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2010年12月1日
繊維トレンド11・12月号 2010 No.85

■海外動向

リーマンショック後の世界の繊維品貿易の動向

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主任部員 鍵山 博哉

【要点(Point)】
(1)2009 年の世界の繊維貿易額はリーマンショックの影響もあり、前年比14%減とかつてない大きな落ち込みとなった。
(2)2010 年に入ると、アジア主要国を含む世界の繊維品輸出は回復に向かっている。
(3)世界の繊維貿易構造をみるとリーマンショックからの回復過程で、アジア域内の輸出拡大、FTA 効果、産業資材関連の繊維品貿易の拡大といった新しい動きが起こっている。

2011/12 年の欧州秋冬物素材展を見て

ニットデザイナー 小川 健一

米国紳士服市場の現状と展望

英字ファッション情報誌「NY Street Fashion: Multicultural Fashion & Lifestyle Magazine」シニアエディター マヤ・カワムラ

米国のテクニカル・テキスタイルの開発動向

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点(Point)】
(1)米国のテクニカル・テキスタイルは軍需産業に支えられた防護衣料・器具と電子・IT 産業を中心に多くの報告がみられた。更に、最近は医療用途など健康と生活の安全・快適性を追求する製品開発が注目されている。
(2)地球環境と資源の維持の概念の高まりから、アラミド繊維などのスーパー繊維を含む多様な繊維素材のリサイクル技術開発が進み、天然繊維の見直しとバイオマテリアルの開発に力点が置かれている。
(3)興味深い新製品はメタアラミド繊維をベースとしたアーク放電防止衣料や、化学兵器、放射線、生物兵器、核兵器などのテロ対策防護服、鉛を使用しないⅩ線障害防護服など特殊防護衣料の開発や炭素繊維入りのRFID 代行の不織布、銀メッキやポリアニリン含有の高性能導電繊維などである。加工技術としてはプラズマコーティングによる完全撥油・撥水加工や分割型複合紡糸方式によるフィルター用の超高表面積繊維素材の製造などである。
(4)繊維に関係している大学での実用型研究開発が活発で、リチウムイオン電池用ナノ繊維素材など多くの成果報告が興味深い。

■国内動向

成長戦略なきアパレル企業は淘汰される −日本アパレル企業成長戦略の提案−

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)「 経営の視点」と「投資の視点」は異なる。経営が限られたリソースの中でいかに事業を完結させるかを主体に考えるのに対し、投資ではいかに外部のマネーを自社に取り込み、循環させるかを考える。投資の基準は「成長」であり、成長する意志、成長戦略がないところに投資は集まらない。日本アパレル企業も成長戦略を描くことが不可欠である。
(2)日本のアパレル企業は、70 年代、80 年代の20 年間、日本国内市場を独占することで急激な成長を遂げた。90 年代のバブル崩壊後、国内ルールはグローバルルールに書き換えられ、1990 年代から2000 年代は失われた20 年となった。2010 年からは新しい20 年間が始まろうとしている。
(3)投資家が日本の国内アパレルに投資できない理由は、成長戦略の欠如である。限定された国内市場、既存の流通システムに依存している限り、成長は期待できないだろう。また、商社に依存した生産体制も成長を妨げている。
(4)投資の対象となり得る成長戦略は、新しい海外市場の開拓、新しい技術を活用したビジネスモデルの革新、クリエイター、デザイナーを活用した新ブランドの開発等、既存のビジネスから脱却し、新時代に対応することである。
(5)日本料理、日本映画、ジャパニメーションがあるように、独自の日本ファッションとは何かを考える時期に来ている。欧米のキャッチアップ、低価格戦略は既にアジア諸国に移転していると見ていい。日本ファッションを確立することが、次の20 年の成長戦略につながる。

PDF : 詳細(PDF:809KB)

繊維産業と産業文化財

東京産業考古学会 副会長(元嘉悦大学 教授) 平井 東幸

【要点(Point)】
(1)産業文化財とは、産業に関連した歴史的に重要な文化財である。産業遺産ともいい、その保存と活用が望まれている。
(2)産業遺産を研究する学問が産業考古学であり、産業遺産を調査研究し、その保存と活用を図るフィールドワーク主体の学際的な学問である。
(3)繊維関係の文化財を、各社で保存・展示されているものを含めてここで紹介する。それは国民的な貴重な文化財であるものが少なくない。

PDF : 詳細(PDF:1,009KB)

シリーズ 日本ファッションアパレルの課題と今後の展開 第11 回 パリ・ミラノで販売可能な“プレタポルテ” の設計生産実験、 日仏量産見本の制作と評価

信州大学 名誉教授・繊維学部 特任教授 大谷 毅 文化女子大学 教授 服装学部長 池田 和子

【要点(Point)】
(1)本稿は2B-工程実験のなかのParis Aicp 工程実験である。メゾンの“プレタポルテ” レベルの所与の設計に基づいて、日本で製品ができるかどうか、本稿では一連の設計製造過程のなかの「量産見本」の制作にかかわる実験である。
(2)結論として得たことは、《①》日仏間での評価をめぐって関心を示す事項、いわば評価内容や評価基準には差があること(次項参照)、《②》メゾンのatelier 部門とアパレル工場が設計過程・製造工程を打ち合わせれば、その差は埋まること、《③》ただしその打ち合わせは紆余曲折が予想され学習効果2 が働くであろうけれども、当初はそれなりの時間と費用がかかること、よって、《④》パリ・ミラノで売れる製品を日本で製造することは不可能ではないことである。
(3)日仏間の評価差は、仏ではできあがった服飾全体のバランスやシルエットのような感覚的事項に関心があるのに対し、日本では襟外回りプレス・縫い代あたり・中とじのような物理的事項に関心を寄せる傾向がみられた。

PDF : 詳細(PDF:1,233KB)

東京ガールズコレクション

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)東京ガールズコレクションは、リアル・クローズを掲げて、直接消費者に訴えかけるファッションショーを中心とするファッション・イベントだ。
(2)IT を駆使した販売促進=クロスメディア戦略を駆使して、イベントが盛り上がるだけでなく、参加メーカーにも多くのメリットをもたらす。
(3)イベントの約3 割を占めるのは企業PR。ショーアップされたステージやブースで来場者に企業名や商品、ブランドをアピール。東京ガールズコレクションはまた、格好のPR の場にもなっている。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

インバウンド

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

■統計・資料

主要商品市況

1. 原油  2. ナフサ  3.PTA 4.EG 5. カプロラクタム 6. アクリロニトリル 7. ナイロンフィラメント、同織物  8. ポリエステルフィラメント、同織物  9. ポリエステルステープル 10. アクリルステープル、同紡績糸 11. 綿花 12. ポリエステル綿混(T/C)紡績糸及び織物