close

2016年8月2日
シェール革命と石油化学産業の動向について(上)
― 「2018年問題」は顕在化しない可能性も -
シニアエコノミスト
福田 佳之

・2015年後半からの原油下落はOPECなどの原油過剰供給が一因。16年2月から上昇に転じ、一時1バレル=50ドル台に乗せたが、足元(8/1現在)では40ドル近辺で推移している。 ・早ければ16年後半には原油需給は均衡へ向かうが、原油価格は上昇しない。膨大な原油在庫に加えて、新興国・途上国の成長が低迷していて原油需要の強い伸びが期待できない。さらに油価上昇時には米国のシェールオイル企業等が増産するため、上値が抑えられる。中期的に見ても原油価格はせいぜい1バレル60ドル台にとどまる。 ・スンニ派を奉ずる君主制の産油大国サウジアラビアは、周囲をシーア派共和制国家群に囲まれたこともあり、最近、好戦的な姿勢を打ち出している。若くて野心家でもある国王の息子が実権を握ったこともあってサウジが中東動乱の引き金を引く可能性がある。 ・シェール革命の進行による米国でのエチレンプラントの増設に加えて、中国石炭化学産業の勃興を背景に、日本の国内及び輸出先に米中の余ったエチレン系誘導品が流れ込み、日本の石化産業に打撃を与えるという「2018年問題」が危惧されている。 ・ただ、このまま米国や中国の石油化学製品の生産が増加を続けるとは考えにくく、また世界全体の石油化学製品の需給を見ると、アジアを中心に石化製品需要が高まっているために米中から日本国内に石化製品が継続的に流れ込む恐れは低く、「2018年問題」は顕在化しない可能性もある。

【キーワード】

WTI、シェール革命、2018年問題、OPEC、シェールオイル、国際エネルギー機関(IEA)、スイートスポット、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子、エチレンプラント、石炭化学産業、プロパン脱水素(PDH)

PDF : TBR産業経済の論点 No.16-05(636K)