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2019年10月15日
内外経済観測:戦後最長景気の行方と今後の注目点
取締役 エグゼクティブエコノミスト
増田 貴司

Point
(1)2019年前半の日本の国内総生産(GDP)は内需中心に予想外に堅調だったが、その他の経済指標等から判断すれば、国内景気は依然停滞感が強い状況を脱していない。
(2)日本経済は2020年度にかけて内需主導の緩やかな成長が続く見通しで、2019年10月に実施される消費増税による景気腰折れのリスクは小さい。しかし、世界経済減速による輸出の減少と企業収益の伸び鈍化、米中対立激化など世界の経済政策の不確実性の高まりなどを背景に、先行き内需の伸びは鈍化し、低空飛行が続く見通しである。
(3)「日本の景気が悪化するきっかけはほとんど常に海外経済の変調」という経験則からすれば、外部環境は厳しい状態が続く。減速が続いている世界の成長率は2020年には持ち直す見通しだが、米中貿易摩擦やハイテク・安全保障の覇権争いが激化・長期化すれば、下振れすることが避けられない。
(4)世界的に製造業は調整局面に入っており、世界貿易量は縮小傾向にある。また、政策の不確実性の上昇が企業活動を抑圧している。
(5)日本の設備投資は、依然として堅調を維持しているが、ここにきて変調の兆しも見られる。2019年度の設備投資計画は現時点では高水準だが、今後下方修正される可能性が高い。一方、世界経済減速や不確実性の増大にもかかわらず、中期的に成長市場開拓に取り組む企業が増えている点は注目される。
(6)主要国の金融政策は2019年央以降、緩和競争の局面に入っている。米国のみならず世界各国で債務への依存度が高まっている局面で、金融緩和競争に突入したことは、世界景気の延命には寄与する。しかし、債務バブルを一段と膨張させ、将来、何かをきっかけに世界不況が訪れた際の調整を深刻なものにするという副作用もある。
(7)日本経済の下振れリスクとしては、①米中対立の一段の激化、②中国経済が大規模な財政・金融政策発動にもかかわらず減速に歯止めがかからないケース、などが想定され、これら海外動向を引き続き注視する必要がある。

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