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2010年11月1日
経営センサー11月号 2010 No.127

■特別レポート

チャイナ・リスクとレアアース対策

東京大学 総長室アドバイザー 村沢義久

【要点(Point)】
(1)日本は、国際舞台でますます存在感を高める中国への過度の依存を改めるべきである。
(2)特に、レアアースに代表される重要資源の供給源の多様化が急務である。
(3)さらに、レアアースの代替資源および代替技術の開発が不可欠である。
(4)電気自動車用モーターとしては、誘導モーターなど、レアアースを使用しないタイプのモーターの採用も検討すべきである。

■経済・産業

好調韓国を支える韓国企業のグローバル展開

みずほ総合研究所株式会社 主任研究員 苅込 俊二

【要点(Point)】
(1)世界金融危機後、グローバル市場における韓国企業の躍進が注目を集めている。
(2)韓国企業躍進の要因として、(1)韓国ウォン安、(2)トップダウンで果敢な経営戦略、(3)新興国市場を危機前から開拓、があげられる。
(3)現地ニーズに合わせた製品化の徹底など韓国企業の強さを学び、日本企業がアジア市場で巻き返しを図ることが期待される。

 

もう一つの水ビジネス -下水関連ビジネスにおける積水化学工業とクボタの取り組み-

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)積水化学工業はSPR(Spirally Pipe Renewal)工法を使った下水道管路の更生事業に取り組んでいる。同工法は開削することなく、また下水を止めずに施工することが可能であり、工期の短縮や工事費の削減に寄与する。
(2)同社は材料販売だけでなく、管路更生のバリューチェーンまでを視野に入れて事業を拡大させており、同事業を実施するに当たり、グローバルな体制を整えている。
(3)クボタは下水等の処理を行うろか膜であるMBR(膜分離活性汚泥法)で世界第2 位の市場シェアを持つ。同社はMBR を軸として再生水や膜型メタン発酵など下水処理ビジネスを内外で展開している。
(4)海外では政府の支援を受けた下水関連企業がプレゼンスを増す中で、日本の下水関連企業を支援する日本政府の覚悟が今試されている。

PDF : 詳細(PDF:1,843KB)

 

飛躍する航空機産業の動向とモノづくり企業の経営的対応 —航空機産業が有する独特の取引・技術・認証—

機械振興協会経済研究所 調査研究部 研究員 山本 匡毅

■視点・論点

新「バーゼルⅢ」規制がメガバンクへ求めるもの

ストラクチャードファイナンスコンサルタント 永田 国幸

■マネジメント

現代インド最新事情(3) IC カードとカーストの間 -インドの2011 年センサス-

東京大学 名誉教授 中里 成章

【要点(Point)】
(1)インドのセンサス(国勢調査)は来年で15 回目を迎える。第1 回目は1867~72 年に行われた。長い歴史をもつセンサスにも変化の兆しが見えてきた。
(2)インド政府は2011 年センサスに合わせて全国住民台帳を作成し、15 歳以上の住民全員に多目的国民ID カードを発行する計画である。
(3)2011 年センサスでは、80 年ぶりにカースト調査が実施されることになった。これは「その他の後進諸階級」を地盤とする地方政党の要求に応じたものである。

 

中国における金融業の対外開放と規制 -外資銀行の中国市場進出事情と進出に対する規制-

あかし法律事務所 弁護士 曉 琢也

【要点(Point)】
(1)存在感を増す中国市場の今後の発展には金融業の健全な発展が欠かせない。
(2)中国は、WTO 加盟を受けて、金融業を対外的に開放したが、外資企業に対する規制は今も存在している。
(3)中国の銀行業には独特な沿革があり、その問題は一朝一夕には解決できないが、外資銀行が中国市場で事業拡大を図る場合には、そうした中国の沿革を理解しつつ、コンプライアンスを徹底する必要がある。

PDF : 詳細(PDF:1,224KB)

■人材

第8 期「次世代経営者育成塾」講義録 「負の連鎖」をいかにして断ち切るか -次世代経営者とともに考えるこれからの人事政策・労務政策のあり方-

株式会社日本総合研究所 調査部 ビジネス戦略研究センター所長 兼 主席研究員 山田 久

【要点(Point)】
(1)1990 年代後半以降、日本企業は業績回復局面においても正規社員から非正規社員への代替、成果主義の導入などを通じて人件費の削減を続けてきた。
(2)「 株主への配当圧力」「アジア諸国との競争」の名のもとにもっぱら賃金抑制をもってコスト削減に対処したために、日本経済は「値下げ・賃下げの罠」にはまっており、このままでは日本経済は破綻に追い込まれかねない。
(3)この「負の連鎖」から抜け出すためには、マクロ経済環境の変化への対処として今まで「常識」と考えてきたことをまずは疑ってかかり、大胆な産業構造の改革を実現していくのが本質的に重要なことだ。
(4)成果主義への反省から揺り戻しの動きが出てきているが、従来の職能資格制度による一元的な管理は日本社会の変化により実情に合わなくなっており、変える必要がある。
(5)具体的には、人材のタイプを明示的に分け、性別や国籍、属性にかかわらず個人が働き方を選べるようなオープンな人材育成・処遇システムを構築することが望まれる。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「EMS」「ヒートポンプ」

■お薦め名著

社長が押さえておくべき30 の基礎科目『経営の教科書』 −経営とは未来を見据えた地道な仕事の積み重ねである−

新 将命 著

■ズーム・アイ

自炊できない女

三嶋 那奈子 ダイバーシティ& ワークライフバランス研究部

■今月のピックアップちゃーと

財布の中にも木枯らしが吹く

産業経済調査部