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2011年2月1日
経営センサー1・2月号 2011 No.129

■特別企画

新年のご挨拶

三本木 伸一 代表取締役社長

東レ経営研究所の会員の皆様、本誌の読者の皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 おかげさまで、東レ経営研究所(以下TBR)は、今年6 月に会社設立25 周年の節目を迎えることができます。これもひとえに皆様の温かいご支援の賜物と、あらためて、御礼申し上げる次第です。

 

近くて遠い親戚の国韓国と日本でのビジネスの経験 -日本企業は甦ることができるか-

東京大学大学院経済学研究科 ものづくり経営研究センター 特任研究員(元サムスン常務) 吉川 良三 氏 東レ経営研究所 代表取締役社長 三本木 伸一

韓国の実像を知る必要 三本木:昨年は極東地域で、きな臭い事件が多発しました。今年は明るい年になることを祈らずにいられません。日本は今、「失われた20 年」とも言うべき閉塞状態にあります。他方韓国は1997年のIMF 危機を乗り越えて、主要国の中で非常に頑張っています。本日は、その韓国を代表する企業のサムスンで吉川先生がやってこられたこと、考えられたこと、見聞きされたことを、お伺いし、読者の皆様に元気を与えていただこうと考えています。

■経済・産業

米国の量的緩和策と原油価格の行方 

三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 調査部 主任研究員  芥田 知至

【要点(Point)】
(1)2010 年終盤には、米国の量的緩和政策をきっかけに原油相場も上昇し、2008 年のような暴騰への警戒感も生じてきている。
(2)しかし、2003 ~ 2008 年の原油価格上昇の反作用として、資源開発や石油離れといった構造的な変化が起こっている。
(3)メキシコ湾原油流出事故に対して原油相場の上昇は限定的であったように、現在と2008 年の状況は大きく異なる。

 

2011年世界経済を読み解く10のキーワード

福田佳之 産業経済調査部シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)本稿は、2011年の世界経済について、地域別にキーワードを10点抽出しながら解説を加えるものである。
(2)キーワードは以下の通り。
(1)世界経済の二極化
(3)人民元切り上げ
(5)PIIGS
(7)欧州版IMF
(9)第12次五カ年計画
(2)日本型デフレ
(4)TPP
(6)ドイツの復調
(8)節約的なイノベーション
(10)過剰流動性

 

2011年の日本経済・産業を読み解く20のキーワード-この底流変化を見逃すな-

増田貴司 産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

【要点(Point)】
(1)本稿では、年頭に当たり、2011年の日本の経済・産業を読み解く上で重要と思われるキーワードを筆者なりに20個選定し、解説してみたい。
(2)キーワード選定に当たっては、マクロの景気動向よりもむしろ、産業、企業経営、技術、国民生活にかかわる広範なテーマに目を向けた。巷でよくある「今年のトレンド予測」や株式市場で材料となる一過性のテーマ探しとは一線を画し、現在日本の経済社会や産業の底流で起こっている重要な構造変化を的確にとらえることを狙いとしている。
(3)2011年の20のキーワードを列挙すると、以下のとおりである。
1.新興国シフト 
3.グローバル人材
5.FTA
7.リチウムイオン電池  
9.白物家電
11.都市鉱山
13.ビジネスモデル
15.日本製 
17.訪日観光客 
19.世代間格差(“財政的幼児虐待”)
2.M&A
4.海外インフラ受注
6.スマートシティ
8.LED照明
10.資源価格高騰
12.サービスの強化
14.逆輸入
16.高齢者向け商品
18.新卒の就職難
20.デフレの長期化

■産業技術

次世代自動車開発の状況

トヨタ自動車株式会社 環境部担当部長 大野 栄嗣

【要点(Point)】
(1)1997 年、トヨタはハイブリッド車プリウスを世界に先駆けて発売した。これは、3 年間で開発したものであった。
(2)トヨタのハイブリッドシステムは、それ以来全ての要素部品に改良を重ね、進化を遂げている。
(3)電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車は、全く別のシステムではない。どれが将来の本命になるかは、エネルギー蓄積技術にかかっている。

■視点・論点

平成23年の干支 -「辛卯」の意義-

財団法人郷学研修所 安岡正篤記念館 理事長 安岡 正泰

昨年の干支 昨年の干支「庚寅」は、新しく責任ある立場に就いた者は、旧来の惰性を排除して慎みを持って諸事を取り扱いながら、更新つまり新しい創造的活動を始めていかなければならない。しかし、組織は指導者を中心にして一致協力して事に当たらないと問題が生じかねない。そのためにも、十分慎重な行動が求められると干支は予見していた。

■マネジメント

中国企業再編 -持分買収

望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士 望月 一央 -

【要点(Point)】
(1)中国における企業再編において持分買収は一般的な方法として採用されているが、政府部門の批准を要する等いくつか注意すべき事項がある。
(2)持分買収の際には、対象企業に対する直接買収を行う場合と親会社を介した間接買収を行う場合とがあり、さらに、持分譲渡による場合と増資引受による手法がある。
(3)それぞれの持分買収手法により、手続き、会計処理、課税関係に相違がある。

 

オバマ大統領夫妻のディーワーリー -インドの外交戦略-

東京大学 名誉教授 中里 成章

【要点(Point)】
(1)オバマ大統領の訪印はまずまずの成果を上げた。特に、インド国民がアメリカに対してもつ警戒心を解きほぐすのに成果があったとされる。インドの立場から見ると、テロ問題に関連してパキスタンを批判したこと、インドが国連安保理の常任理事国になるのを支持したことが重要である。
(2)印米の戦略的パートナーシップがうたいあげられたが、どこまでインドがアメリカに協調するかは微妙なところがある。特に対中関係については、インドは最近の中国の変化を警戒しながらも、これまでの現実主義的な外交政策を継続したいと考えているようである。

■人材

新入社員研修 最近の傾向

小西明子 人材開発部長

【要点(Point)】
(1)新入社員の導入教育に従来以上の手間とコストをかける企業が出てきている。
(2)背景には若い社員の職業観やコミュニケーションの変化により、従来のOJTが彼らに通じにくくなっていることがある。
(3)人事教育部門が、導入集合研修にとどまらず、配置後も職場の指導員と連携してフォローを行うことがキーポイントの一つである。
(4)きめ細やかな指導で職場に定着した後に、新入社員が自立に向けた歩みを進められるための下地をどう作るかが今後の課題となっている。

■経済用語解説

「PPP(官民パートナーシップ)」 「デジタルサイネージ」

■お薦め名著

『日本の新たな第三の道』 -21 世紀の社会モデルは「低炭素産業社会」-

アンソニー・ギデンズ 著 渡辺 聰子 著

■ズーム・アイ

双子の経済

松井 滋樹 市場調査部長

■今月のピックアップちゃーと

内需に安住し、グローバル化に遅れた日本の建設業~海外受注は韓国の6分の1以下まで低迷~