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2008年8月1日
経営センサー7・8月号 2008 No.104

■経済・産業

北京オリンピック後の中国経済 -外需依存から内需拡大への転換がカギ-

信金中央金庫総合研究所 上席主任研究員 黒岩 達也

【要点(Point)】
(1)北京オリンピック後、中国当局がまず取り組むべき課題は、インフレ圧力をいかに抑制し、安定成長を維持し続けるかである。
(2)中長期的には、農民の所得向上を通じて農村市場を活性化させ、デマンドサイドを重視した成長戦略への転換を図っていく必要がある。
(3)そうした中、中国へ進出している日本企業は、更に中国の内需を掘り起こし、農村を含めたより広い市場の開拓を求められる。

注目集める「都市鉱山ビジネス」の最前線 -ゴミの中に隠れた‘宝の山’を発掘せよ-

産業経済調査部 チーフ・エコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)最近、国内で使用・廃棄されるパソコンや携帯電話等のIT 機器などに含まれる貴金属やレアメタルなどの金属資源に関心が集まっている。これらは「都市鉱山」と呼ばれるが、日本の都市鉱山の規模は世界有数の資源国の埋蔵量に匹敵するとの試算もある。
(2)都市鉱山が脚光を浴びている背景には、世界的な資源価格の高騰がある。
(3)本稿では、都市鉱山発掘による金属リサイクル事業の先駆的企業である横浜金属とDOWAホールディングスの2社の事例を取り上げる。
(4)両社の事例には、新事業開発(多角化)、環境ビジネス、イノベーションなど様々な観点から学ぶべき点が数多く含まれている。
(5)都市鉱山の活用を推進するためには、使用済みIT機器の回収・リサイクルを促進する仕組みづくりと法制化を含めた体制整備が必要である。
(6)資源価格高騰で生じたコスト構造の変化を利用して、高い技術力を武器に資源の「生産」面で新たな価値を創造すれば、資源高という逆境を商機に変えることができる。都市鉱山ビジネスの勃興は、日本企業のこのような可能性を教えてくれる事例として注目に値する。

PDF : 詳細(PDF:756KB)

韓国ライバル企業を追う-存在感を増す韓国グローバル企業 第3回 現代自動車

産業経済調査部 産業アナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)現代自動車は、世界自動車販売台数で本田技研工業、日産自動車を上回る世界第5位の自動車メーカーである。
(2)98年には自動車販売台数で世界第16位の中堅メーカーに過ぎなかった現代自動車は、海外市場への積極展開、品質とブランドイメージの向上で販売台数を伸ばしていった。2006年の世界販売台数は401万台と、1998年の85万台の約4.7倍に急増、トヨタ自動車、本田技研工業をはるかに上回る高成長を遂げている。
(3)現代自動車は中小型車分野、インド等の新興市場で存在感を増している。真のグローバル企業になるためには、品質とブランドイメージの更なる向上、海外事業の収益性改善、コーポレートガバナンスの確保が必要だろう。

PDF : 詳細(PDF:648KB)

■視点・論点

企業の自己責任 -経済誌の記事から-

日本郵船株式会社 顧問 目黒 征爾

■経済用語解説

中国フランチャイズビジネスとその法規制 -急成長する中国フランチャイズビジネス-

弁護士 曉 琢也

【要点(Point)】
(1)中国では、2000 年以降、フランチャイズビジネスが急速に成長発展している。
(2)フランチャイズビジネスに対する基本的な規制は整備されたが、競争法との関係についての問題をはじめ、いまだ十分に検討されていない問題が多い。
(3)2004 年に制定された外商投資商業領域管理弁法は、外国企業が現地子会社を通してフランチャイズビジネスを行うことを認めた。
(4)中国市場での競争は激しく、規模の拡大と品質の確保の狭間で、飲食業やサービス業を経営範囲とする外商投資企業は、早晩、直営店方式かフランチャイズ方式かの選択を迫られる可能性がある。

モノづくり現場のデジタル化による競争力強化戦略(後編) -中堅中小企業の取り組みからの考察-

財団法人機械振興協会 経済研究所 研究員 近藤 信一

【要点(Point)】
(1)「量産型/中堅中小企業」においては、量産規模を確保した企業でデジタル化が進んでいた。しかし、全体的にはモノづくり現場のデジタル化にメリットは感じているものの、量産規模が小さく、また、コスト的に不採算のため導入が進んでいない。
(2)「非量産型/中堅中小企業」においては、NC 加工を多用する業種でデジタル化(ハードウェアによるデジタル化)が進んでいた。しかし、コスト的な問題から設備投資が難しいとの声が多く聞こえた。
(3)しかし、本稿で取り上げた4 つの事例から、幾つかの課題はあるものの、モノづくり企業の競争力強化の一つの方法として「モノづくり現場のデジタル化」は有効であると言える。今後、モノづくり現場におけるデジタル化が競争力強化の一つの方法として普及することを期待したい。

■人材

上級MOT短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第11回) 技術開発と事業戦略 -技術者の本分とMOT-

一橋大学イノベーション研究センター 青島 矢一准教授インタビュー インタビュアー: MOTチーフディレクター 宮木 宏尚 取材・写真:山崎 阿弥(フリーランス・ライター)

【要点(Point)】
(1)技術者が技術開発に没頭するのは、その本分である。技術者全員が事業や経営にかかわるのではなく、技術者はまず技術の“ネタ”づくりに集中すべきである。
(2)技術系と事務系の垣根を取り払い、互いに相互補完しあって、技術を事業、経営に結び付けていくことが重要。ここにMOTの役割がある。
(3)日本は米国と違って、モノづくりで生きていかねばならない。クリエイティブなモノづくりは、“無駄”の中から生れる。一定の無駄は許容することが必要。
(4)日本の製造業の特徴は、プロダクトからマーケットを創り出していくところにある。
(5)日本の材料ビジネスは、わが国の隠れた競争力である。材料メーカーは顧客ニーズにきめ細かに対応することによって、その強みを保っている。しかし、これをやりすぎると、経営効率が落ちていくというジレンマに陥る。
(6)この点から、事業全体の流れの中で、自社の事業範囲をいかに設定するかは、大きな戦略的な課題である。

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気付きから学びへ ―人材開発の現場から―(第20回) これでよいのか、日本の「薄っぺらな教科書」

特別研究員 沖田 浩

PDF : 詳細(PDF:154KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「パートの正社員化」 ・「ETF(指数連動型上場投資信託)」

■お薦め名著

装飾とデザイン』 -親和感ある調和か孤立した聖別か-

山崎 正和 著

■ズーム・アイ

ワーク・ライフ・バランスと職場のあり方

市場調査部 森本 有紀

■今月のピックアップちゃーと

貯蓄に回すおカネなんてない? ~11%の世帯は貯蓄残高100万円未満~

■TBRの広場

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