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2013年6月1日
心に残る国際交流

 これまでの会社生活でいろいろな体験をしましたが、その中で今でも心に残る国際交流を紹介させていただきます。私は1997 年から3 年間、社団法人「日・タイ経済協力協会」(略称JTECS)に勤務しました。この団体は、タイ側の姉妹団体「泰日技術振興協会」(略称TPA)の支援を通じてタイの産業・技術の発展と人材の育成に貢献し、日本・タイ両国の友好関係を深めるために1972 年に設立されました。70 年代当時日本と進出企業は利益追求一辺倒とみられ、タイにおける対日感情は極度に悪化しました。民間ベースの経済協力により地道に改善を図ることがJTECS の任務でした。TPA は、タイの日本留学・研修経験者が組織した団体で、日本からタイに最新技術と知識の移転・普及、人材育成のための具体的な事業を自主的に運営しました。TPA の設立者たちは、昼間は官庁、大学、民間企業等で働き、夜TPA に集まり運営を推進するという具合でした。  設立者たちの苦労のかいがあり、TPA はその後発展を遂げ、1998 年には自己資金により新たな施設「技術振興センター」(略称TPI)を設立しました。軍と警察によるものものしい警備の中、国民の人気が高いシリントーン王女がお越しになり開館式が行われました。現在TPA では技術・経営を主体とする翻訳・出版事業とタイ人・日本人を対象にした語学事業、TPI では技術研修、工業計測機器の校正、技術コンサルティング事業等を行っています。JTECS は情報収集・日本側関係機関との調整等のサポートをしています。 このタイでの成功事例を近隣諸国でも適用できないかということで、1999 年に私は理事長のお供をしてミャンマー、ラオス、ベトナムを歴訪しました。あらかじめ各国の取りまとめ役の日本留学・研修経験者の方々に関係者との会合の設営をお願いしました。特にヤンゴンでの会合には、戦前に日本留学された方から最近留学された方まで幅広い年代の方々が多数集まっていただいたことが印象的でした。  2007 年にはタイ側の自己資金により長年の夢であった「泰日工業大学」(略称TNI)が設立されました。TNI は日本型ものづくりの実践教育を行う技術系大学(工学部、情報学部、経営学部、大学院)です。2010 年に私は出張業務の合間にTNI を訪問し、旧知の学長・副学長をはじめ関係者の方々から様子を伺うことができました。最近の情報では、2012 年卒業生約500 名の約半数が日系企業に就職し、毎年約1,000 名が入学しているとのことです。本年1月には安倍首相もTNI を視察されました。  タイをはじめとする各国の日本留学・研修経験者が抱く、日本との絆に対する純粋で熱い思いは、立ち寄ったミャンマーの古都バガンで高いパゴダから眺めた夕日に輝くイラワジ川(現エーヤワディー川)と3,000 ものパゴダ群、そしてラオス・ビエンチャンの日本大使公邸の庭から眺めた夕日に染まるメコン川の風景とともに、今でも私の心に深く刻まれています。