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2015年12月18日
超高齢社会日本の落とし穴
チーフエコノミスト
増田 貴司

 世界一の高齢化社会である日本は、シニア市場向けの事業開発の場としては最適な国だ。 ここで得られた成果を、遅れて高齢化する海外市場に展開できるという優位性があるからだ。  一方、超高齢社会の日本はデジタルネイティブの人口割合が小さいことが、企業経営上、 不利な要素になる点を自覚する必要がある。  幼少期からパソコンやインターネットに慣れ親しんでいるデジタルネイティブ(おおむね 1980 年以降に生まれた世代)は、現在、世界全体では総人口の 6 割近く、米国では 5 割近く を占めるが、日本では 3 割強と主要国の中で最も少ない。  この世代は、物欲が希薄で、共感性や共同体への帰属意識が強く、社会貢献に関心が高 い。製品やサービスを所有するよりも、利用することを重視するため、何でもシェアする。デジ タルネイティブが少数派の日本では、特定世代の価値観やライフスタイルだと思われがちだ が、これは一部世代の習性ではなく、今後社会の主流になることに気づくべきだ。世界を見渡 せば、デジタルネイティブの台頭に伴い、シェアリングエコノミーが急拡大している。  スマートフォンが普及してわずか数年で我々の暮らしを変えた例をみれば、あらゆるものが インターネットにつながる IoT(Internet of Things)が世界を大きく変えることは明らかだ。現に、 様々な領域で共有型経済が勃興し、従来型の市場経済における既存産業の利益を侵食する など、パラダイムの転換が生じている。  この変化に素早く対応できるかどうかが、今後企業の浮沈を左右する。デジタルネイティブ が組織の主導権を握っていない日本はこの変革に後れをとるリスクがあることを認識し、若 手の活用と権限移譲を進めるべきだ。 (本稿は、2015 年 12 月 15 日 日本経済新聞夕刊「十字路」に掲載されました)