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2013年7月1日
中央銀行の独立性

政府の介入を避け、急激なインフレを防ぐために必要

 お札(通貨、紙幣)を発行し、「通貨の番人」の役割を担う中央銀行は、政府や政治家か ら独立した存在でなければならないとされています。 歴史的には世界の中央銀行の多くは政府(財務省)の監督下や影響下にありましたが、1980 年代後半から 1990 年代にかけて独立性を獲得しました。たとえば、多くの先進国では政府 が中央銀行総裁を解任できない制度になっています。  なぜ中央銀行には独立性が必要なのでしょうか。中央銀行に独立性が乏しいと、政府は 景気浮揚のために中央銀行にお札をたくさん刷ってもらい、それを公共事業などの支出に あてる誘惑にかられます。もし中央銀行が無制限にお札を印刷して政府に渡すことが続け ば、お札の流通量が増えすぎ、急激なインフレ(物価上昇)や資産バブルが起こり、経済 が混乱してしまいます。  インフレは国民が持つ金融資産の価値を減らすので、一種の税です。中央銀行が政府の 思い通りになるなら、政府は国民に不人気な増税を避けて、中央銀行に刷らせたお札を使 って財政支出を膨らませ、インフレを引き起こすといった政策が選択されがちです。 低成長下で有権者への負担増を決定できない民主主義国家では、特にこうした政策が政治 的に選択される心配があり、これに歯止めをかけるために中央銀行の独立性が重要です。  日本では、日銀が政府に従属しているかのように見えることがありますが、これは中央 銀行の独立性の観点から適切とは言えません。政府と日銀がデフレ脱却と経済成長のため に歩調を合わせることは重要ですが、政府・政治家と日銀は適切な距離感を保つことが必 要でしょう。

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