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2004年8月16日
「日本のデフレ解消は道半ば」
チーフエコノミスト
増田 貴司

・2001年以降の国際商品価格高騰の背景には、世界景気の回復のほか、高成長が続く中国の旺盛な原材料需要という要因がある。国際商品価格高騰の影響で、すでに日本でも素材インフレが顕在化している。 ・素材価格の上昇は、現状では最終製品価格の上昇にはつながっておらず、川上インフレと川下デフレが共存した状態にある。 ・最終製品については、(1)中国の供給力が過大で製品価格の下落圧力が持続すること、(2)需給ギャップが根強く残っていること、(3)雇用者所得の低迷を背景に消費者の低価格指向が依然として強いこと、などから加工業種は原材料価格上昇分を最終製品価格に転嫁することが難しい。 ・中国発・素材インフレだけでは日本のデフレは解消しない。巷間浮上し始めた日本のデフレ脱却期待は性急すぎる見方だ。日本のデフレ脱却には、国内の需給ギャップが解消し、素材価格上昇が最終製品価格に転嫁されやすい環境が整う必要がある。 現状はデフレ脱却はまだ道半ばといえる。 ・ただし、国内の需給ギャップは縮小傾向にあり、原材料高の価格転嫁も川中製品まで急速に広がっており、デフレ圧力が和らいできていることは確かである。 ・2005年度入り後、海外経済の減速を受けて日本の景気が調整局面を迎えるという標準シナリオに基づけば、デフレ脱却の時期は今回景気回復期ではなく、2006年以降に訪れる次回の景気回復期に持ち越されよう。しかし、今回景気回復局面が予想外に長期化した場合は、早ければ2005年度後半に実現する可能性もある。

PDF : TBR産業経済の論点 No.04-16(114KB)