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2013年12月1日
経営センサー12月号 2013 No.158

■今月のピックアップちゃーと

中国がくしゃみをすれば、風邪をひく国はどこ?

■経済・産業

観光立国実現へ向けての日本の課題 ―アジア中間層の拡大を背景に増える訪日外国人、2,000万人到達への課題は?―

産業経済調査部 シニアアナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)東日本大震災の後、大きく落ち込んだ訪日外国人旅行者数が順調に回復している。過去最高は2010年の861万人だが、2013年は過去最高を更新し、初の1,000万人に到達する可能性がある。
(2)訪日旅行が好調なのは、2012年末からの円高是正による割安感の浸透、ASEAN諸国に対するビザ取得要件の緩和等による。
(3)政府は観光の生産波及効果の大きさ、旅行需要の世界的な拡大、地域経済活性化効果などに注目、2003年の「観光立国宣言」以来、さまざまな施策を打ち出している。
(4)世界の観光客数は、所得増加や交通機関の低料金化などを背景に順調に拡大しているが、2012年の外国人旅行者受入数の国際比較で、日本は世界33位、アジアでも8位にとどまっている。
(5)さらに多くの外国人旅行者を呼び込むにはアクセスの拡大・改善に加え、無線LAN環境の悪さなど、外国人が不便に感じている点を解消する必要があるだろう。

PDF : 詳細(PDF:2,255KB)

■業界展望

【シリーズ「シェール革命」と日本企業の戦略(5)=最終回】 シェール革命がもたらす日本企業のビジネスチャンスとは

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点(Point)】
(1)シェール革命によるシェールガスの生産本格化で、日本企業は、シェール権益やLNG輸出案件の獲得に動いている。これによりグローバルなエネルギー事業の経験やノウハウを蓄積することが可能となり、日本のエネルギー調達にも有利に働く。
(2)また、シェール革命は膨大なインフラ需要を発生させている。2035年までに開発、輸送、液化分野など累計1.5兆ドル以上の関連インフラ投資が期待され、日本企業にも恩恵がもたらされる。日本企業にとって米国事業の展開・強化のチャンスでもある。
(3)シェール革命は、環境や健康に害を及ぼしたり、石油化学原料のバランス変化をもたらしたりするといった指摘がある。こういった状況を解決するために、日本企業が強みとする技術を生かして事業展開する可能性が考えられる。
(4)シェール開発では、ドリリングケミカルで安全性の高い生分解性物質が注目されており、また、開発業者はシェール開発に伴う廃水処理を本格的に取り組む時期が来ている。いずれも日本企業がソリューションを提供することで事業展開できる可能性がある。
(5)エチレンやプロピレンなどを原料とするC2・C3化合物がシェール革命で安価となって自動車分野などで材料代替が進むと見られ、日本勢が樹脂化を先導するチャンスが存在する。
(6)ブタジエンや芳香族などの化合物は需給逼迫が予想されており、海外調達だけでなく、バイオ化を含めた代替生産方法の開発が不可欠となる。バイオ化について比較的技術蓄積のある日本勢にも参入の余地がある。こうした機会をものにするために、日本企業はこれまでのバイオ製品の事業基盤の選択と集中を行う必要がある。

PDF : 詳細(PDF:1,829KB)

■視点・論点

アベノミクス・東京五輪と日本経済

エコノミスト 松下 滋

第一の矢:「異次元」の金融緩和を実行 2012年12月26日、政権の座に返り咲いた安倍首相は、憲法改正という大望を抱きながら、政治的支持獲得のために、脱デフレ・経済再生最優先というスタンスを鮮明に打ち出した。そして、日銀の金融政策に激しいプレッシャーをかけた。思い切った金融緩和策への強い要請である。

■マネジメント

【シリーズ企業と広報(6)】 100年先も健全な企業であり続けるために ―東レ広報30年の経験で学んだこと― 継続的な宣伝活動が“企業価値”を高める

東レ株式会社 顧問 斉藤 典彦

【要点(Point)】
(1)“企業価値”を高め続けるため、企業は宣伝活動に継続して一定の費用を投下し、知名度や好感度の向上を図り、世上の評価を確立する必要がある。
(2)企業宣伝は内外のマスメディアやWeb、イベント等を活用するなど広範な活動の相乗効果を図り、費用対効果を検証しつつ推進することが望ましい。
(3)企業コミュニケーションを改善するには、社長の意思を体現する組織・体制を敷き、適材を配置して、統合的、継続的かつ戦略的に取り組むべきである。

■環境・エネルギー

「2015 年危機」を超えて「ソーラー王国」実現を

立命館大学大学院 客員教授 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)買い取り制度導入により、日本が太陽光発電における世界のリーダーになる道が開けてきた。
(2)しかし、二つの「2015年危機」がその前に立ちふさがっている。
(3)日本は買い取り制度と税制優遇措置をより柔軟に活用し、2020年東京オリンピックを跳躍台として太陽光発電を持続的に発展させるべきである。

■アジア・新興国

韓国新政権の経済政策 就任初年の成果と課題 ―選挙モードからの脱却をいかに図るか―

亜細亜大学  アジア研究所 教授 奥田 聡

【要点(Point)】
(1)朴槿恵政権は日朝に対する強硬姿勢と米中との関係強化をアピールして、高い支持率を維持してきたが、その経済政策では精彩を欠く。
(2)朴政権は選挙公約から引き継いだ「創造経済」や「経済民主化」などの経済政策戦略を掲げるが、分配重視の路線に疑問の声も出始めている。
(3)企業活動環境の整備、短期政策充実に向けた経済チームの調整力、不動産価格下落・通貨危機への備えなど課題は尽きない。その中で日韓協力の可能性も模索すべきである。

■ワーク・ライフ・バランス

組織はなぜ多様性を拒むのか ―ダイバーシティ・マネジメントという挑戦―

麗澤大学経済学部 教授 木谷 宏

【要点(Point)】
(1)ダイバーシティ・マネジメントとは多様な従業員の特性を活かした組織をつくることであり、その対象は個人、組織、集合体の三重構造をなしている。
(2)ダイバーシティ・マネジメントの視点として、必然性、危機管理、社会公正、業績向上のいずれもが重要であり、短期的な利益を目的とすることには限界がある。
(3)組織および人間には、集団の安定と生命の維持を確保するために異質性を排除するメカニズムが組み込まれていることを認識すべきである。
(4)従業員の属性の偏りが組織の生産性を阻害している可能性、つまりダイバーシティ・マネジメントが企業業績を向上させうるという事実は極めて認識しにくい。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「日本版NIH」 「天然ガス自動車(NGV)」

■お薦め名著

『「感情」の地政学』 ―文明の衝突ではなく感情の衝突なのだ―

ドミニク・モイジ 著 櫻井 祐子 訳

■ズーム・アイ

改札あれこれ ~海外編~

産業経済調査部 シニアアナリスト 永井 知美

海外旅行の楽しみといえば名所旧跡巡り、グルメ、アウトドア体験、いろいろあるでしょうが、私が楽しみにしているのは地元密着型スーパーでの買い物と電車に乗ることです。スーパーでの発見(ロシアのウオッカの品ぞろえはすごい!しかも妙に安い。人心掌握のためか?)を語るのは別の機会に譲るとして、ここでは、改札で見た印象に残る風景をご紹介したいと思います。