close

2006年6月1日
経営センサー6月号 2006 No.83

■特別企画

中国客員研究員対談 リアルチャイナと日本

復旦大学 歴史学系 教授 東レ経営研究所 代表取締役社長 佐々木常夫

  今や中国は、日本企業の単なる海外生産拠点としてだけでなく、輸出大国であり、アジア経済の成長センターともいえる存在になっている。しかしその一方で労賃の年率20~40%上昇など、特に製造業全般の収益力を低下させる要因が増えており、こうした中で勝者と敗者を分ける生き残り競争は予想を超えて激しくなり、新たな社会的問題点も出てきている。  今回は、東レ経営研究所客員研究員で来日中の馮復旦大学教授に現代中国のリアルな姿、問題点などについてお聞きした。  《戦後の日本の経済システム》 佐々木: 昨年10 月に上海でお会いして以来ですね。本日は多忙なスケジュールの中、お時間をいただき大変感謝しています。本日は主に中国の現在のリアルな姿を教えて頂ければ有難いと考えています。ところで、今回の来日の目的は何でしょうか。 馮教授: 日本国際交流基金の支援で『戦後の日本経済システム』の歴史的分析という研究テーマのために来日しました。 佐々木: 馮先生の初来日は確か1989年に京大大学院に留学された時でしたよね。その当時と現在とでは日本の印象は何か変わりましたか?

PDF : 詳細(PDF:973KB)

■経済・産業

こうしてイノベーションは生まれた -デジタルカメラ、宅配便に見るイノベーション事例-

高橋 健治 常務理事 特別上席エコノミスト

【要点(Point)】
(1)1987年、カシオ計算機の若手技術者が電子カメラを開発したが、8ミリビデオと競合してまったく売れず、プロジェクトチームは即刻、解散させられた。
(2)雌伏・苦難時代が続いた後、95年、デジタルカメラを再開発、アメリカの見本市で注目を浴び、また、Windows95の発売時期と重なり、国内で爆発的な人気を呼んだ。
(3)現在、デジタルカメラの販売は年間3,000万台を超え、各社の競争も激化している。一方、フイルムカメラ市場は大きく縮小している。
(4)宅配便は、73年、ヤマト運輸社長(当時)が米国出張の折、マンハッタンで目にした小口配達を見て閃いたことがきっかけとなった。
(5)当初、役員全員が猛反対したが、76年にスタート。数年後、損益分岐点を超え、商業貨物の契約を解消し、宅配便に集中した。他の運輸業者もそろって参入。
(6)翌日配達、クール宅配便、往復宅配便など利便性を追求し、市場は急成長した。

PDF : 詳細(PDF:1,119KB)

欧米のイノベーション政策に学ぶ 日本の科学技術戦略のあり方

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)米国では「パルミサーノ・レポート」(米国競争力協議会、2004年12月)の公表以降、競争力強化とイノベーション振興についての論議が活発となり、本年2月ブッシュ大統領は「米国競争力イニシアティブ(AmericanCompetitivenessInitiative)」を発表した。
(2)欧州では、2007年から実施予定の、域内の統一した科学技術政策「第7次研究開発フレームワーク計画」が審議されており、研究開発投資活性化とイノベーション振興の視点が盛り込まれている。
(3)欧米のイノベーション政策は、基礎研究重視と学生の理数工学離れへの対応という視点で優れており、日本は今後科学技術政策を進める上で参考にせねばなるまい。

PDF : 詳細(PDF:1,064KB)

微細化技術の新展開 -期待されるリソグラフィ材料の最新動向-

JSR株式会社 四日市研究センター 精密電子研究所 半導体材料開発室 主任研究員 島 基之 JSR株式会社 電子材料事業部 参事 稗田 克彦

【要点(Point)】
(1)フォトリソグラフィは光源の短波長化や照明法の工夫などによって微細化を推し進めてきたが、次世代露光技術の本命といわれる液浸技術の導入により、解像度を大幅に向上させることができるようになった。ここで初めて高屈折率材料が微細化技術として使われる。
(2)液浸用リソグラフィ材料(レジスト・トップコート)は高屈折率材料として使われる水の悪影響をできるだけ低減し、パターン欠陥の発生を抑えることが重要な課題である。開発には高度なポリマー技術が要求される。
(3)32nmノードに向けた次世代液浸材料として水よりも屈折率の大きな高屈折率液体の開発が行われている。
(4)液浸リソグラフィプロセスの完成には材料メーカー/装置メーカー/半導体メーカー間の密接な協力が必要である。

■視点・論点

企業と民主主義 -三位一体私論-

日本郵船株式会社 顧問 目黒 征爾

 故郷の会津を始め地方の都市を訪れると、その中心街の寂れ方に驚く。規制緩和が地方を疲弊させているとの意見もあるが、そんな旧態依然の、皮相な見方でいいのであろうか。十年近く前まで三年間米国にいて、その折ある処から頼まれ“アメリカ雑感”と称する駄文を綴ったことがある。 枕としてその一部を引用させてもらうと、  「アメリカに来て丁度二年になります。事務所も住所もManhattan対岸のNew JerseyですがManhattanまでは車で十五分、まあNew Yorkと言えないことはありません。只此処がアメリカかと問われればpart ofとでもしか答えようがない。此処東岸の連中はCaliforniaをアメリカと思っていないだろうし、逆にChicagoの人達はNew YorkもCaliforniaも本来のアメリカとは無縁、中西部こそtrue Americaと考えているとも聞きます。これに人種、各種移民が絡んでくるとWhere and what is America?と問わざるを得ない。

