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2004年8月1日
経営センサー7・8月号 2004 No.64

■経済・産業

注目集める巨大市場インド

東京三菱銀行 調査室 調査役  福地 亜希

【要点(Point)】
(1)中国が膨大な直接投資を受け入れ「世界の工場」となることで高成長を実現させているのに対して、インドは直接投資受け入れや経済発展のスピードで大きく見劣りする。
(2)とはいうものの、消費の鍵を握る中間所得層の拡大に伴い、外国企業にとって無視できない市場に変化しつつあるため、韓国企業などは急速にシェアを伸ばしている。
(3)更に、自由貿易協定(FTA)協議などを通じてASEANなどとの連携に取り組み始めているほか、パキスタンとの緊張緩和を模索する動きなど国際社会との協調姿勢がうかがわれるようになっている。日本企業としても、こうした変化を捉えながら、それに対応した中国・インド両睨みの地域戦略を立てる必要性が高まっている。

「攻め」に転じた日本の産業政策 -新産業創造戦略は日本産業再生につながるか-

増田 貴司  産業経済調査部長・チーフ エコノミスト

1.経済産業省は、2004年5月、日本産業が今後目指すべき方向を示したレポート「新産業創造戦略」を発表した。同戦略は、「イノベーションと需要の好循環」の実現を狙いとしたものである。 2.新産業創造戦略は、(1)強い競争力を活かし世界で勝ち抜く先進産業群、(2)社会の変化に対応した市場ニーズに応える産業群、(3)地域再生を担う産業群、の3本柱について強みと課題を分析している。 3.その上で、今後の日本経済の発展を担うべき新産業分やをして、(1)燃料電池、(2)情報家電、(3)ロボット、(4)コンテンツ、(5)健康・福祉・機器・サービス、(6)環境・エネルギー・機器・サービス、(7)ビジネス支援サービス、の戦略7分やを選定し、成長実現のためのアクションプログラムと重点政策が示された。 4.新産業創造戦略の中身については、(1)日本の産業政策が「攻め」に転じた、(2)イノベーション促進に照準が合わされた、(3)将来日本を牽引する新産業の具体的イメージを提示した、(4)「光度部材産業集積」を活かした「擦りあわせの連鎖」が日本のものづくりの真骨頂と明治した、など評価すべき点が含まれている。 5.肝心なことは、同戦略の政策は、政府が一丸となって取り組まないと実現しないほか、政権が変わっても一貫して推進しなければ実を結ばないということである。

新規事業創出の尖兵となるスピンオフ型の社内ベンチャー制度 -先進企業3社に聞く-

福田 佳之  産業経済調査部 エコノミスト

【要点(Point)】
(1)リコーは、2003年にリコー社内ベンチャー制度「チャレンジ21」をつくり、社員提案型の新規事業造りに取り組んでいる。リコーは資本金や知的財産などの使用などの支援をするが、提案者はリコーを退社しなければならない。
(2)富士通では、10年前より一連の社内ベンチャー制度を設け、新規の事業創出活動(コーポレートベンチャリング活動)を行ってきている。リコー同様の社内ベンチャー制度のほか、既存事業を独立させる「スピンアウトプログラム」、社内での事業化も視野に入れた「新技術インキュベーションプロジェクト」がある。
(3)シチズン時計は2001年に社内ベンチャー制度を導入しているが、加えてインキュベーションセンターとしてシチズン・アクティブ株式会社を翌02年に設立している。
(4)上の3社は、程度の差はあれ、社内ベンチャー制度を企業での新規事業創出の仕組みの一つとして位置づけており、そのような仕組みから生まれたベンチャー企業こそ成功する確立が高いと思われる。

日本の主要業種収益動向 -中国需要拡大・デジタル景気で最高益更新-

永井 知美  産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)全国上場企業の2004年3月期連結決算は、合理化で固定費削減が進んだところに、中国での需要拡大、デジタル景気などの追い風が吹き、3年ぶりの過去最高益更新(形状利益・全産業ベース)となった。
(2)2003年3月期連結決算が主にリストラ効果による増益だったのに対し、2004年3月期は、電子デバイス利益拡大(電機)など、本業好調の業種が目立った。
(3)2005年3月期は3期連続の増収増益となり、2期連続で過去最高益更新の見通しである。リストラ進展で利益の出やすい体質になっていることに加え、アジア需要、デジタル機器の伸びが収益を牽引すると見られる。ただ、原材料価格上昇、最終製品の価格下落傾向などの懸念材料もある。

「ちょっと教えて! 現代のキーワード」

「ICタグ」 「トレーサビリティ」

■視点・論点

グローバル経営か日本型経営か

前日本電気株式会社 執行役員常務 財団法人 企業活力研究所  理事長  土居 征夫

【要点(Point)】
(1)経営改革の現場では、グローバル化が進む一方で日本型経営の再評価の動きもある。
(2)グローバル経営と日本型経営の両者を止揚した新しい経営モデルの創出が期待される。
(3)改革がトップダウンで強力に進められすぎると、現場の活力が損なわれる恐れもある。
(4)働く人のモチベーションに着目した新しい小集団活動に取り組む必要がある。

■マネジメント

経営戦略としてのCSR

株式会社野村総合研究所 経営コンサルティング部 主任コンサルタント  伊吹 英子

【要点(Point)】
(1)企業の社会的責任を経営戦略の一部として機能させるためには、戦略的思考が欠かせない。
(2)企業が取り組むべきCSRの活動領域は、A:企業倫理・社会責任領域、B:投資的社会貢献活動領域、C:事業活動を通じた社会革新領域の3つに整理される。
(3)これら3領域のバランスを考え、各社の事業特性や経営環境に合わせた独自の戦略を見出していくことが、CSRの実践を通じて企業価値を効果的に向上させるための成功条件である。

ビジネス支援型NPOの現場から

- 高齢者雇用対策や産業振興対策の起爆剤になるか(後編)-  特定非営利活動法人「ビジネスサポート・ネットワーク」副理事長  宮本 鐡也

(1)ビジネス支援型NPOは産声を揚げたばかりのステージであり、NPO自身にも問題が潜在しており、日本全体に産業振興・雇用拡大に寄与できている段階ではない。しかしながら、団塊の世代のリタイヤが近づいているという社会情勢から、その機能の拡大と評価の高まりが予見できる。

■人材

企業経営と人的マネジメント戦略 -慶応義塾大学大学院 経営管理研究科 教授 高木晴夫氏に聞く-

インタビュアー: (株)東レ経営研究所 人材開発部 プランナー 川畑 由美

■ズーム・アイ

牛丼とブランド

黒田 薫

■今月のピックアップちゃーと

競争力が回復したのは日本だけじゃない  -東アジア諸国の国際競争力順位の推移-

■TBRの広場

「経営改革支援プログラム」のご提案