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2014年5月1日
ITブラックボックス化への処方箋は「おやつ」?!
上席シニアコンサルタント
塚越 学

 ある休日の午後。子どもを連れて公園に遊びに行ったときのことです。「危ない!」ある子が丸太から足を踏み外しそうになり、目の前に親がいながら気づいたのはその子が落ちて泣いたときでした。なぜ親が気づかなかったのでしょうか。スマホをいじっていたからです。幸いけがなくその子はまた遊びだしたので安心しました。あらためて公園を見渡すと、15名ほどいる親のうち、12名はスマホをいじっていて、1名は雑誌を読み、2名は会話で盛り上がっていました。そういう私も右手にスマホを持ちながら子どもの様子を見ている親の1人でした。  帰宅すると、子どもと風呂に入り格闘しながら着替えをさせつつリビングに戻ってきたとき、妻はスマホをいじっていました。バタバタしているこちらの気も知らないでスマホをいじり続ける妻にカチンと来たので、「そんな面白いニュースでもあった? スマホばかり見ているけど!」と嫌み交じりで言うと妻は「これ? クックパッドでレシピを見てたの。明日の夕食メニューよ、遊んでるわけじゃないわ」と返り討ちにあったのでした。  スマホは外観からはブラックボックスでその人が何をしているか分かりません。ゲーム、ネットサーフィン、SNSはもちろん、仕事や勉強、日常生活に役立つ情報収集もできます。しかし、まだまだ余暇のツールという先入観があるのかスマホいじりが何よりも優先されるようには思われません。  一方、職場はどうでしょうか。ブラックボックスといえばパソコンです。ホワイトカラーの職場なら一人1台パソコンがあり、仕事中はパソコンが立ち上がったままです。その間、スマホと同様ブラックボックスであるにもかかわらず「パソコンばかりいじって何をやってるんだ!」といわれることはあまりありません。しかし実際、先の公園の子どもが丸太から落ちたように、目の前にいる職場の仲間がどんなトラブルになっていようと気づきません。なぜならそのトラブルはパソコン内で起きていることが多いからです。スマホとは逆にパソコンは仕事のツールとの思い込みがあるため職場全員が忙しそうに見えます。  そんな中、あるIT系の中小企業では、「おやつタイム」を設けてパソコンからいったん離れ、おやつを食べながら仕事以外の話をする時間を定時内にする仕掛けを続けています。この方法を知ったある大手会社の管理職は自腹でおやつを買って女性営業員に振る舞う機会を定期的に増やしたところ、コミュニケーションが増えただけでなく、営業成績まで跳ね上がったというのです。  ITツールも使いよう。ブラックボックスの全てをクリアにする必要はなくても、定期的にブラックボックスから離れて、五感を使ったコミュニケーションが取れる仕掛けが今こそ必要かもしれません。  さて、私も今日は妻におやつを買って帰ろうと思っています。「ダイエット中よ!」と、また返り討ちにあうかもしれませんが。