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2009年1月1日
繊維トレンド1・2月号 2009 No.74

■新春対談

中国メンズアパレルの雄「七匹狼」発祥の地福建省にて 中国ボリュームゾーン市場の可能性を考える

福建七匹狼実業股有限公司 副総経理 陳 志宜 株式会社東レ経営研究所 代表取締役社長 佐々木 常夫

七匹狼(福建七匹狼実業股有限公司)は、中国を代表するメンズアパレル企業であり、約3,000店舗を展開している。また、2002年に中国企業で初めて日本人デザイナー畠山巧とデザイン契約を交わし、日本との関係も深いアパレル企業である。  これまで、北京、上海を中心に中国アパレル企業を訪問してきたが、北京や上海のアパレルとは違って、福建省アパレルは中級市場にターゲットを絞り、名より実を取るという点で、独特の経営哲学を持っているように感じられる。  今回は、残念ながら七匹狼の周董事長が出張中で会うことができなかったが、副社長の陳志宜氏と対談したので、そのインタビュー内容を以下にご紹介したい。 

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■海外動向

2008年の回顧と2009年の市況展望

向川 利和 繊維調査部 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)世界同時不況の様相が強まっている。金融危機は実体経済の急速な悪化へと局面を移した。経済変調は主要先進国から新興国へ波及し、景気後退局面入りが確実。金融危機の広がりは、米欧が金融安定化策を打ち出したことで、歯止めがかかるだろうが、実体経済の悪化は今年秋頃まで続きそうだ。
米国は生産・消費・雇用が総崩れとなり、景気の悪化が鮮明。昨年第3Q・第4Q及び今年第1Qの3四半期連続のマイナス成長観測でリセッション入りが確実である。(編集部注:全米経済研究所は昨年12月1日「米経済は07年12月からリセッション入りした」と正式に宣言した。)
(1)欧州も低迷が続くユーロ圏は昨年4~6月期からマイナス成長。これは通貨統合(1999年)以来初めて。、(2)日本は、昨年度はゼロ成長予測が大勢で、7年振りマイナスとの見方も。「いざなぎ景気」を抜いて戦後最長となった好景気も07年末から後退局面入り。在庫率指数も急上昇。(編集部注:東レ経営研究所は昨年12月9日に2008年度成長率▲0.8%と予測値公表。)、(3)実体経済悪化の波は高成長してきたBRICsなど新興国にも達してきた。
(2)米国発の金融危機が世界中に連鎖し、株式・原油・為替市場の混乱が続いている。特に昨年の10月は激動の1カ月となったが、実体経済の悪化鮮明で不安定な市場動向が続くだろう。原油・穀物など国際商品価格は、投機マネーの縮小でピークの1/3になった。しかし、大幅な商品価格の下落は春から夏にかけて物価高を是正し、景気にも一定のプラス効果をもたらす。
(3)日本は、経済連携交渉において昨年ASEANとのEPAに署名したが、なお出遅れている。EPA締結に向け高関税の農業分野はなお日本のアキレス腱だ。
(4)中国やインドなど新興国の成長をテコに好況が続いた合繊原料/ファイバーだったが、昨年下期以降、需要減で急速に悪化。歯車は逆回転し始めた。

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福建アパレル企業の発想とビジネスモデル -日本アパレル企業との比較戦略論-

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)多くの日本企業は中国市場に進出する際、上海に拠点を置く。しかし、中国アパレル企業の経営者は上海、北京のような一級都市では競争が激しく、賃料も高く利益を確保できないと判断している。
(2)北京のアパレルは富裕層向けの高級ブランドを志向しているのに対し、福建のアパレルは名より実を取る中級ブランドを志向している。
(3)完全買い取り、パッケージ販売の代理商ビジネスにより、メーカーは計画生産が可能になった。また、代理商は独占的な高利益ビジネスが保証される。
(4)品質を高めようとし過ぎると、設備や人材のレベルを上げなければならず、大量生産は不可能になる。
福建アパレルは、大量生産が可能な価格と品質のバランスを目指している。
(5)喬丹は、小さな経営組織と、経営陣も常に現場にいる体制を作っている。また、社員表彰を重視するなど、家族経営による団結を守っている。
(6)日本企業も「ドロップシップ&代理商」というビジネスモデルは可能なのではないか。中国はスケールが大きく、合理的かつ戦略的なアプローチが必要である。

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China News CHINA FASHION WEEK

横川 美都 研究員

去る2008年11月4日から12日までの9日間、北京において中国国際時装CHINAFASHIONWEEK(以下CFW)2009S/SCollectionが開催されました。40以上のデザイナー、ブランド、企業が参加し、北京飯店とD・PARKを会場にしてファッションショー、デザインコンテスト、プレス発表、各種フォーラムなど70近いイベントが行われました。筆者は今回も北京を訪れいくつかのショーを見学してきたのでご紹介します。なお、カラー写真は弊社中国ビジネス研究会のHPにも掲載予定です。

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中国におけるファッションビジネス教育 第4回 -上海東華大学院における実験講座を中心にして- 

