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2013年8月1日
繊維トレンド7・8月号 2013 No.101

■ファイバー/テキスタイル

下期の東南アジア 合繊原料・製品市況を読む ―上向く米中日の景気と新たな成長エンジン東南アジアに期待―

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)マクロ的には「上向く米中日の景気」と「新たな成長エンジンとしての東南アジア」に期待がもてる。
シェール革命はアメリカ経済復活の象徴
ゆがみを抱えた中国経済には危うさも残るが…
新興国:昨年は減速。試練のとき迎える。今年は事業環境に波乱要因目立つ。
BRICS から東南アジアへ、成長のけん引役バトンタッチ
(2)合繊原料の事業環境は総じて厳しい。原油ナフサ安と中国での能力急拡大で市況低迷のPTA、CPL。EG、AN はおおむねウエルバランスで市況は横バイを維持
(3)合繊ファイバーは全般的にもみ合い商状
(4)アジア主要国の合繊産業近況
成長率下がり、転機の中国・韓国、内需がカギに
底打ちの兆しも、民間消費低迷懸念の台湾
内需振興策(バラマキ政策)で輸出不振を補うタイ
雇用対策拡充で国際競争力低下に懸念がでてきたマレーシア
素材から縫製まで一貫体制が強みだが、構造転換必至のインドネシア

PDF : 詳細(PDF:2,866KB)

第9 回アジア化繊産業会議の概要 ―アジアの化繊産業は量から質への転換の重要性で一致―

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主任部員 鍵山 博哉

【要点(Point)】
(1)第9回アジア化繊産業会議は、2013年5月16、17日、タイ・バンコクで開催され、アジア9 カ国・地域の約260名が参加した。
(2)日本からは、特別テーマ報告として、これまでと同様、「世界の化繊需給の中長期見通し」を行った。
この報告では、2016年に、合繊で2,050万トンの需給ギャップ(供給過剰)の見通しを報告、そして、その解決策として、アジアの需要の高度化に合わせた新しい需要分野の開拓の重要性を指摘した。
(3)今回のアジア化繊産業会議では、2011年の第8回アジア化繊産業会議以降、欧州景気に端を発する世界的な景気後退、原料価格の変動、環境保護意識の高まり、アジア新興国の急速な経済成長などアジアの化繊産業を取り巻く事業環境が大きく変化している中、2016年の合繊需給ギャップの深刻さについて共通認識が得られたこと、世界の化繊生産の9 割を占めるアジアの化繊業界が、将来の健全な発展のために、量的拡大を目指すだけでは難しく、アジア市場の高度化、質的変化に対応し、内需の用途開発、とりわけ産業 用の用途開発の重要性、製品の高付加価値化、差別化の重要性で認識が得られたことが意義として挙げられる。

中国におけるテクニカル・テキスタイルの現状と展望

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点(Point)】
(1)これまで汎用品の大量生産で安価な衣料用途が中心の中国の繊維産業では、高コスト時代を迎え、転換期に入り、技術革新と高付加価値化を指向したテクニカル・テキスタイルの開発を推進している。
(2)中国のテクニカル・テキスタイルは、1990年頃から、カンバスや包装資材などから導入が始まり、最近は革新技術を活用した高機能テキスタイルの展開に移っている。
(3)現在は国土開発の推進をサポートするジオテキスタイルの伸びが大きく、次いで、衛材や医療用途、自動車用を中心とする輸送資材分野が注目されている。
(4)繊維素材としては、高強度PVA、パラアラミド、超高分子ポリエチレンなど高強力繊維の伸びが大きく、また、炭素繊維やPPS なども登場してきた。

インドの繊維産業の現状と課題

日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター長 内川 秀二

【要点(Point)】
(1)経済改革でルピーの為替レートが下がったために、100%輸出指向紡績工場の設立が相次ぎ、綿糸の生産と輸出が増大した。
(2)紡績工程は工場部門、織布工程は力織機部門に特化するという分業関係が成立している。
(3)糸からアパレルまでのサプライチェーンをいかに管理し、品質と価格の両面で国際競争力を向上させていくことが課題である。

