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2017年9月22日
パリ協定離脱の裏にある「トランプ戦略」を検証する
―"米国第一"のエネルギー・産業政策は成功するか?―
主席研究員(市場調査担当)
岩谷 俊之

【要点】
(1)
米国石炭業界はトランプ氏に大統領の座をもたらした重要な支持層である。今回のパリ協定離脱にはトランプ氏にとって"恩義ある"石炭業界の振興政策を進める上での制約排除という側面がある。だが「協定の中身が不公平」「パリ協定が実行されても温度上昇抑制効果は小さい」と言った彼の批判を妄言とは言い切れない。
(2)
CO²回収や貯留といった付帯コストなし、言い換えれば「CO²出し放題」で米国産石炭を火力発電に使えば電力コストが下がり、米国産業は安いエネルギーコストを享受し得る。それによって米国製品の価格競争力が上がる可能性もある。
(3)
パリ協定を脱退したからといって、米国の環境関連企業が世界の「CO²削減マーケット」獲得に遠慮するはずはない。安いエネルギーコストを背景に価格競争力が高まれば再生可能エネルギー発電などのCO²削減市場でも米国企業は有利になり得る。
(4)
だが、そんなトランプ大統領の巧妙な「米国第一主義シナリオ」も再生可能エネルギー発電のコストが石炭火力より安くなった途端に破綻する。そして「石炭火力より安い再生エネ発電」は徐々に現実のものになりつつある。

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