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2016年12月1日
経営センサー12月号 2016 No.188

■今月のピックアップちゃーと

際立つ日本の教育への公的支出の少なさ ~OECD諸国の教育への公的支出水準~

産業経済調査部門

■経済・産業

【日本の産業構造の変化と競争力に及ぼす影響】 もう一つの製造大国ドイツの輸出はどうして増えているのか

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点】
(1)
製造・輸出大国であるドイツは自動車や一般機械などの製造業が競争力を持つ。日本と変わらない産業構造である一方で、輸出額は1.3兆ドルと日本の2倍超を記録する。
(2)
21世紀前後にドイツではユーロ導入や構造改革への取り組みが行われたが、ドイツの輸出に与えた影響は長い目で見て限定的であった。
(3)
単価別に輸出動向を見ると、ドイツの輸出の7割が単価200ドルまでの低中価格品であった。新興国台頭への対応として、低中価格の輸出品に合わせて関連サービスを提供することで顧客囲い込みと差別化を図っている。
(4)
国際産業連関表で見たドイツの付加価値輸出はビジネスサービスが全体の2割に達する。ドイツの国家戦略Industrie4.0の遂行に伴ってビジネスサービス輸出が増え、製品輸出も増えていくと見られる。
(5)
日本も第4次産業革命の波に乗ってIoT普及を目論んでいるが、製造業のサービス化に対する理解が乏しい点に不安が残る。ドイツ製造業の、サービスを駆使しながら顧客を囲い込む方法に学ぶべきではないか。

PDF : 詳細(1,696KB)

■業界展望

中国IoT市場の拡大と「中国製造2025」における日系企業のビジネスチャンス

岩手県立大学 総合政策学部 講師 近藤 信一

【要点】
(1)
中国では民生用分野でIoT市場が既に立ち上がっており、民生用IoT市場には多くの中資系企業が既に参入している。
(2)
本稿では、現地インタビュー調査で収集した1次データを、マーケティング戦略における外部環境分析のツールのPEST分析を活用して整理した。
(3)
PEST分析を基に浮かび上がった日系企業の市場参入のポイントのうち、「アライアンス」「政策対応」「技術流出」について紹介する。
(4)
中国IoT市場ではグローバル市場と一線を画したビジネスになる。そして、中国IoT市場は、政策誘導中心であり、政府の政策動向を注視する必要がある。

■産業技術

研究不正から読み解くもの ―ゴムひもで長さを測る世界からイノベーションへ―

工学博士 (株)東レ経営研究所 特別研究員 成戸 昌信

【要点】
(1)
研究不正は「ゴムひもで長さを測る世界」すなわち検証の難しい分野で起こりやすい。不正研究者個人の資質に加えて、激烈な科学界の競争環境が背景にある。
(2)
不正は不正、厳正に淡々と処置すべきだ。ただし、メディアスクラムで周辺を巻き込んでの大騒ぎは異様である。マスコミの加熱は劇場型で面白いが、本来追及すべき他の重大不正から目をそらせる。
(3)
研究論文は個人研究者の産物であり、組織が有償販売することを前提とした製品ではない。無償で公開され世界中の研究者が無償で自由に使える点で、組織の「製造物責任」にはなじまない。
(4)
予防、早期発見、合理的な対応のシンプルなシステム化が重要である。ただし不正をゼロにすることには限界があり、まれな個人の研究不正のために過剰に科学を管理することはイノベーションを阻害する恐れがある。

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自動運転と今後の展開予測

株式会社積水インテグレーテッドリサーチ 新事業企画グループ 部長 飛鳥 政宏

【要点】
(1)
自動運転に関する記事が紙面をにぎわしているが、車の歴史から洞察すると、普及の過程ではすさまじい抵抗が待っているだろう。
(2)
自動運転によって、タクシー業界、観光バス業界の高齢化、長時間労働といった社会問題を解決できる可能性がある。
(3)
完全自動運転車の実現のためには、いろいろな技術的課題、法整備の課題、そして人的な課題が山積している。
(4)
完全自動運転の普及には完全に近い安全性が求められるだろう。よって、過渡期には用途・地域を限定した普及になるだろう。

■視点・論点

学びつづける管理職を育てるには

株式会社HRインスティテュート 取締役 チーフコンサルタント 染谷 文香

管理職は学べているのか? 「管理職は学べていると思うか?」 研修や講演などで、この問いに堂々とYesに手を挙げる管理職や人事の方は少ない。もちろん企業側が実施している教育プログラムの質や量について不足だと考えている人もいれば、そもそも管理職自身が日々の業務の忙しさを理由に自ら「学ぶ」ことに時間を使っていないという声も聞く。

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■マネジメント

【青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 シリーズ②】 地域活性化のマーケティング ―地域価値を創る・高めるためにやるべきこと―

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授 宮副 謙司

【要点】
(1)
話題づくりは本来の地域活性化ではない。その地域の本質的な生活の豊かさを目指して長期的な視点で構想するべきである。
(2)
地域にあるさまざまな地域資源の中から着眼・編集し地域価値を創造する。そして、その価値を伝達し提供する仕組みづくりが重要である。
(3)
米国ポートランドの事例にあるように産官学がそれぞれの地域活性化の役割を認識し、互いに連携し、地域住民の自己実現が可能となる環境を創っていくことが求められる。

PDF : 詳細(1,463KB)

■環境・エネルギー

パリ協定で企業活動はどう変わるか

京都大学 名誉教授 地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー 松下 和夫

【要点】
(1)
パリ協定とSDGsは、今後の世界が目指すべき脱炭素で持続可能な社会を示している。
(2)
脱炭素社会への移行はすでに始まっており、脱炭素ビジネス、グリーンファイナンスも広がっている。
(3)
気候変動対策の推進とそれに伴うイノベーションの展開に資金と技術を投入することが、日本経済の基盤と国際的な競争力の強化にもつながる。

■ダイバーシティ&ワークライフバランス

イノベーションの基盤となる価値創造のコミュニケーション ―価値創造の研究開発現場からの一考察―

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 コンサルティング2部 商品開発グループ グループ長 渡邊 壽美子

【要点】
(1)
富士ゼロックスは、価値創造のコミュニケーションを支援する「イノベーションデザイン支援ツール」を開発した。
(2)
「イノベーションデザイン支援ツール」を使った「未来シナリオづくりワークショップは、多様なアイディアや共感を生み出す。
(3)
今後はこのツールの可能性をさらに活用し、企業のイノベーションを支援していく。

■人材

人材育成の視点 異業種交流 その変遷と継続の意義

人材開発部長 小西 明子

【要点】
(1)
弊社主催で10年以上続いてきた異業種交流研修会が2つある。
(2)
リーマンショックでは存続の危機に直面し、さまざまな異業種交流会の消長盛衰もある中で、何が上記研修の継続要因であったかを考察してみた。
(3)
長く続けて行くことで、異業種人材交流のより広いネットワークを提供し、そこからコラボレーションを生み出す可能性を高めて行きたいと考える。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

産業経済調査部門

「エシカル消費」「パリ協定」

■ズーム・アイ

富める者から富めばいい

企画管理部 寒川 雅彦

私の会社は秋葉原と神田の間にありますので、ちょっと町を歩くと観光バスから降りてくる外国人観光客に遭遇します。2016年の訪日外国人は10月30日時点で初の2,000万人を突破しました。昨年2015年の訪日外国人は1,974万人でしたが、その内、中華圏(中国、香港、台湾)からの訪問者が1,020万人と、なんと全体の約50%を占めています。