パリからミラノへ 2014 年春夏から2014/15 年秋冬に向けて ―生地と糸素材から欧州繊維ファッション産業のトレンドを探る―

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』(World Textile Publication Ltd. 発行) 在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)パリプルミエールビジョンでは、サスティナビリティ(sustainability:環境維持)がラグジュアリー分野にしっかりと組み込まれたことと、プロベナンス(provenance:商品の起源や由来)がこれまでになく重要な課題として強調され、これが展示会全体の基調となる演出がなされている。これに加えて、最終製品の出所と完成品までの足跡をトレースして最終消費者が環境問題を意識して商品選択することを促すことで、グローバルに地球環境の維持を実現しようとするトレーサビリティが提示されている。
(2)ミラノFiloでは、価値、品質、素材、環境への思いやり、そして人々と労働への尊重に配慮していることを示すためfootprints(足跡)を標語として掲げている。地元主義、在庫によるバックアップ、特別誂え生産による出荷サービス、そして、独自のノベルティ開発を原点に据えて、日本はじめ海外からの長い取引き関係の顧客の信頼を確かなものにしている。
(3)2014年春夏向けファインニットと織物による夏生地は、薄く半透明でそれが麻や異素材とのブレンドにまで及び、更に獣毛素材も夏のクール素材として使われている一方、精緻に描かれた花小紋を水彩風にぼかしたプリントから輝きを放つ花柄までリバティ由来のプリント柄が展示の主流を占めている。
(4)2014/15年秋冬は、シルクとウール、ベビーカシミア、キッドモヘアなどの暖かい天然素材を元にラメやガラス状のプラスティック、真珠貝、エナメルなどで明るくブライトなアクセントを付けることが基調となっている。
(5)フランスやイタリアの繊維ファッション業界をリードする展示会の主催者は、地元産業のみならずグローバルな政治経済状況と今後の繊維ファッション産業が進むべき方向と戦略を見据えながら展示会の企画を組み立てており、独創的なトレンド セッターとして日本はじめ世界中からの訪問するバイヤー達を惹き付けている。

■繊維/アパレル

中国の婦人下着市場 ―ワコールの中国ビジネス―

株式会社フランドル 上海事務所 所長  篠原 航平

【要点(Point)】
(1)1986年に中国進出を果たしたワコールは、成長を続ける中国の婦人下着市場を同社の将来を支える1つの柱となり得る市場として注目する。
(2)商品に関して、同社は中国人消費者の特性に対応するため、中国市場向けのデザインと設計に力を入れる。
(3)スタッフに関しては、教育された販売スタッフの質の高いサービスと現地管理スタッフへの権限委譲が強み。
(4)事業展開は、中国市場向けMD、新しい市場セグメントの開拓、統一イメージを持ち再利用可能な店舗、バーゲンなどのセールが少ない、というのが特徴。
(5)広告宣伝は、店頭での活動、微博などSNSの活用、社会貢献活動に力を入れる。
(6)ワコールの中国事業に対して強い信頼感と誇りを持ち、仕事へのやりがいを感じているスタッフが中でも最大の強み。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

ファッションをアーカイブするということ(3) 日本のファッション・アーカイブの問題点とその解決策

京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部ファッションコース 専任講師 蘆田 裕史

前回、前々回と欧米におけるファッションのアーカイブを紹介してきた。今回はまず日本のアーカイブの現状を整理することから始めよう。 モノのアーカイブ 日本でモノとしてのファッションをアーカイブしている機関は、神戸ファッション美術館(1997年設立)、島根県立石見美術館(2005年設立)、京都服飾文化研究財団(1978 年設立)、文化学園服飾博物館(1979年設立)を主なものとして挙げることができるだろう。

■統計・資料

Ⅰ.主要短繊維糸・織物の相手国別輸入統計

Ⅱ.主要合繊糸・綿・織物の相手国別輸出入統計