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2012年5月1日
グローバル化するということ
主幹(広報・宣伝担当)
寒川 雅彦

 インドネシアのジャカルタを訪問しました。現在、インドネシアの人口は約2 億4,000 万人で、毎年300 万人のペースで増加しています。中でも魅力は、若年層人口の厚みです。人口中央値は、27 歳と日本の46 歳、中国の37 歳、タイの32 歳と比べても若く、2030 年まで人口ボーナス期にあることから労働力や購買力の将来性が期待されています。さらには、年間所得5,000 ドル~ 3 万5,000 ドルの中間層が1 億人超え間近に迫っていることから市場としての魅力も増大しています。  町には大きなショッピングモールがいくつもあり、有名ラグジュアリーブランドは日本と遜色ありません。また、日本の製品や文化が急速に拡大しており、一種の日本ブームが起こっています。長年の企業努力のたまものでしょうが、ポカリスエット、ヤクルトは現地に浸透しており、マンダムは若者のおしゃれアイテムとしては欠かせないものになっています。また、最近進出したセブン―イレブンはジャカルタ中心部でも多く見受けられます。店内や店前のスペースは、若者のちょっとしたたまり場にもなっており、そこに行くこと自体がファッションのようです。また、急速に拡大するモータリゼーションですが、四輪車、二輪車ともに日本車のシェアが高く90%を超えています。  話を繊維産業とりわけ縫製業に目を移すと、日本、欧米、韓国、中国とそれぞれの企業に特徴があります。日系企業は、1990 年頃から日本持ち帰りの縫製品生産基地として進出を始めましたが、1997 年のアジア通貨危機を境に、暴動、爆破テロ、鳥インフルエンザといったカントリーリスクもあって、装置産業である原糸メーカーやドレスシャツ、ユニフォーム用途など一部の企業を除く、多くがこぞって中国に移っていきました。一方、欧米系企業はインドネシアを長期的な生産基地の一つと捉えて、中国・ASEAN 各国間での生産バランスの調整はあったものの、事業を継続しています。日本が引いた後、急速なスピードで進出してきたのが韓国系企業です。個人企業が多く、すばやい経営判断と持ち前の現地化精神で移住する人が多いのも特徴です。中国(華僑)系には歴史があります。移住した方々が多く、すでに何代にもわたり、インドネシアで事業をされており、今やほとんどがインドネシア国籍となっています。  2010 年、急速に経済発展する中国では労働力不足などが主因で、日系企業は中国でのモノづくりが難しくなりました。チャイナプラスワンとして、再度インドネシアへの注目も高まり、昨年、秋頃から日本向けの縫製品発注も活発化し、この春夏物からインドネシア産の繊維製品が日本にも並びます。しかし、インドネシアでは、すでに欧米企業や韓国企業で縫製スペースが一杯になっており、日本からの発注増加に対しては「何をいまさら」感が漂っていると聞きます。かつての縫製指導など含めた取り組みから「条件さえ合えば」といった取引になっていることは残念なことです。欧州危機による影響がなければ、日系企業スペースの確保は厳しい環境であったようです。もちろん、すべてがそういうわけでもありませんが、どっぷりつかる中国系、早い決断で現地化する韓国系、アジア地域全体を面で捉えてバランスする欧米系に比べ、日系企業は、あっちがだめならこっちといった“モグラたたき”的な行動であり、横並び一点突破主義のように映ります。本当のグローバル化とは、現地にどっぷり腰をすえて、現地に根ざして経営することです。日系企業の今後の展開に期待しています。