宝塚造形芸術大学専門職大学院 デザイン経営研究科長 教授 菅原 正博

【要点(Point)】
(1)前回は、上海東華大学院での講義の第1弾「日本のファッション業界が確立してきたマーチャンダイジング(MD)システム」を紹介した。
(2)しかし、上海市場では、日本型SPAもさることながら、欧州型の「ファーストファッション」が注目を浴びていた。
(3)そこで、講義の第2弾では「ファーストファッション」を取り上げた。今回は、この「ファーストファッション」のビジネスモデルについての講義内容を紹介する。
(4)日本型SPAといっても、このビジネスモデルの概念化は、どちらかといえば、繊研新聞などの業界誌記者の取材分析に依存しており、日本の学者はほとんどノータッチであった。それに対して欧州系の「ファーストファッション」については、その体系化に英国の学者らが真剣に取り組んでいる。
(5)ただ、欧州系の「ファーストファッション」企業でも、消費者行動の分析にはあまり投資していないという批判も出ている。
(6)一方、日本では、ファッション消費者行動の分析の一つとして「テイスト(感性)・セグメンテーション戦略」の体系化を図りつつある。今回は最後にこの点を少し補足した。

インドの繊維産業 第1回 -インドの歴史と繊維産業…インド社会の特殊性-

元インド三井物産株式会社 代表取締役社長 森 秀三

世界的な金融危機の影響を受け、成長の減速(2008 年のインドのアパレル・繊維の輸出は前年比 30 %減)も見られるインドだが、その巨大市場に対する国際社会の期待は根強いものがある。 ここでは、約11 億の人口を抱え高度経済成長を進め、新興国の雄として注目されてきたインドにおけ る繊維産業の位置付けとポテンシャルについて、元インド三井物産社長の森秀三氏に解説いただく。 

■国内動向

シリーズ 日本ファッションアパレルの課題と今後の展開第1回 アルマーニのシルクスーツを日本で再現できるか

信州大学 繊維学部 感性工学科 教授 大谷 毅

【要点(Point)】
(1)ファッションビジネス論は、(1)ファッションの変化などのファッション現象と、(2)キャッシュフローに帰結する計算により構築すべきで、彼らの(1)と(2)の相互作用は旧きもの市場を凌駕し、そして銀座のパリ・ミラノ租界化を可能にした。また、(2)に含まれる“プレタポルテ”の低原価率は、ブランド維持のための在庫焼却処分余力を示すと考えた。
(2)ある“プレタポルテ”の分解解析作業から、デザイナーの意見を取り入れたハンドメイド的な工程の存在を予見したが、日本のある有力アパレルベテランモデリストは、日本市場はこの種の企画が採用される雰囲気にないと指摘し、著者はその背景は前述(2)の視点によって説明できると考えた。
(3)同一生地・製品の国内試作実験において、中国生糸に依存するも、属性を第一次的に判断する作業と合糸・撚糸・製織・染色整理および裁断縫製の工程は辛うじて国内に残存し、また、パリ・ミラノのメゾンのデザイナーの要求を充足するマニア的テキスタイルメーカーがわずかながら日本に存在するらしいことがわかった。

世界経済の減速と北陸繊維産地の今年の課題 -内外消費不況の長期化にいかに対処するか-

小山 英之 特別研究員

【要点(Point)】
(1)世界経済は、金融混乱から実体経済の落ち込みへと進行し、いよいよ減速が本格化している。今回の世界繊維不況の特質は、量産定番品の需要減のみならず、富裕層の高級衣料品マーケットの萎縮、産業資材・インテリア資材の需要の減少など、八方塞がりの不況になっている。
(2)北陸産地の今次不況は、戦後第13回目であるが、今回は構造不況型ではなく、内外需要の消費減少という第1次オイルショック不況以来30年ぶりの循環型不況になっている。日本及び欧米の深刻な経済不況の状況から判断して、今回の産地不況は過去の三大不況並みの長期不況になると予想され、財務内容、設備力、開発力等の弱いボーダーライン企業は構造調整を余儀なくされ、優勝劣敗の構図が明確になるであろう。

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キャリアマーケット分析 第2回

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)キャリア雑誌は、ラグジュアリー系vsリアリティ系という軸を基本に6つのタイプに分類することができる。
(2)主要キャリア雑誌25誌には、インポートブランドが28.6%、ドメスティックブランド(大手アパレルを中心とする日本ブランド)が27.8%、セレクトショップのオリジナルブランドが15.4%、ラグジュアリーブランド14.0%という構成で登場する。
(3)キャリア雑誌に登場するブランド、切り口がすべてではないが、分析結果から、5つのマーチャンダイジング(MD)ポイントを導き出すことができる。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

米国の保護主義

日本化学繊維協会 業務調査グループ グループ長 杉原 克

 

■統計・資料

主要商品市況 I.日本の合繊各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2009年1月)

東レ/帝人/旭化成/三菱レイヨン/東洋紡/ユニチカ/クラレ/東邦テナックス

II.日本の紡績各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2009年1月)

ダイワボウ/シキボウ/クラボウ/富士紡アパレル/日清紡/日東紡/近藤紡績所/トーア紡