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2013年9月1日
絵本の世界はいかがですか?
主席研究員(産業技術)
黒澤 幸子

 読書の秋という事で、私の大好きな絵本について書いてみようと思います。  絵本というと、子どもの本というイメージを抱く方が多いと思うのですが、私は大人になった今でも大好きなもののひとつです。  絵本は、自分で読む、読み聞かせしてもらう、絵を見て楽しむと色々な楽しみ方がありますが、それぞれに良さがあると思います。  自分で読むという視点で考えると、絵本は文章が簡潔で短く、頭が疲れているときでもすっと読めるというのが良いところではないかと思っています。私自身も仕事などで少し忙しい時、テレビの大騒ぎも年のせいかちょっと辛く、かといって、長い本を読む気力もない時は、絵本を手にするとホッとします。お気に入りの1冊はほとんど暗記しているのですが、それでも、ホッと優しい気持ちになって、ギスギスしている自分がバカらしくなり我に返れます。また絵本は小難しい知識も必要がないというのも魅力です。  私は多少、子どもっぽいところがあるので、絵本が好きなのかと思っていたのですが、「大人の絵本のすすめ」なる本が結構出版されていてびっくりしました。たとえば、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないですが、クレヨンハウスという絵本のお店を主宰している作家の落合恵子さんが『絵本処方箋』(朝日文庫)という本の中で「今の時代に疲れていない大人はいないので、大人こそ絵本を読んで欲しい」と書いています。『絵本処方箋』は、その時の状況(たとえば、自分の弱さに腹がたったら「モチモチの木」というように)にシチュエーションごとにこれが良いのではという絵本が薦めてあって、楽しい視点の本です。  また、落合さんもこの本の中で書いているのですが、絵本を読むことで疲れや悩みの抜本的な解決にはならないけれど、非日常的な世界を少し遊泳してみることで自分自身の処方箋になるのかもしれないという点に共感できます。  また、落合さんはご自身のお母さまの介護をされていた時に、毎日読み聞かせをされていたようで、そのことをとても懐かしいと書かれています。私も子どもが小さい頃夜寝る前に毎晩、読み聞かせをしていましたが、読み聞かせをしている時間だけではなくて、その内容を子どもと話して、子どもの目線の面白さに気が付くといった楽しい時間を過ごした思い出があります。  読み聞かせは本を読む事の楽しさを自然に教えるという点で優れている方法だというだけではなく、人に読んでもらって、ゆっくり考える時間を持つこと、また読み手と聞き手が同じ話題を共有化でき、コミュニケーションに繋がることで、人との距離感の取り方が苦手な人の練習にもなるのではと思っています。加えて絵本の読み聞かせは、基本的に短いので、読む側にも聞く側にも負担にならずに楽しめという利点もあると考えています。  絵本の挿絵は、創造を膨らませる助けにもなる大事な要素です。絵本の絵はタッチも柔らかいことが多いので、心も癒されるように思います。  毎日がお忙しい方ばかりだと思うので、ちょっとだけいつもと違った時間を過ごしたくなったら、絵本の世界はいかがですか。忘れていたものを取り戻せるかもしれないと思います。