close

2005年11月1日
経営センサー11月号 2005 No.77

■経済・産業

電機電子産業における環境のブレークスルー最前線

三菱電機株式会社 渉外部 技術担当部長 上野 潔 

【要点(Point)】
(1)1994年にOECDが提唱したEPR(拡大生産者責任)の理念が日本で定着している。循環型経済社会の嚆矢となった家電リサイクル法は、静脈産業の動脈化を実現させた。
(2)国の予算のトレンドから政策の変化を読み取ることができる。平成17年度予算は国の環境政策が3R政策と地球温暖化対策に向けて本格的に舵を切った年といえる。
(3)施行され5年目を迎えている家電リサイクル法は、日本の電機電子産業に予想外のブレークスルーをもたらしている。それは、DFE(環境適合設計)の変革とプラスチックの水平型自己循環の実現である。
(4)グローバル化する化学物質規制は、産業界の連携と同時に最終的には企業の自己責任が問われる厳しい対応にも迫られている。もはや、マイノリティー保護は通用しない。
(5)環境分野でさまざまな対応をしてきた日本企業は、世界に発信できる多くの成果を持っている。環境規制は日本の先進企業にとって世界をリードできる、「千載一遇のチャンス」といえる。

シリーズ:製造業の現場は今(4) 「ひとづくり」こそ「ものづくり」 - 社内外で技能継承に取り組む先進企業が今後のモデルに -

福田 佳之 産業経済調査部 エコノミスト

【要点(Point)】
(1)団塊世代の大量退職が始まる2007年を目の前にして、製造現場の技能継承の重要性が認識されている。しかし、リストラや技術の高度化・短サイクル化を背景に実態は現場任せの企業が多い。
(2)その一方で、現場の技能継承を意識して実施している企業もあり、その一つとして、アルプス電気がある。
(3)技能継承の態様を分類すると、マイスター制度の創設、マンツーマン方式、実習主体の研修、形式知への転換に分かれよう。
(4)社内人材だけでなく、地場の中小企業人材の育成に協力している大企業も存在している。実際、経済産業省が主導する「産学連携製造中核人材育成事業」の二つのプロジェクトにはアルプス電気や日産自動車などが参画している。
(5)これらの企業が地域の人材育成に参画する理由として、地域貢献のほかに、地域企業の技術レベルの向上が自らの企業競争力に大きく貢献することが挙げられ、大企業の間で中小企業の人材育成をサポートする動きが増えていく可能性がある。

化学業界 -旺盛なアジア需要で構造問題かすむ石油化学産業、国際競争時代に生き残れるか -

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)日本の化学工業は、出荷額で輸送用機器、電気機械、一般機械に次ぐ基幹産業の1つである。
(2)本稿で取り上げる石油化学は化学工業出荷額の約半分を占める主力分野だが、石油化学製品を手掛ける大手化学メーカーの業績は、原材料高にもかかわらず旺盛な中国需要を背景に総じて堅調である。
(3)だが、足元順調な石油化学工業も、先行きを見ると決して安泰ではない。中東・アジアを中心に大型石油化学プラント建設予定が目白押しで、遅かれ早かれ世界的な供給過剰時代を迎えると見られるためである。
(4)石油化学業界は、生き残りをかけて石油精製との連携、誘導品の高付加価値化、海外進出などの動きを加速している。

■視点・論点

開発プロセスとイノベーティブな組織 

オフィスHara 代表 原 吉伸

《製品開発活動は、プロセスとして定義できる。つまり、製品開発活動を目に見える形にすることにより、開発活動をマネジメントできるのである。》  製品開発活動は、その70%強が過去に行った活動の繰り返しで、残りの約30%弱がクリエーティブな活動である、と言われている。  製品開発活動はクリエーティブな活動であると考えていた人にとっては、意外な数字であり、少なからずショッキングなことではないだろうか?

■マネジメント

JTにおけるバイオへの取り組み 

日本たばこ産業株式会社 経営戦略部 部長 イノベーション&インキュベーション担当 松島 三兒 

【要点(Point)】
(1)2003年に3年間の中期経営計画「JTPLAN-V」を策定し、推進中であるが、たばこ、医薬、食品の3事業とも計画より前倒しで目標を達成しつつある。
(2)JTの持続的成長を目指す取り組みのひとつとして、既存ドメインの将来の成長可能性に寄与し、JTの新たなドメインの可能性に対する示唆を提供する目的で、イノベーション&インキュベーションセンターを設立している。
(3)バイオへの取り組みの最前線として将来性の高いトレイト・ビジネスユニットと糖鎖ビジネスユニットでのビジネスを推進中である。

保税区内貿易企業の機能の再認識について 

望月コンサルティング(上海)有限公司 董事長 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)保税区内貿易企業の意義と実務的問題
(2)商業領域管理弁法とその保税区内貿易企業に与える影響
(3)保税区内貿易企業の今後の役割

■人材

今再び、「企業文化」の時代 - 日本型「育てる企業文化」を再生する - 

渕野 富士男 取締役 人材開発部門長

【要点(Point)】
(1)これからの日本の企業文化の重要性を考察するにあたり、最新の新聞記事からソニーとトヨタの対照的な事例を紹介する。また、アベグレン氏の最新著作から企業文化と「日本的経営」の強さの関係の糸口をつかみたい。
(2)80年代の日本での企業文化、CIブームは何だったのか?を振り返るとともに、ほぼ10年ごとに注目される企業文化の正体を、特に組織・人事マネジメントの視点から探りたい。
(3)バブル経済崩壊以降の日本企業の事業再構築・コストダウン・現実経営に代わり、CSRに象徴されるように今、再び21世紀の社会にふさわしい理念型経営のあり方が問われている。その中で人事・人材育成面から日本独自の企業文化の果たす役割と継承の方策を提示したい。

東レ経営研究所発行書籍の紹介 『部下の心を動かすリーダーシップ』 『創造力開発実践口座』

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「介護保険法改正」「上場廃止」

■お薦め名著

『日本の美を語る』

-人間の価値観に結びつく美の多様性- 高階 秀爾 著

■ズーム・アイ

脱「都会生活」

岩城 京子

 近頃は「スローライフ」「ロハス」など「癒し」「ナチュラル」をキーワードとしたライフスタイルの提案をよく目にする。老後の生活スタイルとして「都会と田舎の二重生活」や「田舎生活」を選択する人も多いようである。実は、私も「田舎生活」に早く移行したいと日夜思いを馳せているところである。

■今月のピックアップちゃーと

ジンギスカンはお好きですか? ~羊肉ブームは一過性か、本物か~

■TBRの広場

第2回「中国セミナー」のご案内