2)好きは面白いに通じる。好きなことは面白い。面白いから好きになる。重要なことは、好きになることが面白さを左右することである。好きは理屈ではない。愛に満ちた感情である。みずから燃える原動力になる。好きになる秘訣はまず自分を好きになることである。
(3)本誌連載中の「面白リーダー」は、仕事を面白くするために「好き」のパワーや「好きこそものの上手なれ」を最大限マネジメントに生かそうとする。もっと感情に注目する「感じるサラリーマン」を提唱する。

■ズーム・アイ

方向音痴とカーナビの誘惑

増田 貴司

■今月のピックアップちゃーと

たんす預金はご一服!  -日銀券の伸び率は金融システムへの信頼感を反映-

■TBRの広場

[参加者募集] 新・ヒューマン研究会(第15期)