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2020年9月16日
経営センサー9月号 2020 No.225

■今月のピックアップちゃーと

単身世帯はみんな貧しくなった! ~年間手取り収入300万円未満の単身世帯比率は上昇傾向~

産業経済調査チーム

■産業経済

日本の製造業はサプライチェーンの強靱化に着手 ―新型コロナウイルスと立地戦略について―

産業経済調査部長 兼 チーフエコノミスト 福田 佳之

Point
(1)日本企業はグローバル戦略の一環として消費地に近い地域で事業活動を行う地産地消に取り組んできた。その結果、日本企業の海外生産比率は上昇した。最近において同比率は横ばいで推移しているが、日本企業の地産地消のスタンスに変わりはない。
(2)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大や米中対立を巡る内外当局の動きは、国境を越えるサプライチェーンが脆弱であることを示した。こうした中でサプライチェーンを見直す日本企業が出てきている。
(3)サプライチェーンの見直しは、これまで推進してきた国境を越えたサプライチェーンの強靱化を図る動きであって、決してこれまでの日本企業の地産地消の立地戦略を否定するものではない。
(4)サプライチェーンの強靱化を図る動きは決して一過性のものではなく、世界経済における不確実性の増大が背景にある。日本企業はサプライチェーンの強靭化に伴うコストアップを吸収するだけのコスト競争力を長期にわたって涵養する必要がある。

■世界情勢

植物性代替肉・培養肉の現状と今後の展望 ―植物性代替肉・培養肉は食料供給のゲームチェンジャーとなるか―

前 一般財団法人日本経済研究所 副主任研究員 五十嵐 美香

Point
(1)世界規模のタンパク質需要の高まりと、タンパク質供給を支えている現代の工業型畜産業が抱える問題、また動物愛護や健康意識の高まりを背景として、植物性代替肉や培養肉の研究開発が進んでいる。
(2)植物性の原料だけでつくられた肉の代替品は昔から存在していたが、近年、新しく開発されている植物性代替肉は、見た目も食感も本物の肉と遜色なく、菜食主義者以外の肉を食べる消費者層への普及が拡大している。
(3)今後、3Dバイオプリンティング技術の活用などのさらなる技術開発により、本物の肉と同等、もしくはそれ以上の付加価値を持つ商品が現れるようになったとき、食肉業界に大きな変革をもたらす可能性がある。

■技術・業界展望

コンビニ業界の現状と課題 ―コロナ禍で一段の変化を迫られるコンビニ業界。消費者の新たな行動様式にどう対応するか―

チーフアナリスト(産業調査担当) 永井 知美

Point
(1)2019年、時短騒動で揺れたコンビニ業界が、コロナ禍で一段の変革を迫られている。収益が落ち込んでいるだけでなく、在宅勤務、まとめ買いなど、消費者の行動様式が変化しているためである。
(2)コンビニ業界は「変化対応力」を武器にスーパー、百貨店と並ぶ小売業界の三大業態に成長したが、店舗数が5.6万店になるに及び飽和感も漂っている。
(3)時短騒動後、本部の姿勢も変化。時短営業や見切り販売は加盟店の裁量に任せられるようになった。
(4)2021年以降、コンビニ業界では加盟店が続々と契約更新の時期を迎える。コロナ後の消費者の行動変化にうまく対応して加盟店をつなぎとめられるのか、コンビニ本部のさらなる変化対応力が問われている。

■マネジメント

ニューノーマル時代のリーダーシップ&マネジメント ―With & Afterコロナ時代の実践的リーダーシップ&マネジメント手法―

EQパートナーズ株式会社 代表取締役社長 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科(ビジネススクール) 教授 聖心女子大学 国際交流学科 非常勤講師 安部 哲也

Point
(1)アフターコロナのニューノーマル時代には、オフィスワークとリモートワークにおける共有点と相違点などを理解しながら、効果的に使い分ける必要がある。
(2)特に、リモートワーク環境のリーダーシップにおいては三つのE(要素) ①エンゲージメント(人間関係・信頼関係) ②エンパワーメント(仕事の任せ方) ③エバリュエーション(評価・フィードバック)が重要となる。

■ヒューマン・ディベロップメント

個の活躍を実現する障害者雇用の新たな手法 ―障害のある人の「成長ステップ」見える化プロジェクト―

株式会社 Connecting Point 代表取締役 阿部 潤子

Point
(1)障害のある人も一人ひとり異なる仕事に“興味”や“思い”を持っており、個性を活かす環境こそが働く人の満足度を高めていく。
(2)職場定着には、障害の有無にかかわらず、職場の心理的安全の確保と成長機会の保障が重要になる。
(3)「適性」を可視化し、個の活躍を実現していくことが、社員一人ひとりの成長を導き、さらには組織の生産性向上に寄与する。

ジョブ型雇用は「関わり」の再構築あってこそ

リクルートワークス研究所 主任研究員 中村 天江

Point
(1)グローバル化、デジタライゼーション、さらにコロナ禍に伴うテレワークの浸透により、ジョブ型雇用への関心が急速に高まっている。
(2)ジョブ型雇用の欧米企業では、従業員は入社後も賃上げを求めることが一般的である。それにより賃金と仕事のトレードオフの判断が発生し、労働生産性を高めている。
(3)ジョブ型雇用を機能させるためには、従業員と仕事内容や賃金について合意することが不可欠である。メンバーシップ型であるがゆえに従業員との関係が希薄な日本企業は、「人材との関わり」から再構築する必要がある。

■ちょっと教えて!現代のキーワード

「ウェビナー」 「酒税税率の改正」

産業経済調査部門

■お薦め名著

『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』

永井 孝尚 著

■ズーム・アイ

「コロナ疲れ」を跳ね返そう

繊維・市場調査部 兼 経営センサー編集部 髙月 順一郎

連日、新型コロナウイルス感染者数の拡大がテレビなどで報道されています。「東京都では1日当たりの感染者数が400人を超え過去最多を更新しました」「○○県ではこれまでの最多の感染者が確認されました」などなど。また、感染ルートとしての飛沫感染、接触感染防止対策として、「手洗いの励行」「マスク着用」は言うに及ばず、「3密(密集・密接・密閉)」防止、ソーシャルディスタンス(社会的距離)維持の必要性ということを、どこにいても目にする、聞こえてくるような日々が続いており、不安の中にどっぷりつかっているようにさえ感じることさえあると思います。