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2012年10月11日
シェールガスが米国エネルギー事情を一変
「シェールガス革命」と日本企業の戦略(1)
シニアエコノミスト
福田 佳之

・エネルギー分野の話題について海外で最近よく取り上げられるものは、米国でのシェールガスの本格生産である。生産の本格化に伴い、米国の天然ガス価格は低位安定している。 ・シェールガスとは従来のガス田より深いところの頁岩(けつがん)に閉じ込められた天然ガスで、コストの面で採掘が困難だった。しかし、2000年代に入ると米国ベンチャー企業が水平掘削・水圧破砕など一連の工法を確立し、採掘コストの引き下げと事業化に成功した。その後、資源メジャーなどがこれらのベンチャー企業を買収して、シェールガスの生産を増大させている。 ・天然ガス価格の低下は、開発業者の収益悪化につながっており、彼らはシェールガスの減産や権益の売却に動いている。また、収益改善のために、石化原料を多く含むシェールガスやシェールオイルの採掘にシフトしたり、液化天然ガス(LNG)のアジア向け輸出を模索したりする動きが出てきている。 ・シェールオイルの生産は増加しており、国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年には200万バレルを超えるとの見込みである。その結果、米国の中東からの原油輸入は減少し、2030年代には「脱中東」を果たすと見ている。その場合、中東が不安定化し、エネルギー供給が混乱する恐れがある。 ・米国からのアジア向けLNGの輸出は、液化設備の設置やパナマ運河拡張工事が完了する2010年代後半に開始される予定である。ただし、LNG輸出には米国当局の許可が必要であることなどから、米国がLNG輸出大国化する可能性は低い。

【キーワード】

シェールガス、頁岩(けつがん)、水平掘削、水圧破砕、地震波の観測技術(マイクロサイスミック)、資源メジャー、Henry hub価格、シェールオイル(タイトオイル)、米国エネルギー情報局(EIA)、国際エネルギー機関(IEA)、「脱中東」、LNG輸出、サビーンパス

PDF : TBR産業経済の論点 No.12-06(1039KB)