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2017年12月1日
繊維トレンド11・12月号 2017 No.127

■ファイバー/テキスタイル

2018/19秋冬向けフィレンツェ糸とミラノ生地のトレンドと 「自分だけの消費」需要への欧米の対応

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』 在日特派員 永松 道晴

【要点】
(1)
消費者の嗜好がますますイージーケアとカジュアルに向っている流れを受けて、フィレンツェの糸展示会でもニット中心に機能性を追求した天然繊維と合繊の革新的なブレンドの製品が目立った。同時に消費者の目を惹くためにラグジュアリーな天然繊維を使って、多色のメランジ糸やラメ糸などとノップ、ブークレ等のファンシー糸で編み地表面にさまざまなバリエーションを加えている。人気色はグリーン、ブラウン、ジンジャー、オフホワイト、黒とグレーでこれにブライトな赤やオレンジがアクセントで煌めいている。
(2)
続いて開かれたミラノの生地展示会は、プリントやブラッシュ仕上げやファンシー効果を競って飾り立てたデサインから、クラシックでシンプルなデザインに方向を変えてきて高級素材を多用して魅力的な風合いと見栄えを、持ち前のエネルギッシュなデザイン力で見せる場となった。同時にエコや環境問題がバイヤーの買付け意思決定の最も重要な判断材料のひとつとなってきていて、各紡績にとっても使用する素材とサプライチェーンでサステナビリティの裏付けがあることが必要条件となりつつあることが展示内容から読み取れる。
(3)
ファストファッションが隆盛を誇るかたわら、逆に自分だけのオリジナル商品が欲しいという需要に対応するビジネスモデルの開発が試みられてきた。最近のニットや織物分野におけるオートメーションの開発で、オリジナル化という新たなパラダイムがIoTのツールを使っていちはやく欧米の創造的な起業家たちによって現実化しつつあり、その具体例を紹介する。これはやがてアパレル業界のものづくりのルールを変えかねない潜在性を持っており、注目に値する。ここでは、英国のContradeとUnmade、ドイツのThe Girl and the Machine、アメリカのSpoonflower、Knot Standard とWOVNS を紹介する。

 

日本の中小繊維企業の再興 繊維産地とデザイナー、両者の現状と課題 -対談 K ラボラトリー 兼巻 豪 氏× 糸編 宮浦 晋哉 氏-

株式会社フランドル 社長室 経営戦略・広報室 次長 篠原 航平

【要点】
(1)
日本の繊維に関連する企業は、川上から川下まで依然として苦しい状況にある。
(2)
日本の繊維産地企業の現状としては、行政からの補助金がなくても十分に事業運営ができるところ、特徴あるモノづくりを行っているところ、取引先と対等の立場をつくっているところは業績を維持、発展させているところが多い。
(3)
日本の繊維産地のあるべき姿は、産地として永続していくこと。そのための課題は、事業を存続させるための仕組み作り、次世代を担う若者への事業承継である。
(4)
日本の小規模なデザイナーブランド(小規模アパレル企業)は、全体的には毎年成長している。しかしその一方で毎年一定数は作品の発表を休止する。休止するデザイナーは、企業での勤務経験のない人が多い。
(5)
日本の小規模ブランドデザイナーの課題は、ブランドの味を出すこと、欠けている能力を補うこと。
(6)
繊維産地の企業と小規模なブランドのデザイナーという2つのプレイヤーだけでは理想的な関係は生まれない。そこにはさらに大手アパレル企業や行政といったプレイヤーが必要である。

 

不織布の衛材・家庭用生活資材・医療用途への展開

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点】
(1)
不織布の最大用途は乳幼児、成人用のおむつ、ワイパーなどであり、それらが今後も引き続き需要を牽引し、世界的に不織布の需要拡大を促すことが予想される。
(2)
おむつなどの衛材向けは軽量化、表面平滑化などを含めた高品質化が進むだろう。また、ワイパーなど拭き取り材の需要量が急増するが、同分野は、自動車、生産機械といった産業資材用途での拡大も見込まれる。
(3)
不織布は手術衣料・資材などのメディカル用途への展開が進んでいるが、更に医療用複合材の開発が進んでいる。

