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2011年6月1日
人口オーナス

少子高齢化が経済成長を圧迫 日本の「人口オーナス」期は「失われた 20 年」 と一致

 人口オーナスとは、人口が経済発展にとって重荷となった状態を指し、生産年齢人口が急減す ると同時に、高齢人口が急増する事態のことを言います。オーナス(onus)は英語で重荷や負 担を意味する言葉です。  正確に言えば、少子高齢化が進んで、従属人口(幼年人口と老年人口の合計)の生産年齢人口 (15~65 歳)に対する割合が高まる時期が「人口オーナス」期で、この時期は人口の動きが経 済にマイナスに作用します。社会保障費等が増大し、貯蓄率が低下し、ひいては投資率が低下し、 成長率を引き下げることになるためです。  これとは反対に、生産年齢人口に対する従属人口の比率が低下している(低い)局面のことを 「人口ボーナス」期と言い、この時期は人口の動きが経済にプラスに作用します。  日本の人口ボーナス期は 1990 年代初頭で終了し、今は人口オーナス期に入っています(図参 照)。中国はこれまで人口ボーナス期真っ盛りでしたが、2010 年代半ばには人口オーナス期に入 る見通しです。一方、インドでは人口ボーナス期が 2040 年頃まで続く見通しです。  人口オーナス期に入った国や地域が経済成長を維持するには、①社会保障を整備し、世代間格 差是正に取り組むこと、②女性や高齢者の雇用を促進することで労働力率を高めること、③労働 投入が減少しても生産性の上昇により成長率を維持していくこと(そのために、教育などによる 人的資本の強化、良質な資本ストックの蓄積、技術革新の推進等に注力すること)、などが重要 な課題となります。  日本は、主要国で最も早く少子高齢化の進行と人口オーナス期入りを経験した国です。日本経 済が今の人口オーナス期に持続的な繁栄を実現できれば、その経験やノウハウは今後人口オーナ ス期を迎えるアジア新興国との経済関係の緊密化やビジネス機会の獲得のために活用できると 考えられます。

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