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2011年6月30日
会計も「開国」すべきか
- 国際会計基準の最近の動向と日本の対応 -
チーフアナリスト
永井 知美

・企業活動に多大な影響を及ぼす会計基準をめぐり、金融庁が方針転換の姿勢を見せている。金融庁企業会計審議会は、2012年を目途に、上場企業の連結財務諸表に国際会計基準(IFRS)を強制適用するかどうかを判断するとしていたが、2011年6月になって、金融庁はIFRSの適用時期や範囲等の見直しに着手している。東日本震災後、製造業を中心に適用延期論が強まっていることが背景にある。 ・本稿では、まずIFRSの特徴と同基準を取り巻く最近の国際情勢を振り返り、同基準を適用した際、企業活動にどのような影響があるのかを概観したうえで、日本はIFRSを強制適用するべきかどうかを考えたい。 ・IFRSの特徴は原則主義、資産負債アプローチである。米国の会計基準設定主体とのコンバージェンス作業等により、今後内容が大きく変わる可能性があることにも留意が必要である。 ・2000年代以降、世界的に広がりを見せたIFRSだが、米国、インド、中国がIFRSから距離を置き始めるなど、ここへ来て普及が足踏み状態になっている。 ・IFRSが抱える課題、国際情勢の変化、東日本大震災以降の日本経済を取り巻く環境激変などを考慮すれば、適用時期を先送りするだけでなく、数年後に適用を開始する際も企業の任意適用にとどめるべきと考える。

【キーワード】

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PDF : TBR産業経済の論点 No.11-07(415KB)