 

世界の繊維ミル消費の動向

日本化学繊維協会 常務理事 杉原 克

【要点】
(1)
世界の繊維ミル消費は2010年~2015年に年率4.3%で拡大し、2015年は9,440万トンに達している。
(2)
この間、アジアは年率5.0%増、世界に占める割合は8割に拡大。同地域は世界の繊維工場の役割を強めている。うち化繊が7.5%増と成長のほとんどを占めている。
(3)
アジアの中では、中国から東南アジア、南アジアへのシフトがみられる。
(4)
西欧、北米はテクニカルテキスタイルに集約する形で、ミル消費規模の維持・増加を遂げている。

■縫製/アパレル

世界No.1"Tシャツ"メーカー:GILDAN社のグローバル戦略

株式会社牛田 代表取締役 牛田 賢

【要点】
(1)
カナダ企業のギルダン(Gildan Activewear Inc.)は、世界最大のTシャツ、トレーナー等のメーカーである。
(2)
主な事業は、「①プリントウエアの販売」と「②小売流通向けブランド商品の販売」の2種類であり、55の国と地域で代理店を通して商品を販売している。
(3)
「①プリントウエアの販売」では、世界No.1の売上を誇り、近年、競合ブランドを次々と買収している。
(4)
「②小売流通向けブランド商品の販売」では、GILDANブランドの商品と、近年、買収したブランドの商品を販売している。2010年にソックス業界で著名なブランド“Gold Toe”を買収し、本格的にソックス市場に参入した。ソックス、ストッキングの業界においても、存在感を増している。
(5)
経営戦略上の大きな特徴は、「スケールメリット」×「商品の絞り込み」×「製造工程の垂直統合」であり、他社の追随を許さないローコスト生産を強化するため、2002年以降、累計で約1,900億円の設備投資を行った。

■新市場/新商品/新技術動向

ファッション業界の地殻変動

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点】
(1)
「服が売れない」の大合唱が響くが、好調な企業も存在する。「売れない」のではなく、従来の場所では買わなくなったと認識しなければならない。
(2)
百貨店、商業施設では、衣料品中心から「食」「住」の充実へと軸足を動かす傾向が目立ってきた。
(3)
好調に市場規模を拡大するEC通販では、①商圏の概念が消える②セールの概念が変わる③ブランドという概念はいらないなど、ファッション小売の概念が大きく変化している。
(4)
ネット通販も競合が激化しており、ストーリーコマース、チャット接客など、新たなサービスや販売手法での差別化が試みられている。

巨大市場へと変貌するレディススーツ市場に乗り出す

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点】
(1)
青山商事は就活スーツを手始めにレディススーツの市場に入り、キャリア向けスーツ、サマーフォーマルと次々に市場を開拓
(2)
同社は紳士服で培ったノウハウで、機能性素材を投入、豊富なサイズ、800店舗という販売網でシェアの拡大を目指す
(3)
一方AOKIもレディススーツ市場のシェア拡大を目指して「はたラク服」を大量に市場投入
(4)
働く女性が増えて広がる女性スーツ市場に、ロードサイド紳士服専門店が各社乗り出し、商戦の真っただ中に

■キーポイント

市場が着実に広がる電動ファン付きウエア 2020年には出荷ベースで市場規模100 億円へ

ダイセン株式会社 「繊維ニュース」記者 於保 佑輔

ユニフォーム業界では今年から電動ファン付きウエアの新規参入が相次いだ。猛暑が続く気候の中にあって、炎天下で作業を強いられる建設業や農業、警備員などさまざまな職種で認知度が高まり、需要は着実に伸びる傾向にある。今年の市場規模は出荷ベースで60~70億円程度と見込まれるが、東京五輪が開かれる2020年には市場規模が出荷ベースで100億円規模になるといわれ、来年も増産や新規参入に向けた動きが活発化する。

■統計・資料

主要商品市況 1. 原油 2. ナフサ 3. PTA 4. EG 5. カプロラクタム 6. アクリロニトリル 7.ポリプロピレン