close

2005年4月1日
経営センサー4月号 2005 No.71

■経済・産業

ブランド戦略とデザイン ~アクオスに学ぶ~

株式会社イリス経済研究所 代表取締役 戸矢 理衣奈

【要点(Point)】
(1)ブランド=製品自体の品質+イメージ。ブランド化のためには消費財産業は技術力を前提にデザイン開発に取り組む必要がある。
(2)シャープの液晶テレビ「アクオス」の人気の背景には従来と異なるデザイン先導型の開発システムがある。
(3)明快なコンセプトとアートディレクター・システムが統一感のある「ブランドの顔が見えるデザイン」を生む。

製造業の現場は今(1) 製造現場における非正社員雇用の現状と展望 -正社員の戦略的育成と非正社員のスキルアップが鍵-

福田 佳之  産業経済調査部 エコノミスト

【要点(Point)】
(1)ものづくりの現場における能力が日本の製造業の競争力の源泉の一つであり、この能力の維持・向上が日本の製造業の今後を占う上で注目ポイントと考え、今後検証していく。
(2)90年代に入り、製造現場で派遣・請負社員の外部人材活用が進展してきており、全社員の3割程度にまで増加している。
(3)請負社員を活用している企業の比率は全産業で7割程度、電機産業で9割程度にまで上昇する。外部人材の活用積極化の理由として業務量の変動対応とコスト削減があげられる。
(4)2004年3月から製造現場での派遣社員の従事が認められ、派遣先企業が直接指示・命令を下せるようになったこともあり、従事者数が順調に増加している。
(5)外部人材活用の問題点として、ものづくりノウハウの蓄積が難しいことと、正社員による非正社員管理負担が増えることなどがあげられるが、コスト削減への強い要請などから製造現場での外部人材活用はさらに進展するとみられる。
(6)上のような問題に対応するために、日本の製造業は非正社員の現場定着に向けた取組みを実施するとともに、正社員の戦略的育成と非正社員のスキルアップを全社的に行う必要がある。

造船業界 -利益なき繁忙からの脱出なるか-

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)日本の造船業界は、海運活況、更新需要、規制強化を背景に、1970年代以来の受注増に沸いている。
(2)日本の造船業界は、高コスト構造、小さい事業規模等にもかかわらず、世界トップレベルの地位を堅持している。
(3)造船メーカーの業績は、受注増にもかかわらず不振である。
(4)将来予想される需要不振、韓国・中国との競争激化に備えて、日本の造船各社は対応を迫られている。

■視点・論点

より豊かな公文書館文化を育む -日本の記録管理の課題-

独立行政法人国立公文書館 館長 菊池 光興

【要点(Point)】
(1)国民と社会の歩みを記録する公文書を選び、保存し、利用するのが公文書館の役割。
(2)保存された公文書は、政府の説明責任と国民の権利義務の証明として、民主社会の基礎。
(3)日本の公文書館制度は、諸外国に比べ、多くの面で脆弱で未成熟。
(4)電子文書を含む全政府的文書管理システムや政府情報資源の管理の確立を通じ、より豊かな公文書館文化の育成が急務。

日本再生への知財立国 -日露戦争100年目に思う-

元サントリー株式会社 常勤監査役 坂本 幸雄

<近代日本の高揚期と衰退期>   今年は、日本の近代史の中で、わが国が大きな戦争で勝利した日露戦争から100年目にあたり、また第二次世界大戦で大敗を喫した終戦から60年にもあたる。  更に言えば、その日露戦争勝利には、明治革命とも呼ばれる幕末からの変革期に富国強兵策で欧米諸国に追いつこうと努めた約40年間の国民的エネルギーの高揚期が先行している。また第二次大戦の敗戦には、その後に世界に冠たる経済大国に至る約40年間の高度成長期があり、その後には80年代末からのバブル崩壊に始まる衰退期が続いている。

■マネジメント

ブランドとコミュニケーション問題 -agnes b.の「文化」と日本市場におけるマーケティング-

青山学院大学 経営学部 専任講師  ヘリオット・ワット大学経営大学院 ロジスティクス・リサーチ・センター 研究員 東 伸一

【要点(Point)】
(1)日本市場におけるagnesb.は、「絶対的な本来価値」の伝達を経由することなく、ブランド認知の一般化を経験し、代表的な小売ブランドに成長してきたが、その負の遺産が現在の停滞状況につながっている。
(2)「普遍性」がブランド・アイデンティティの根幹をなすagnesb.が日本の中間ファッション市場で長期的な視野からブランド・ポジションを確立するためには、現状のコミュニケーション・エラーを克服する必要がある。
(3)絶え間ない変化と流行への欲望が所与となっている日本の中間ファッション市場(マスファッション市場)において、「文化」をキューとしたオルターナティブな消費生活価値を伝達することの意義をagnesb.のケースを通じて考察する。

■人材

夢工学のすすめ ~「夢」を起点に、未来と現実をつなぐ~

岐阜県理事 川勝 良昭

【要点(Point)】
(1)「夢工学」とは、「夢」を起点にプロジェクトマネジメントを発展させたトータル・プロジェクト・エンジニアリングである。「夢」の実現を総合工学的にアプローチして支援する有力な方法論である。
(2)「夢」とは好きなこと、ウキウキしてどうしても実現したい強い思いである。「夢工学」は筆者の家庭の悲劇と危機から誕生した。「夢こそすべて」である。
(3)「夢工学」の真髄は、OSSと呼ばれる運営舞台と運営基盤をいかに巧みに設計し、建設するかにある。「夢」実現の成否は建設後の運営までのこのプロジェクト・サイクルにかかっている。飲食事業の事例をあげて「夢」実現と成功の方法の概略を解説する。

人事歳時記 第七回 -サスティナブル・ビジネス(2)-

北原 正敏  特別研究員

 前回に引き続いてサスティナブル・ビジネスについて取り上げる。  今回は、このフォーラムの中心的役割を果たしている米国アクィナス大学の山崎正人助教授からのレポートで、米国でのサスティナブル・ビジネス先進企業の事例を紹介する。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード  「環境税」「再生ファンド」

■お薦め名著

『柳宗悦 手としての人間 -「ものの息吹」に触れる製作- 』 伊藤徹 著

『能力構築競争 -自動車産業の「しぶとさ」と「粘り強さ」の源泉-』 藤本隆宏 著

■ズーム・アイ

『新婚さんいらっしゃい!』から感じる笑顔と共感

松本 徹

 「私の人生で叶えたい夢は『新婚さんいらっしゃい!』に出場して、桂三枝さんを椅子から落とすことです。 だから結婚する相手の条件は『新婚さんいらっしゃい!』に一緒に出場してくれる女性です」私はこの夢を社会人になってから8年間言い続けてきた。  しかし、私はこの夢を実現できていない。私が結婚対象としての人間的魅力に欠けるのか、もしくは『新婚さんいらっしゃい!』に出場したい女性が少ないのか。

■今月のピックアップちゃーと

米国の住宅価格ってバブルじゃないの?  ~上昇を続ける米国住宅価格~

■TBRの広場

新しい経営感覚を磨く 「創発塾」のご案内