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2020年7月22日
繊維トレンド2020年7・8月号 2020 No.143

■ファイバー/テキスタイル

潜行する「中国製造2025」の繊維産業における進展

東レ株式会社 北京事務所長 寺師 啓

【要点(Point)】
(1)中国が2015年に製造強国を目指して大々的に発表した国家戦略「中国製造2025」は、米中摩擦が激化する中で、表面上は中国政府の経済政策に登場しなくなった。
しかし実態としては各産業分野において着実に進捗している。
(2)繊維産業においても動きがあり、昨年設立された「製造業イノベーションセンター」は本格稼働に向けての準備が進んでいる。

2019年のアジアの合繊産業

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主幹 鍵山 博哉

【要点(Point)】
2019年のアジアの合繊産業は、内外の需要減退により減速した。2020年に入ると、中国から始まった新型コロナウイルスの蔓延により、アジアの多くの国で経済活動が停滞、生産、輸出、内需とも非常に厳しい状況となった。
(1)合繊市況 2019 年の原油価格は比較的安定も2020 年に大きく下落、この動きに合わせ合繊市況も推移
(2)日本 化繊生産の長期減少が続く
(3)韓国 合繊生産、輸出とも減少に転じる
(4)台湾 化繊産業の規模縮小が続く
(5)中国 2019 年の化繊生産は増産を維持したものの2020年に大幅減に
(6)タイ 化繊産業は、減速傾向に転じる
(7)インドネシア 化繊生産、内需とも大きく減速
(8)インド 化繊生産、輸出とも比較的堅調
(9)パキスタン 化繊生産、輸出とも堅調

PITTI IMMAGINE FILATI 2021年春夏の糸の展示会

デザイナー 小川 健一

 去る1月に開催されたPITTI IMMAGINE FILATIは欧州を中心に世界各国から4,400人のバイヤーを集めた。本稿では、イタリアトップブランドの仕事も手掛けるイタリア在住のデザイナー小川 健一氏に、同展示会について、会場内で注目した展示内容を各社のブースの画像を中心として紹介いただく。
 なお、展示会全体のテーマは「YARNS UNITED」(糸連合)。また、2021年春夏シーズンの新しいトレンドカラーのガイドラインとして「TRADIZIONE(伝統)」「IDENTITA(アイデンティティ)」「RICONOSCIBILITA(承認)」「IMPEGNO(責任)」「COMUNICAZIONE(伝達)」「UNIONE(団結、連合)」という6つのテーマがあげられている。

ISPO Munich 2020展示会に見るサステナビリティへの多様な取り組みと新型コロナウイルス パンデミックに揺れる欧州の状況

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)ミュンヘンで開催された伝統あるISPO Munich 2020はスポーツとアウトドアウエアに特化した展示会だ。消費者が目指す活動的なライフスタイルに焦点を当てて、耐久性や通気性、臭気抑制など機能性を充実すると共に、サステナビリティを追求して環境にやさしい生産体制を構築する戦略のもとで、多様な開発成果を発表している。
(2)その代表例として以下を紹介する。
イタリア エンポリオ アルマーニ:街着も兼ねるスキージャケット
スウェーデン クレッタルムーセン:生物分解性リサイクル素材の山岳登山用パンツ
アメリカ ポーラテック:マイクロファイバーの剥落飛散を抑えるジャケット
イスラエル ニリット:温湿度管理機能などを備えたナイロン66 Sensil 合繊素材
ドイツ シンパテックス:サステナブルなラミネート被膜生地
アメリカ ココナ:皮膚表面を心地よいと感じる温度に保つ機能を付与した繊維素材の多用途開発
(3)一方で、新型コロナウイルス パンデミックに揺れる欧州の繊維産業が直面している状況は厳しい。欧州の繊維産業もファッションの先を読む各種展示会のキャンセルが続いている。IWTO総裁は繊維産業の素材から製品へのサプライチェーンと消費市場がどれほど中国に依存しているか、それが今後欧州の繊維産業に与える影響を、数字を挙げて警告している。この記事は5月末現在の状況に基づいており、6月以降の変化と対応については、次号でアップデートしたい。

■縫製/アパレル

ファッションとサステナビリティを考える トップ企業の新型コロナウイルス対策

学校法人日本教育財団 国際ファッション専門職大学 国際ファッション学部 准教授 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)世界のトップアパレル小売業の新型コロナウイルス感染症に対する対応を調査。
(2)調査を行ったのは、The TJX Companies(米国)、LVMH Moët Hennessy-Louis Vuitton(フランス)、Inditex(スペイン)、H & M Hennes & Mauritz AB(スウェーデン)、ファーストリテイリング(日本)、The Gap(米国)、Ross Stores(米国)、L Brands(米国)、Kering(フランス)、NIKE(米国)の10社。

■新市場/新商品/新技術動向

注目高まるオフプライスストア

ムーンバット株式会社 顧問 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)ファッション市場における二次流通の一つとしてオフプライスストアが注目されている。
(2)2019、2020年には新規開業のオフプライスストアが相次いだ。2019年9月、ワールドとゴードン・ブラザーズ・ジャパンの共同出資会社により開業した「アンドブリッジ」、2019年4月に開業したゲオホールディングスの「ラック・ラック クリアランスマーケット」、2019年11月にジョイフル本田が開業した「ディスカバ!」、2020年3月に開業した「オフプラMEGA ドン・キホーテ」など。
(3)日本におけるさまざまなオフプライス業態としては、1954年創業の「タカハシ」、メディアにも多数登場しているショーイチの「カラーズ」が挙げられる。
また、オフプライスEC としてファインの「リネーム」、ラベルヴィーの「GILT」と「GLADD」にも注目したい。

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■キーポイント

新型コロナ禍で活発化する布マスク、防護服、医療用ガウン生産

ダイセン株式会社「繊維ニュース」記者  吉田 武史 強田 裕史

 新型コロナウイルス感染拡大は、世界の繊維産業の“これまで”を変えそうだ。
「収束後はサステナビリティー(持続可能性)の重要性が一層高まる」といった声が世界の繊維関係者から聞こえる。足元の対応策として活発化しているのが、布マスク向け生地や同製品、防護服向け生地や同製品、医療用ガウンなどの生産だ。既存設備を改良してまでその生産を急ピッチで進める企業も少なくない。その意図として挙がるのは、「少しでも社会に貢献したい」というもの。加えて、工場稼働率が下がる中、「薄利でも仕事がないよりはまし」などコロナ禍特有の複雑な事情も絡む。

■統計・資料

主要国の合繊主要4 品種の需給動向 日本/韓国/台湾/中国/(参考:インド/アメリカ)