■マネジメント

中国多国籍企業の国際マーケティング戦略 第2回 -中国企業の国際市場選択と進入戦略-

清華大学経営管理学院 市場調査系 助教授 胡 左浩 鹿児島国際大学付属地域創生学科 助教授 康上 賢淑

本論は、中国最大の家電メーカー海爾(ハイアール)グループ、2番目に大きい家電メーカーTCLグループ、国産携帯電話の最大企業波導(バード)企業の国際マーケティングについて3回に分けて考察する、第2回目である。  中国企業が国際マーケティングを展開した動機、海外市場選択の方法と、戦略、またそれらに見られる特徴について明らかにしたい。  前回は、中国企業の国際マーケティング展開の背景と動機に加え、国際マーケティング展開自体の重要性を解明したが、続く今号では、中国企業の国際市場選択と進入戦略について、3社を事例にそれぞれの特徴を分析したい。また、次号第3回では、中国企業の国際マーケティング戦略について、3社の具体的事例を見ながら3つの特徴にまとめる。

中国外商投資企業の設立にかかわる登記制度

望月コンサルティング(上海)有限公司 董事長 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においては企業の設立に際して非常に多くの登記が必要とされている。
(2)中国の企業にかかわる登記制度は、基本的にそれぞれの行政当局が主管しているものであることから、それぞれに必要とされる書類等が異なっている。
(3)中国の企業にかかわる登記制度については、今後更に増加複雑化していく傾向にあることから、その対応にかかわる企業の事務コストは増大していくことが予想される。

■人材

人材育成の視点 発想を出す王道はあるか -アイデアマラソン発想法による自然な個人の発想能力開発-

IMS研究所 所長 アイデアマラソン発想システム考案者 樋口 健夫

【要点(Point)】
(1)アイデアマラソン(IMS)は、個人の創造性の向上と意識改革のために、樋口健夫が1984年に考案した革新のシステムで、現在、数千人が実行している。アイデアマラソンは非常にシンプルで「毎日最低1個のアイデアを考え、ノートや手帳に書き留め、周りに話す」これを習慣にすれば、隠れた才能が引き出され、創造性豊かな人間に変わる。
(2)誰でもアイデアは出せるが、書き留めないとすぐに消えてしまう。アイデアマラソンの「思考、記録、話す、実行する」を毎日の習慣にして、創造力を高め、未知の能力を発見し、自信を持ち、周囲の同僚や家族に刺激を与え、周りもまた創造力豊かな人間に変化する。アイデアマラソンを習慣とするには、唯一、継続力が必要である。創造的ネットワークのグループが企業内に増えれば、知的刺激を受け、提案活動、QC、Triz、シックスシグマ、知識経営、BPRなど、さまざまな企業内経営活動の素地として発想・創造知的ベースが強化されるといえる。
(3)アイデアマラソンの方法は、まず所持するノートを決め(A5のファイルノートが理想的)、一日15分程度の時間を充当する。3カ月で、100個のアイデアがノートに記録され、自分の中の知的変化と自信を感じるだろう。1年間続けると、優れたアイデアを含む知的倉庫を持つことができる。詳細方法は、著書、および、ホームページ、アイデアマラソンセミナーをご覧いただきたい。
(4)いかなる企業もサバイバルするには常に新しい発想のストックがたくさん必要である。アイデアマラソンの応用先は、企業、官庁、大学と多岐にわたる。IMSは、日本の大手IT企業やメーカー、通販会社などでの研修に採用され、米国バージニア大学では、1997年から講義に採用されている。またIMS研究所は、アイデアマラソンの認定制度を、国内外で開始し、初級、中級、上級とエキスパートコースに分かれている。
(5)アイデアマラソンの歴史としては、1984年1月、樋口健夫が、アイデアマラソンを開始し、以来、出したアイデアの数24万個以上。322冊余のノートに記載している。現在は、一日71個、2週間で1,000個のアイデアのペースを持続している。また、2004年にIMS研究所を設立した。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・ゼロ金利政策 ・再生可能エネルギー

■お薦め名著

『失敗学のすすめ』 -失敗の挫折感が新たな創造の種を生む-

畑村洋太郎 著

■ズーム・アイ

大切にしたい旧暦の季節感

黒田 薫

 6月は梅雨(ばいう=つゆ)の季節です。カビが生える時期なので黴雨(ばいう)とも書かれます。旧暦では「五月雨(さみだれ)」でした。松尾芭蕉の俳句に『五月雨をあつめて早し最上川』という名句がありますが、梅雨時に降る雨のことを「五月雨」と言いました。実は「五月晴れ」というのは「梅雨の間の晴れ間」のことです。従って、新暦の五月に「真っ青な空、今日は素晴らしい五月晴れですねえ」などという挨拶を交わしたら本当はあやまりです。

■今月のピックアップちゃーと

そんなに頼ってて大丈夫? ~高まる日本の原油の中東依存度~

■TBRの広場

『中国繊維ファッションビジネス研究会』 第5回公開セミナーのご案内